第九話 最弱トカゲに転生した俺、獣人族の裏通りを案内してもらう
「ニャーサ、ブルド。俺は新ギルドを作る」
「にゃ⁉」
「何だって?」
「あーはっは。そんな新ギルドなど、私やトレーナーギルドが認めるはずがありません!」
「ガスタ? お前はトレーナーギルドの何なんだ?」
「そうですねえ。馬鹿でもわかるように言うとスポンサーと言ったところでしょうか」
ふむ。ガスタ商会とトレーナーギルド、アルカディアの関係をもう少し調べたいところだな。
俺が考え込んでいると沢山の視線を感じた。
大通りの人間たちの視線だけじゃない。
裏通りから覗く尻尾の付いた獣人族の目線も感じる。
エルモンたちも無言で俺を見つめていた。
特に人間たちに服従させられているエルモンは俺を助けてほしいという目で見ている。
「お金はどうするのです? 見たところ、お金に余裕があるという感じではありませんが?」
ブタモン改めガスタが聞いてくる。
「金? そんなもんねえよ?」
『はあ⁉』
ニャーサやブルド、沢山の人間や獣人族たちが呆れた声を出す。
「金はすぐに集まるけどな」
「どういうことですか!」
「それをお前に説明する義理はない」
「くっ」
ガスタが悔しそうに呟く。
だが気を取り直したのか、大きな声でこう言った。
「とにかく! ガスタ商会と取引している商店からの買い物は一切禁止させてもらいます!」
「おお、いいぜ」
「ふっ、今更許しをこいても……って! ムカつくやつですね! 良いですか。ニャーサやブルドも出禁です!」
その言葉に無表情を貫く、ニャーサやブルド。
そうだよな。俺の推測が正しければ……。
「ガラン、レンカ、ここは目立つにゃ。あたしの家に来るにゃ」
「ブルドも行く」
俺たちはニャーサやブルドの案内で大通りから離れた裏通りに入って行った。
俺達を無言で見つめる人間たちの連れているエルモンたちの視線を感じた。
待ってろ、もうちょっと時間はかかるけど助けてやるからな。
裏通りは、日があまり届かない暗い路地になっていた。
だがスラムという感じではなく、小さい獣人族の子供が走り回っている。
あまり臭いにおいもなく、活気も感じられる路地だ。
裏通りにはエルモンたちも子供たちと一緒に走り回っていた。
犬やタヌキ型のエルモンや鳥型のエルモンも飛び回っていた。
『ここって……全然表通りと違うわ』
『そうだな。予想通りだ』
野菜をたくさん積んである八百屋らしき、商店が見えた。
ここの店主は……馬らしき顔をした獣人族だ。
「ああ? 何で裏通りに人間がいるんだ」
「ホース、良いんだにゃ。この人は」
「この人はガラン。ガスタに喧嘩を売った人間だ」
どうやら馬の顔をした獣人族はホースというらしい。まんまじゃねえかと思ったが口には出さない。
「はあ? 人間がガスタ商会に喧嘩喧嘩を売ったのか? 馬鹿なやつだ」
「ホースって言ったか? あんたの所の野菜、表通りの野菜より質がいいな」
「おお? わかるのか! ひっひーん!」
いや、笑い方は馬なんかい!
俺は少し笑いながら、言葉を続ける。
「俺にはわかる。このかぼちゃは表通りの野菜よりもでかいし色がいい」
「ひっひーん! そうだろう! なんたってうちの自慢のエルモンたちが丹精込めて、作ったかぼちゃだからな!」
基本的にエルモン世界の物の呼び方は現代日本と変わらない。
まあ一部例外もあるけどな。
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