第十話 最弱トカゲに転生した俺、魔物退治に行く
「まずトレーナーギルドがどういう仕組みになっているか聞きたい」
『強引に切り替えたわね……』
レンカちゃんの念話がツッコミを入れるが無視だ。
ニャーサが渋い顔をしながら説明を始める。
「あいつらはエルモンを所持している人全員に強制的にトレーナーギルドに入るように義務付けているにゃ。しかも依頼を受けてもこちらに達成報酬を払う前に手数料として5割も持っていくにゃ」
「ブルドも説明する。横暴な手数料をかけて、文句を言ったものはトレーナーギルドから追放される。その際にエルモンも没収される」
「ひっひーん。ガスタ商会がスポンサーで表通りの商店と取引できなくなる。それだけならいいんだが、アルカディアの宿屋は全部ガスタ商会と取引しているから、アルカディアに泊まれなくなるんだぜ」
なるほどな。裏通りの商店街は利用できても、宿屋が使えなくなるからこの街に居られなくなるのか。
「誰かの家に泊めてもらえばいいんじゃないのか?」
「それをしようとした奴はいたにゃ。でもバレて、憲兵に濡れ衣を着せられて捕まったにゃ」
うーん。領主とガスタ商会もグルの可能性があるのか。
いやまだそれは決まったわけじゃない。
憲兵とガスタ商会も探っていきたいな。
「あたしとブルドはガスタ商会に睨まれたから、もうアルカディアの宿に泊まれないにゃ……」
「……」
ニャーサとブルドは暗い顔をしている。
だが俺は提案する。新しい抜け道を。
「魔の森は誰かの領地なのか?」
「いやそうではないにゃ。でも魔の森は野良のエルモンや危険な魔物が出るから住めないにゃ」
「じゃあ安全に暮らせる魔の森の住処を開拓すればいいんだな?」
「そんなのあるわけないにゃ。野良のエルモンはあたしたちも敵とみなして攻撃してくるにゃ」
俺はその言葉にニヤリと笑って、ハイリンクのイヤリングを触り、ウシ型のエルモンのマモンに連絡を取る。
『マモン? 聞こえるか?』
『お、ガランだべか』
『おう。それでいい住処は見つかったか?』
『近くに湖があって、洞窟もある場所を見つけただ! ただ……』
『ん? なんだ?』
『ゴブリンの巣になってるだ』
ほう、ゴブリンか。俺はにやりと笑って一旦ハイリンクを切る。
「ニャーサとブルドはゴブリンは倒せるか?」
「にゃ? ゴブリンは知恵があるから、二人じゃ無理だけどあたしとブルドのエルモンがいれば余裕にゃ」
「じゃあ、ゴブリン退治に行くか」
「ブルドも行く」
「ひっひーん! ホースは八百屋があるから行けないな。ゴブリンはどこにいるんだ?」
「魔の森の中だ」
それを聞いて、ニャーサとブルドとホースは血相を変える。
「にゃ! そんな危険なところに行けないにゃ!」
「へー、ブルドもそうか?」
「ブルドも怖い」
やっぱり魔の森は危険な場所に思われているようだ。
ここで俺がエルモンであることを明かしてもいいが……。
まあまだとっておこう。
「大丈夫だ。俺がいれば野良のエルモンに襲われることはない」
『ったく。早く自分がエルモンですって見せればいいんじゃないの?』
『いやそれはまだだ』
俺とレンカちゃんは目線を通じ合わせながら、念話で話をする。
すると怯えていたニャーサとブルドは俺達を見て、何かを感じたようだ。
「まさか、ガランはエルモンと話せるのかにゃ?」
「ブルドもそう思った。ガランのエルモン、レンカはガランと心を通じ合わせている」
お、良い感じに勘違いしてくれた。
今はこの方向で押し切ろう。
「そうだ。俺はエルモンと心を通じ合わせることができる」
「ま、まさか古のマスタートレーナーにゃ⁉」
「マスタートレーナー?」
「マスタートレーナーはおとぎ話に出てくる、人間でありながらエルモンと心を通じ合わせて、多くのエルモンたちを従えた伝説のトレーナーにゃ」
へー。そんなおとぎ話があるのか。俺はちょっと興味深いと思いつつそれを否定する。
「そんなことはないぞ。レンカちゃんとは幼いころから心を通じ合わせて来たんだ」
『なんかその嘘恥ずかしいわ』
レンカちゃんはぺしぺし、俺の顔に尻尾を当てる。
ちょっと目を向けるとトカゲの鱗が赤くなっているように思える。
うん、レンカちゃんは今日も可愛い。
「まあ大丈夫だ。どのみち、今日の宿がないなら、魔の森に急ぐ必要がある。行くぞ」
「仕方ないにゃ。覚悟を決めるにゃ」
「ブルドも頑張る」
二人のエルモンはどこに連れているのだろうか。
さっきはいなかったけど……。
「あたしのエルモンはこの子にゃ」
「ブルドの相棒はこいつ」
まず、ニャーサのエルモンは小狐型のエルモン。
この子はフウリンというらしい。
妖精タイプの銀色に光る毛並みの小狐だ。
すこし周りに光る玉を纏わせている。
HPと防御が致命的に低いが、素早さがトップクラスに早く特性はようせいだましい。
こいつはめちゃくちゃ戦闘で使えるエルモンだ。
次にブルドのエルモンはアイアンバップ。
こいつは小さい子供の狼型エルモンだ。
特徴的なのはブルドの狼顔で鎧姿とめちゃくちゃ似ていること。
小さい四足歩行の体に兜と西洋の鎧を付けている。
兜は和風の鎧なのだが、愛嬌があってめちゃくちゃに合っている。
アイアンバップは特性ががんこだ。
この特性も後で言うがめちゃくちゃ強い。
アイアンバップはHPと防御が高く、攻撃と魔攻と素早さは低い。
だが初期に覚える技がめちゃくちゃ特性と相性がいいんだ。
こいつもゴブリン戦でめちゃくちゃ活躍するだろう。
だが俺は心の中で喋っていたと思っていたがどうやら口から音が漏れていたらしい。
あれ、なんか変な空気だが?
「やっぱりガランはマスタートレーナーにゃ!」
「ブルドは感動した」
「ひっひーん! こいつは本物だぜ」
いや、俺ただの対戦廃人……。
『ちょっとガラン、何とかしなさいよ』
何故かフウリンとアイアンバップにもキラキラした目で見られている。
ど、どうしよ?
続く。
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