第十一話 最弱トカゲに転生した俺、ゴブリン退治に行く
「何を言っているんだ? 俺はレンカちゃんを愛するただのトレーナーだぞ」
『ちょっと何を言ってるの!』
レンカちゃんは俺の一言に恥ずかしそうに身をくねらせる。
「やっぱり古のマスター……」
「いや、それはもういいから。早く行くぞ」
俺はちょっと恥ずかしくなって、ニャーサとブルドとフウリンとアイアンバップを連れて、アルカディアの外に向かう。
ニャーサとブルドは宿屋に泊まれなくなったので置いてある荷物を取りに行った。
ニャーサは背中に刃が反ったククリ刀のような物を二本担いできた。
ブルドは大盾を持ってきている。
「おお、ニャーサとブルドは自分でも戦うのか」
「当たり前にゃ」
「ブルドはニャーサと組んで、タンク役をしている」
うーん、でもブルドのエルモンはアイアンバップだろ?
タンク役はアイアンバップに任せても良いんじゃないか?
ブルドに説明すると、首を横に振ってこう言った。
「アイアンバップはブルドの相棒。戦闘は危険」
「いや、戦闘を任せないと経験値がもらえないだろ!」
「それでもいやだ」
はあ。エルモンを大事にするのはいいが、戦闘をさせないのは論外だ。
これはお説教だな。
俺は門に向かいながら、エルモンを育てる意義を説明する。
エルモンは進化するたびに強くなる。
そしてトレーナーと心を通わせて、信頼度を得ていくことが大事なのだ。
そんなことをくどくど説明していると、またイケメン門番の所に着いた。
「やあ。トレーナーギルドで身分証は作ったかい?」
「いえ。ちょっと事情があって作れませんでした」
「何? まさかガスタ商会ともめたのか?」
「はい」
俺の言葉を聞いてため息をつく、イケメン門番。
「君、名前は?」
「ガランです」
「アルカディアには戻ってくるのか?」
「今日は戻ってくるかわかりません。ただ、数日後には戻ってきます」
「分かったよ。その時に俺がいたら、俺の家に来い」
「え?」
イケメン門番は俺の意外そうな顔を見て、にかッと笑う。
「俺はハルベール・アルカディアだ。この街の領主の次男坊だよ」
「え? 領主様の?」
「ああ。君は面白そうな男だ。ガラン君」
え、名前覚えていたのか。君って言ってたから覚えてないと思っていた。
その後、銀貨二枚を払い、俺たちはアルカディアの外に出た。
「はあ。どんどん金がなくなっていく」
「しょうがないにゃ。身分証がないからにゃ」
「身分証は、どっかのギルドで作れないのか?」
「商業ギルドでも作れる。後はハンターギルド」
商業ギルドは商人のためのギルドだが、ガスタ商会が絡んでくるだろうな。
ハンターギルドは絶対行かない。エルモンの俺が行ってバレたら捕まるだけだ。
これは領主様の次男坊のハルベールに期待だな。
天気は曇の間から日差しが差し込んで、心地の良い陽気になっていた。
恐らく春だろうな。
しばらく歩くと魔の森の入り口に差し掛かる。
悪徳ハンターたちのアジトから歩いて、マモンと別れたところだ。
ここからはマモンに洞窟まで案内してもらう。
『マモン。さっき別れたところまで来たぞ。どっちに行けばいい?』
『オラが向かうから待っててほしいだ』
だがここは魔の森。待っている間にも魔物は襲ってくる。
ニャーサが猫耳をぴくぴくとさせながら、小さい声で囁く。
「何か来るにゃ」
魔の森の木々の奥からがさがさと茂みが動く音がする。
暫くするとそれは出てきた。
「ギギャ―!」
「ギギャギャ!」
ゴブリン二体だ。ニャーサとブルドが武器を構える。
だが少し待ってほしい。フウリンとアイアンバップが生かされていない。
しょうがない。俺が指示するか。
「フウリンは風の導き! ブルドは前に出ろ!」
「ちょっと! あたしのフウリンに何言うのさ!」
「ブルドのアイアンバップが可哀想」
だが俺は有無を言わさず、二人にフウリンとアイアンバップの様子を見せる。
フウリンは目を輝かせ、アイアンバップは鎧をガチャガチャしながらやる気十分だ。
『私はどうするの?』
『レンカちゃんは待ちだな』
どうせいつもフウリンとアイアンバップは戦闘させてもらっていないのだろう。
それはエルモンにとって必要とされていないのと一緒だ。
過度に鞭で縛って戦闘させるのもダメだが頼ってやらないのもダメだ。
俺はそれをニャーサとブルドに言うと二人は黙る。
「ちょっと見てろ」
『……』
フウリンは風の導きを発動する。
風の導きは味方の素早さを十分間二倍にする。
特性のようせいだましいで先制発動できるから協力だ。
アイアンバップは素早さは遅いが、風の導きによって早くなる。
「バウバウ!」
アイアンバップは気合十分でゴブリンに突進していく。
「ギャギャ!」
ゴブリンは手に持っていた棍棒でアイアンバップを殴る。
「躱して、カウンターだ!」
「バウバウ!」
アイアンバップは普段の速度よりも身軽に動けるのでサイドステップで横に飛びのくとカウンダ―を発動させる。
カウンターは、相手の攻撃を躱すか受けた後発動することで、相手の攻撃の二倍の威力を相手に与える。
その威力は推して計るべし。
「ギャアアアア!」
アイアンバップは全身でカウンターの突進を決めて、ゴブリンは吹き飛ぶ。
後ろにいた二体目のゴブリンも同時に吹き飛び、マルチヒットして倒れた。
ボフン。
ゴブリンは左耳と魔石を残して、消える。
「どうだ? エルモンはお前たちの思うよりもずっと強いんだぞ」
『「すごいにゃ」!』
ニャーサはフウリンを撫でまわし、ブルドはアイアンバップを抱き上げてくるくるしている。
フウリンは喜んでいるが、アイアンバップは目を回していた。
だが二匹とも喜んでいる。
そうだよ。無理やり従わされるのも嫌だが、役に立てないのもつらいよな。
俺がいる限り、そんなことはさせないぞ。
次話、マモンと合流!
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