17話
解析結果は
名前:ノール
歳:13
性別:男
レベル:10
スキル:****
名前:アイラ
歳:13
性別:女
レベル:9
スキル:****
となっている。
二人の特徴と言ったら狼耳?て言えばいいのか?とにかく犬っぽい耳がついてること。
あと、二人とも髪の色が美しい。
ノールの方は銀色に少し黒を混ぜた感じ。アイラは銀というより白に近い。
どちらも顔の造形は整っている。
アホか!俺は!身体的特徴を描写してる場合じゃない。
スキル:****のことは気になるが、問題は年齢だ。
13歳だと!?
怒りしか湧いてこない。奴隷は15歳からが原則だ。これは、王国法で決められている。
この店主、正規の手段でこの二人を手に入れたわけじゃないな。
……決めた。この二人は俺が引き取る。
手持ちは11万ユグ。足りないだろう。
でも俺には、『解析』、騎士学校卒業の肩書、王国法がある。
すべてを使って二人を保護する。
「この二人は若いですね。いくつになりますか?」
「ええ、二人とも15歳。しかも双子になります。」
なんとなく予想してたけど、やっぱりそうか。
二人ともかなり似てる。
「獣人はこのあたりでは見かけませんが、どういう経緯でこの二人は奴隷になったのでしょうか?」
「なんでも二人で罪を犯したそうです。王国法の範囲外のことでしたが、獣人の間では許せず、奴隷にしたそうです。ちょうどその時に私どもの商会が近くにいて、引き取ったのであります。」
嘘だ。確かに獣人とは文化の違いでいろんな問題が起きやすいが、13歳の子供を奴隷には落とせない。
こいつも、二人のステータスの確認位はするはずだ。
いや、知っていようがいまいが関係ない。王国法を盾に騎士団に突きだされて困るのはコイツだ。
それに、二人とも目が死んでいる。自分の運命を受け止めきれていない。
不当な手段でここにいると考える。
一応コイツも解析しておくか。
『解析』
名前:オリーブ
歳:41
性別:男
レベル:20
スキル:索敵Lv13
隠密Lv12
こいつ!!!
もう確定だ!スキルが物語ってる!全部奪ってやる!
「いいですね。気に入りました。値段はどうなりますか?」
顔に出すな。怒っていることがばれるな。
「そうでございますね。二人で金貨10枚でどうですか?」
相場の5倍か。足元見やがって。
交渉は得意じゃない。始めるか。
「突然なんですけど、これ何かわかりますか?」
懐から元生徒手帳を出す。ステータスが確認できるものだ。
「……騎士様が持っている物ですね?
それでしたら勉強をして、金貨8枚でどうでしょう?」
上手い具合に勘違いしたな。俺は義勇兵だ。
「俺は『解析』を持っている。この意味が分かるか?」
「な……!」
明らかに動揺しているな。悪いことはするものじゃない。
「生憎手持ちが金貨1枚分しかないんだ。頼むよ。」
「し、しかし。それはいくらなんでも……!」
俺は素早く奴の顎を掴む。口をふさぐ形だ。これ以上コイツと会話するのも嫌気がさす。
それに、触る必要もある。
『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!
2つとも奪ったな。
「金貨1枚分しかないんだよ。困ったなぁ。上司に何か喋っちゃいそうだよ。」
手を放し開放する。
王国法で裁かれれば、ただでは済まないのはコイツだ。
頷くしかないはずだ。
賄賂を贈れば見逃してやると言ってるんだ。
「わ、わかりました。ですがこのことは……」
「分かってるよ。お互い様だからな。」
暗殺しようとしてくるなら、コイツが来るはずだ。『隠密』があったからな。
もうないけど。
金を渡して、ノールとアイラを連れてきた。
「二人ともこの騎士様に挨拶しろ。」
「「……」」
二人とも喋りはしないが、頭を下げてくる。無反応じゃないだけマシだ。
「ではな。俺も約束は守るから、あんたも頼むぜ?」
「は、はい」
二人を連れて出口に向かう。喋らないけど、ちゃんと付いてくる。
まずは二人を安心させるとこからだ。
宿に戻って、無理言って二人の軽食を作ってもらった。
軽食を待つ間、テーブルに座って自己紹介を始める。
「はじめまして。俺はネクロ、18歳だ。
二人も簡単でいいから、自己紹介してくれるか?」
「……ノール、13歳。」
「……アイラ、13歳。」
「そうか、ノール・アイラよろしく。」
二人が同時に頷いてくれる。
二人にはこれからの目的を持ってほしい。18歳の小僧が偉そうだけど。
「確かに俺は二人を買ったけど、奴隷にはなってない。」
「……どういうこと?」
ノールが聞き返す。
初めての積極的な発言だ。質問に答えたわけじゃない。興味があるんだな。それでいい。
「あの奴隷商は不正がばれたくないから、君たちを僕に売った。
慌てていたのかわからないが、正式な奴隷契約を交わしていない。
この意味が分かるか?」
二人が顔を上げてこちらを見る。
表情はさっきまでの暗いものじゃない。
「うん」
「はい」
いい返事だ。
「そんな二人に質問だ。何がしたい?」
「「帰りたい」」
当たり前だ。おそらく、誘拐されている。帰りたくないわけがない。
二人を帰すために安くない金を払ったんだ。そうでなくちゃ困る。
「でも、どうする?お前たちには帰る手段がない。
厳しい言い方かもしれんが、1週間でのたれ死んでもおかしくない。
今の二人には金を稼ぐ手段がない。」
「それは……」
「わ、私たちこれでもつよいんです!
『スキル持ち』なんです。なんとかなりますよ。」
アイラの声が少し大きくなった。
帰れるかもしれないから、なりふり構ってられないだろう。
ノールは少しは落ち着いてるかな?わかんないけど。
「アイラ。さすがに武器がなきゃ無理だよ。僕たちのスキルじゃ武器を買わなきゃいけない。
でも、そんなお金は稼げない。身元不明の13歳なんてどこも雇ってくれないよ。」
「うう……」
これ以上いじめても可哀想だ。何度も言うが二人を助けるために金を払ったんだ。
目的を忘れちゃいけない。
「二人とも俺が送ってってやる。」
「「えっ?」」
「聞こえなかったか?送ってってやると言ったんだ。
元々、二人を助けるために大枚はたいて買った。
最初は適当に奴隷を買おうとしてたけどな。」
「いいの?」
「本当ですか!?」
ノールはその場で俺を見つめ、アイラは身を乗り出して覗き込んできた。
「ただし、条件がある。」
うわ、二人とも一気に落ち込んだ顔になった。
変なことじゃないよ。
「二人でたくさん金を使っちゃったから、今はあまり金がないんだ。
二人には迷宮でお金を稼ぐのを手伝ってほしい。
『スキル持ち』なんだろ?
二人を故郷に返すのにも金が要りようになる。
お前たちが帰るのにも必要なことだ。」
二人の顔が明るくなる。
「そんなんでいいなら、いいぜ!、ボス!」
ボス?
「ありがとう!お兄ちゃん!」
お兄ちゃん!?す、素晴らしい!白髪犬耳美少女にお兄ちゃんって言ってもらっちゃった!
これだけで、10万ユグ払ったかいがあった。
「そ、そうか。やる気があるのはいいことだ。
二人とも武器は何を使うんだ?」
「俺はね!剣!2本ね!」
2本?2刀流?黒のロングコート着せたい。
「はい!はい!私は弓!」
立ち上がって、精一杯手を伸ばしてる。かわいい。ひたすらかわいい。
元気になったな。
スキルの文字化けもなくなるはずだ。心がふさぎ込んでいると、並大抵の解析系ではスキルを読み取れないのは知っていた。もしかしたら『隠蔽』持ちかもと疑ったが、無駄な心配だったな。
全員のステータス確認だ。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:18↑(1)
スキル:スナッチLv3
強化Lv10↑(1)
火炎魔法Lv18↑(1)
剣術Lv22
解析Lv18(1)
体術Lv18
生命力Lv5
索敵Lv13
隠密Lv12
名前:ノール
歳:13
性別:男
レベル:10
スキル:双剣術Lv17
名前:アイラ
歳:13
性別:女
レベル:9
スキル:弓の加護Lv16
おしっこちびりそう。
二人とも凄い。年齢よりレベルが高いのは高評価だ。
ノールの『双剣術』は『剣術』より強いと噂のスキルだ。たぶん俺負ける。
問題はアイラ様だ。様づけしちゃった。声には出さないよ。
『弓の加護』だって!?『加護持ち』!?
あらゆるスキルの上位に存在するもんじゃん!
『弓の加護』の話はよく聞く。矢は百発百中で、自分には矢が当たらないとか。
接近戦に弱いって聞くけど、ノールが守ってくれるよ!アイラ様!
世界最強の双子だ。どうやってこいつら誘拐されたんだ?謎だ。
「二人とも凄いスキルを持ってるな。ビビったわ。」
素直に言っちゃったよ。
「ボス、解析系持ってるんだ!」
「お兄ちゃん、すごいね!」
アイラの方がすごいよ。あと、お兄ちゃんってもっと言って。
厨房からおばちゃんが出てきた。
「簡単なもので悪いけど、たくさん食べな!」
こんなに作ってくれたの?絶対に子供好きだな。二人ともかわいいし。
「いいの?」
「食え食え。おばちゃんが泣いちゃうぞ。」
その言葉を皮切りに、ノールもアイラもご飯にがっつく。
腹減ってたか。飯食った後でもよかったかも。
……いいか。
自然と顔が笑ってしまう。
俺にも仲間ができた。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
評価してくださると、一段と頑張れます。
奴隷にするつもりでしたが、書いてる途中でなんか嫌になったので、こんな形になりました。




