10話
あれから18日くらいたった。
今日が卒業式だ。
『解析』と『体術』はすでに奪ってある。
『解析』のリックには、図書館で奪った。
図書館にいたところを下手に話しかけて、気分を上げておいた。
あとは適当な時を見計らって消しゴムでも落として、拾ってもらい、渡してもらう瞬間に『スナッチ』をかけまくった。
10回目で成功したけど、手を握り続けてたから変な目を向けられた。
ホモだと思われたか?
『体術』のアバンは、いじめられているときに奪った。
ゴブリンと同じように足で踏みつけてきたところを掴んで、『スナッチ』をかけた。
運よく1回で成功した。地面に這いつくばってると、成功率上がるのか?
そんなわけで俺のステータスだ。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:16
スキル:スナッチLv3
強化Lv9
火炎魔法Lv17
剣術Lv20
解析Lv17
体術Lv18
『解析』と『体術』のレベルもいい感じだ。『スナッチ』も3に上がったけど、何か変わった実感はない。
『解析』で『スナッチ』を調べたけど、「才能を奪う才能」としかでなかった。
エグイスキルだよ。ほんとに。
卒業式は終わってる。証明書は生徒手帳らしい。
いつでもステータス確認できるのはうれしいな。『解析』使うにも魔力を消費するからな。
魔法とは少し感覚が違うけど。『スナッチ』も似たもんだ。
模擬戦も始まってる。くじの結果俺とサウロが最後だ。
『体術』をもってたアバンは瞬殺されてた。ステータス確認しとけよ。
まあ、スキル奪われてるなんて思わないか、普通。
ようやく俺たちの番だ。両親も見に来てる。
母さんそわそわしてるな。気持ちは分かるけど。
父さんは動かないな。……本当に動いていない。生きてんのか?緊張してんの?
それよりも
「よお、ネクロ。今日は頼むわ。騎士団に力を見せて俺もスピード出世してやるよ。」
「……そうかよ。まあ、がんぱれ。」
「気ぃ抜けてんな、オイ。ボこられんのお前なんだぜ。
俺も少しは悪いと思ってるんだぜ?親の前で手も足も出ず負けるのは恥ずかしいだろ?」
「……そうだな。じゃあ、手加減してくれよ。痛いのは嫌なんだ。」
「気が向いたらな」
手加減する気ないな。俺にとってもちょうどいい。どれくらい強くなったかわかる。
そのまえに『解析』使うか。
『解析』!
名前:サウロ
歳 :18
性別:男
レベル:20
スキル:剣術Lv20
レベルもスキルも20か。優秀だな。
レベル差は4だけど、『強化Lv9』で十分埋まるだろう。しかも、『体術Lv18』もある。
『剣術』に関しては同じレベルだ。……負ける要素がないな。
徹底的にいたぶってやる。
「両者、前に」
いつもの先生が宣言する。
模擬戦の武器は木刀のみだ。
頭・首・股間への攻撃は禁止。
万が一の危険性もあるので、治癒魔法持ちがいるから、死ぬことはないだろう。
勝敗は、負けを認めるか気絶するか審判がとめるかだ。
基本方針を決めるか。
最初は打ち合う。火炎魔法は使わない。何度か打ち合ったら、直接サウロに攻撃して、接触、『スナッチ』を発動。
こうはならなくても、柔軟に対応する。最後に『スナッチ』さえ成功すれば負ける可能性は0だ。
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
さっそく、サウロが突っ込んできた。いつもだったら攻撃を食らっていたが、……今日は違うぞ!
体の中心に突きを放ってきた。
冷静に攻撃を見切ってパリィする。
「なに!?」
やはり、驚いているか。一撃で決めるつもりだったのか?
俺も同じように突きを放つ。
「はぁ!」
「チッ!」
サウロが間合いの外までステップで回避に成功した。
『剣術』レベルが同じでは、いつまでやっても決着はつかないか。
パワー勝負に持ち込むか。
一直線にサウロに突っ込む。
俺の狙いが分かってないな。その場で構えている。
木刀を立てたままサウロと衝突して、つばぜり合いに持ち込む。
「オラアア!」
「舐めんな!」
馬鹿め!こっちの思惑通りに動いてくれた。
『強化Lv9』がある俺に力で勝てるわけがない。その腕もっと太くして出直して来い!
サウロの木刀を力任せに跳ね上げ、左膝に痛打を与える。
これで立てないはずだ。
「セイッ!」
「ガッ」
膝をついたな、右側ががら空きだ。
全力で左脇腹を攻撃する。『強化』の膂力全開だ。
「喰らえぇ!!」
「!!」
技術も減ったくれもない。正真正銘全力で振り切る。
サウロはその場で膝をついている。絶対によけれない!
「ぐあああぁあ!!!」
左腕で防いだみたいだが、関係ない。
左腕も折れてると見える。
このまま組み伏せて『スナッチ』を発動させる!
「俺の勝ちだな。」
「てめぇ!!何でそんな力をもってやがる!?」
「教える義理はない。」
『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!
!成功だ。これで、コイツの『剣術』は俺のものだ。
予想通りなら、俺はまた強くなる。
「そこまで!!終わりだ!勝者ネクロ!!」
観客席からどよめきが聞こえる。
「お父さん!ネクが勝ちましたよ!」
「いよっしゃああああ!!」
父さんはしゃぎすぎだよ。キャラ崩壊してるし。厳格な父を目指してるものだと思ってたのに。
この場にいるのは得策じゃない。ここまでやっておいて何言ってるんだっていう話だ。
家に戻って、準備しておいた荷物を持って出発だ。
「おい、ネクロ。ちょっといいか?」
先生がまたしても声をかけてきた。ゴブリンの時も声をかけてきたが、何か気づいているのか?
無視、無視。もう俺はここの生徒でもないし、騎士でもない。
さっさと観客席に行き、両親の手を引いて家に舞い戻る。
「父さん、母さん、帰ろ」
はしゃいでいる二人に声をかける。
「いいのか?先生呼んでるみたいだぞ?」
「いいんだよ。俺は騎士じゃないし。もうこことは関係ない。」
それよりも、早くこの場から離れたい。
「そう?なら帰りましょうか」
興奮冷めやらぬ二人を連れて今度こそ家に帰る。
今から気分は義勇兵だ。
家について自分の部屋に行き、荷物を持って一階へ戻る。
「父さん、母さん、早速だけどもう行くよ。」
「……そうか。まあ、あれだけの強さを見せてくれたんだ、大丈夫だろう。」
「そうね。凄かったわ、ネク。……でも、過信しちゃだめよ?魔物は本当に危険で強いんだから。」
「……そうだね。ちょっと調子に乗ってたかも。油断せずに行くよ。」
確かに、この1ヶ月は調子に乗ってたな。『スナッチ』なんてスキルを手に入れたせいだ。
プンプン!!
父さんが一歩前に出てくる。なんだ?
「これを持ってけ。俺が作ったナイフだ。刃物持ってないだろ?どうやって「魔石」を回収するつもりだったんだ?」
やべ!すっかり忘れてたわ。今までのゴブリンからも「魔石」回収してねぇ。少しは金になるのに。
「あとね、これ。お金。10,000ユグ。銀貨10枚ね。大事に使うのよ?」
10,000ユグ!?
「こ、こんなにいいの?1か月は暮らせるよ?」
「素寒貧でいくつもり?いくら義勇兵がお金を稼ぎやすいからって、当面の資金はいるわ。
義勇兵斡旋所のある町まででも、1週間はかかるのよ?その間、食糧どうするの?」
ホントに何も考えてなかったな。金1ユグも持ってないや。
「ありがたく貰うよ。今度ちゃんと返すから。」
本当にありがたい。
「じゃあ、もう行くよ。ここにいたら行きたくなくなっちゃうし。」
「ちゃんと帰ってこいよ」
「いってらっしゃい」
こうして俺は18年暮らした街を離れた。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございます。
次から義勇兵への道のりです。
評価してくださると、一段とやる気が出ます。




