表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/62

13話

 出発から1週間たって、街に着いた。

 町の名前は「ガリアス」。ネクロの町と違って少し小さい。

 ネクロの町は騎士団しかいないが、ここは義勇兵が多い。


 これは性質上しかたないがない。

 

 魔物は大きく2種類に分けられる。

 (コロニー)にいるか、迷宮にいるか。

 巣にいる魔物は街の人を襲う。迷宮の魔物は迷宮から出れないから、街を襲えない。

 騎士団は主に巣に対して攻撃して、義勇兵は迷宮を攻略しようとする。

 「ガリアス」には迷宮がいくつかあるので、義勇兵の数が多くなるのは必然である。


 

 また、緊急性に関しては巣の方が大きいため、王国は『スキル持ち』に騎士の称号を与えて街を護らせようとする。身分も収入も保障されるので、多くの『スキル持ち』が騎士団に所属しようとする。


 しかし、義勇兵に『スキル持ち』がいないかと言えば、そういうわけではない。

 新人がスキルを持っていることは少ないが、歴戦の義勇兵ほどスキルを持つ割合が多いと言われている。

 後天的スキルは努力と適正で発現するが、訓練のみでは発現しにくい。

 これは、6年間ネクロが努力していたにもかかわらず、スキルがなかったことからも予測される。

 

 後天的スキルの多くは命がけの戦いの中で発現する。

 命の危機とスキルの必要性、本人の趣味嗜好等、あらゆる偶然が絡んでスキルが発現する。

 ネクロは『スキル持ち』のゴブリンとの死闘、周りが全員スキル持つ環境下でのスキルに対する羨望、本人の努力もあり『スナッチ』が発現した。

 いじめられている環境があったからこそ、全てを奪うスキルが発現したのは皮肉である。



 「ザックさん、送ってくれてありがとう。」


 「いやいや、こちらも守ってもらったからな。あんなに多くのゴブリンが襲ってくるなんて

 本当に運が悪かった。ネクロ君がいなかったら死んでた。こちらからも礼を言うよ。」


 いや、ほんとに運が悪かった。

 街道に出る魔物は1~2匹だと、移動中に聞いていたのに、突然10匹以上現れた。

 『火炎魔法』を隠すのも忘れて、撃ちまくった。

 いつの間にか戦闘も終わってて、魔力もほとんどなくなっていた。


 母さんに言われた通り、過信してたな。1回の戦闘で魔力が切れる寸前になるなんて。

 使い方を考えとかないと。


 「そうですか。じゃあ、お互い様ということで。 

 俺はこれで失礼します。またどこかで」


 「ああ、頑張っていい義勇兵になってくれ。」


 頭を下げて立ち去る。ザックさんも早速商品を売りに行くみたいだ。

 とりあえず、義勇兵斡旋所を探して登録しに行くか。



 町は活気づいてる。義勇兵が持ち込む「魔石」が生活水準を大きく引き上げてる。

 魔物からとれる「魔石」は 明かりになったり水をためこんだりと色々便利なものに加工される。

 王都には水道という物が完備されているらしいが、こんな地方ではそんなものはない。

 「魔石」には純度があり、コロニーからとれるものでは十分な純度がなくあまり価値がない。  

 迷宮産の「魔石」は純度が高く、加工すれば便利な道具に変わる。

 「魔石」を売るだけで、一般人の何倍もの収入がある。これが、義勇兵が迷宮に乗り込む理由になる。



 10分ほど散策したところで、一際大きな建物があった。

 4階建てだ。相当でかいな。それだけ金があるんだな。

 たぶん、義勇兵斡旋所だ。武器を持った人たちが大勢出入りしている。

 見つかってよかった。



 中に入ると想像以上に多くの人がいた。ほとんど男だ。なんてこった。

 掲示板の前に人が群がっている。魔物の討伐依頼かな?

 奥にはカウンターがある。きれいな人ばっかだ。癒しだ。


 「すいません。登録したいんですけど。」


 「はい、こちらの書類に記入をお願いします。」


 名前、年齢、出身地か。これだけ?


 「これだけでいいんですか?」


 「ええ。あまり良いことではないんですが、義勇兵は死亡率が高いですからね。

 たくさん情報があっても使い道がないんです。かさ張らないように最低限で十分です。

 多くの戦果をあげたら、こちらから出頭を要請する場合があります。

 その場合は、より多くの情報を提供してもらいます。

 それでもよろしければ、書類を提出してください。」


 ここで断っても良いことはないか。


 「はい、大丈夫です。お願いします。」


 「確かに預かりました。それではこれから義勇兵の説明をいたします。」


 俺は情弱だからな、ここでしっかり聞いとかないと。


 「基本は迷宮に潜っていただいて、魔石を回収していただきます。

 迷宮で手に入れたものは、この斡旋所で換金します。

 個人的に売るのも可能ですが、ツテがない場合はここで売るのが安全です。

 掲示板には討伐依頼もあるので、こちらで手続きをして魔物の体の一部と魔石を提出してください。

 また、この町には騎士が少ないので、巣からの魔物の襲撃があった場合は積極的に応戦してください。

 応戦は任意ですが、斡旋所の評価や周りの義勇兵からの評価も低くなりがちです。

 何か質問はありますか?」


 「斡旋所の評価とは具体的になんですか?」


 「魔石の提出数と討伐依頼の達成回数になります。

 魔石は「鑑定台」でどの魔物から採取したかもわかるので、強さの基準もわかります。」


 倒せば倒すほど評価も上がるのね。


 「よくわかりました。あと、義勇兵はどれくらいの人数で迷宮に行くんですか?」



 「んー、難しい質問ですね。

 一人で行く人もいれば、大勢を引き連れていく人もいます。

 それでも、3~8人くらいが多いですね。

 少なすぎれば圧倒的な実力が必要になります。多すぎると統率がとれないのでかえって死亡率が高くなってしまうようです。

 信頼できる人を見つけてパーティーを組む人が大半です。

 奴隷を買ってパーティーを組む人も多いです。義勇兵はお金持ちですから。」



 ……奴隷か。貴族や金持ち御用達のやつだな。

 騎士学校では奴隷を持ってる奴も大勢いた。直接見たことはなかったけど。

 

 今はそんな金はない。相場は最低でも金貨一枚、100,000ユグだ。

 戦える人材ともなればもっと高くなるだろう。8,000ユグしかない俺にはまだ無理だ。

 でも、知り合いもいないこの状況じゃ、ソロ決定だな。


 「……そうですか。取り敢えず頑張ります。これからお世話になります。」


 「……言葉づかい丁寧ですね。皆さん荒い言葉を使うので新鮮です。」


 知らない人の前だから、嫌われないように自然に丁寧になっちゃてるな。

 それに綺麗な女の人だし。


 「ありがとうございます。俺の名前はネクロです。これからよろしくお願いします。」


 「ええ、ネクロさん。私はサラです。死なないようにしてくださいね?」

 結構くるものがあるな。女性から「死」の言葉を聞くの。


 踵を返して外に出る。


 1週間移動したのは初めてだ。夜も魔物を警戒してあまり寝ていない。

 宿を探してっさっさと寝よう。



 またブラブラすると小奇麗な宿を見つけた。あまり生活レベルを落としたくないしな。

 あそこにするか。


 「いらっしゃい。泊まりかい?1泊600ユグだよ。」


 これまたこの前のおばちゃんのような女性だ。

 しかし、600ユグか。普通に暮らすのに1日300ユグ前後だ。2倍か。


 「ご飯はついてる?」


 「朝晩込みで600ユグだよ。奥にお風呂もあるからお値打ちだと思うけどね。」

 おお!!風呂まであるのか。

 確かにそれなら安い。魔石で風呂を沸かすのにも金がかかるから、600ユグなら十分安い。

 ここにするか。


 「じゃ取り敢えず、3泊頼むよ。銀貨しかないから、お釣りよろしく。」

 2,000ユグを渡して200ユグを受け取る。

 大銅貨だ。1枚100ユグの価値がある。


 「晩飯は日が暮れてからだよ。遅すぎたら食べれないから注意しな。

 あんたは201号室だよ。ゆっくりしてきな。」



 鍵を受け取って2階に上がる。

 もう寝よう。風呂も飯も明日の朝でいい。


 残金は6,200ユグ


 明日は迷宮に行かないと、生きていけなくなる。


 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

評価してくださると、一段と頑張れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ