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18話

 ノールもアイラも『先天的スキル持ち』だろう。年の割にスキルレベルが高すぎる。

 小さい時から訓練していたはずだ。

 ……羨ましいな。最初からスキルがあるなんて。

 でも、仲間としてこんなに頼もしい人材は他にいない。

 今後の相談をしないと。


 「食べながら聞いてくれ。これからの方針を決めていこう。」


 一生懸命咀嚼しながら、頷いてくる。


 「まずは、二人の装備を買いに行こう。

 今の手持ちが17,000ユグしかないから、防具を買うほどの余裕がない。

 アイラは後衛だからまだいいけど、前衛のノールには厳しいかもしれない。

 ノール、防具なしでも行けるか?」


 ノールは少し悩んでいるしぐさをしている。

 やっぱ無理か?


 「たぶん行けるぜ。お金が貯まれば防具も買うんだよね?」


 「ああ、義勇兵は稼げるからな。明日には買えるかもしれん。」


 「じゃあ、大丈夫だ。」


 そう言ってまた食べ始める。


 「当分はお前らを帰すための資金集めになる。

 故郷はどれくらい遠いんだ?それで、貯める金額が変わってくる。」



 「んー、それがあんまり分からないんだ。

 いきなり捕まって、狭いところに押し込められたんだ。

 あの頃のことはあまり思い出したくない。

 長い時間移動してたことは分かる。」

 

 「……スマン。悪いことを聞いたな。」


 「気にしないでよ、ボス。必要なことだったんだろ?」


 強いな。


 「まあな。でも困ったな。目標金額が決められない。」


 ノールもアイラも食事に夢中だ。

 相談にならないな。



 ……どうするか。

 馬車を買って移動しようかな?……馬乗ったことないわ。

 二人とはゆっくりと旅をしたいのもある。

 適当に稼いだら移動するか。



 「とりあえず稼ぐか。二人とも食べ終わったら武器を買いに行くぞ。」


 「「はーい」」


 あと少しで食い終わるか。 


 「おばちゃーん!ちょっといい?」


 おばちゃんが奥から出てくる。


 「今日から3人で泊まりたいから、大きな部屋ある?」


 「あるよ、大部屋が。普通なら2,000ユグだけど、

 ノールもアイラも可愛いから1,500ユグにおまけしてやるよ。」


 おばちゃん甘いな。儲かってんのか?


 「そんじゃ、2日分頼むよ。」


 3,000ユグ渡して、残り14,000ユグになる。


 「部屋は305だよ。どっか行くなら荷物は移動させとくよ。」


 「お願いします。」


 おばちゃんが奥に引っ込んだ所で、二人とも食べ終わったようだ。


 「そんじゃ、市場に行くか。ついでに服も買おう。」


 二人とも服がボロボロだ。これではあまりに不憫だ。

 14,000ユグはなくなることを覚悟しよう。


 「オッケー」

 「早く行きましょ!」


 二人が俺の手を引いてくる。兄弟がいなかったからこんなこと初めてだ。

 なんか新鮮。




 市場でいつもの武器屋の露店に行く。

 朝に資金稼ぎしていると言ってたけど、まだいたか。ラッキー。



 「武器が欲しいんだけど。」


 「おお、兄ちゃんか。この前剣買っただろ。

 ……後ろの二人のか。何使うんだ?」


 そういえば。


 「ノール。長剣か短剣、どっちがいい?」


 「悩みなんだけどさ、俺小っちゃいじゃん?

 長剣使いたいのに、短剣じゃないと振り回せないんだよ。」


 そう。ノールもアイラも13歳というにはかなり小さい。

 ギリギリ150㎝?くらいだ。

 だけど、それがかわいさを押し上げている。


 「それじゃ、短剣が2本。あと弓と矢を一式くれ。

 ……中古だぞ。」


 「……チッ、分かってるよ」


 舌打ちしやがった、この野郎。


 剣の入った樽と弓一式を持ってくる。


 「ノール、好きなの選べ。」


 「やりぃ」

 

 さっそく、手に取って振っている。


 「弓はこれだけか?他にもない?」


 「どうだったかな。ちょっと待てろ。」


 そう言って、5つくらい弓を持ってきた。


 「アイラも好きなの選べ。」


 「はーい」


 アイラも手に取って、弦の張りを調べている。


 「それで、全部でいくらだ?」


 「そうだな、短剣1本4,000、弓一式で4,500の計12,500ユグだな。」


 俺の時は短剣1本4,500だったのに。

 しかし、ほぼ全財産だ。困る。


 「12,000にしてくれ。」


 「……」


 くそ。


 「おいおい。この二人の純真無垢な顔を見ろ。

 それだけでも割引してもいいはずだ。」

 

 「……」


 反応くらいしろ。


 「……つーか、金無ぇんだよ。

 察しろ。頼むわ。マジで。二人の服買えなくなる。」


 「……しゃーねーな。防具もうちで買えよ。」 


 「ありがと、明日明後日に来るわ。」


 ノールとアイラがこっちに戻ってくる。

 

 「ボス!俺これにする。」

 「私はこれ。」


 「じゃあ、これ貰ってくわ。また今度。」


 「毎度ありー」




 

 宿に戻って服を着替えている。

 服屋にもよって服を数着買ったら、残り500ユグになっちまった。

 休みの予定だったけど、迷宮行くしかない。


 「早速で悪いが。金がない。迷宮に行くぞ。」


 「おっしゃー!」

 「がんばります。」


 やる気があるならいい。『索敵』もあるから、いつもより稼げる。


 「行くぞ」




 いつもの迷宮の1層に行く。この層はコボルトしかいない。

 


 それより、予想外のことがある。

 意外と『索敵』使えない。範囲があまり広くない。いいとこ30mだ。微妙。


 良いこともあった。


 「ボス、こっち」

 「お兄ちゃん、あっち」


 二人とも『索敵』より使える。臭いで居場所が分かるんだって。


 二人が誘導した先に本当にコボルトが一匹いた。

 便利だ。


 「ノール、アイラ。二人の実力が見たい。

 協力して倒してみろ。危なければ助ける。」


 危ないのは俺の方だ。


 「りょうかい。アイラ、いつも通りいこう。」


 「防具ないんだから気を付けてね。」


 コボルトもこちらに気付いたみたいだ。

 吠えながらこちらに向かってくる。手にはいつもの包丁。


 ノールが2本抜いて駆けだす。

 アイラもすでに射撃の体勢だ。


 コボルトとノールが剣をぶつけあう。

 3回打ち合ったところで、ノールが突如右へ飛んだ。


 そこに矢が飛来する。声掛けなしで、凄いコンビネーションだ。

 両肩と両ふくらはぎに矢が直撃する。


 4本撃ったの?一瞬で?


 コボルトの体が傾いて所に、ノールが攻撃を仕掛ける。

 狙いは首か。


 「ハッ!!」


 『双剣術』の一閃がまともに入り、コボルトの首が宙を舞う。

 首から夥しい量の血を吹き出しながら、コボルトは絶命した。


 中古の剣でよく首を断ち切ったな。


 「二人ともよくやった。予想以上に強いな。

 コンビネーションも完璧だ。技術も素晴らしい。」

 

 褒めて落すか。


 「だか、ノール。今度から首は断ち切らなくてもいい。骨に当たって剣が折れたら困る。

 アイラもそんなにたくさん撃たなくてもいいぞ。一度に一本の矢で十分なサポートだ。」


 「そうだなー、さすがに硬かったよ。次は突きを中心にやる。」


 「ごめんなさい、お兄ちゃん。いいとこ見せようとして、たくさん撃っちゃった。」

 

 確かに凄かった。横目で見たけど、4本同時に撃ってたもん。

 しかも、全部命中してるし。

 これが『弓の加護』か。



 「よし、次はもっと効率的に行こう。

 魔物の場所分かるか?」


 「こっちだぜ」



 移動すると、1分もたたずにコボルト2匹と出会う。

 効率的だ。


 「次は俺だけで行く。俺の実力も見ておいてほしい。」


 心配そうに二人が見てくる。弱そうに見えるかな?


 「……危なそうだったら、助けてくれ。」


 「そうこなくちゃ」

 「任せてお兄ちゃん!」



 まあ、いくか。

 昨日の『スキル持ち』イトムシの反省を活かす時が来た。


 『火炎魔法』のイメージが弱すぎたせいで、決定的なダメージを与えられなかった。

 「爆弾」のイメージだ。

 火を圧縮して、一気に爆発させる。

 魔力の消費は大きいが、攻撃力は劇的に上がるはずだ。


 一匹は『火炎魔法』で、もう一匹は『剣術』で片づける。



 『火炎魔法』(エクスプロージョン)!


 コボルトの背中に小さな火の玉が当たると、爆炎と爆音をまき散らす。


 アッツ!二人にも被害が出てるな。あまり使えないか。


 直撃した方は魔石を残して、上半身が消し飛んでいる。

 マジかよ……。


 残った一匹に向かって走り出す。

 コボルトも包丁を振り下ろして迎撃してきた。


 いつもだったら避けるが、『強化』も披露しておこう。


 短剣を包丁に全力でぶつけて、手から弾く。

 

 「だらぁ!」


 武器を失ったコボルトは逃走を始めるが、ここでアイラの援護が入る。

 顔の横を矢が通り過ぎ、後頭部を貫通している。

 結局助けられたな。


 「ボス、魔法使えたのか。色々できてスゲーな。」

 「お兄ちゃん、ほんと凄い!」


 アイラの頭をなでてやる。

 

 「アイラも援護ありがとうな。助かった。」


 ふわっふわだ。今後も撫でよう。


 「今度は3人で戦うか。どんどん行こう。」



 


 いつもの半分の時間で、2倍は稼げた。

 これでお金の心配がなくなった。

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

評価してくださると、一段と頑張れます。

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