32.三本勝負(三)
ジオウの従者の提案で、一先ず応接間に移動することになった。従者の後を項垂れるように歩くジオウ、兄の背を心配そうに見つめるセリンとその従者、その後ろをリビトとマヤが歩いている。
ジオウは一人掛けのソファに全身を埋めるように深く腰掛けた。マヤはセリンの呼びかけで、すぐ横の長椅子に座ることになった。
リビトはソファへ座ることを拒否し、マヤたちが座るソファと逆方向にある壁に背をもたれかけるように腕を組んで立っている。
ジオウとセリンの従者はドアに近い壁際に控えていた。
給仕係が紅茶を手早く入れると、ジオウの従者の合図で応接間から出て行った。
部屋にはマヤとセリン、不機嫌極まりないジオウと再戦を頑なに拒絶するリビト、そしてジオウとセリンの従者が1人ずつ。
室内はどんよりと重苦しい空気を纏っており、誰もが口を閉じていた。テーブルに置かれた紅茶に手をつける者はいない。
暫くしてから、セリンが落ち着いた声で話し始めた。
「兄上、先ほどの勝負のことですが……」
「私は認めない。勝負をやり直さないと言うのなら、無効だ」
「――もう勝負が着いたんだ、やり直す必要はない」
ジオウはセリンの言葉を遮るように一貫した主張を続けた。その言葉に反応するように、リビトは平然と勝負は着いた、やり直しはしない、と答える。
マヤはここでも平行線の主張合戦が繰り広げられるのか、と鳩尾辺りを手で擦っている。
――この世界にも胃薬はあるのだろうか? サーティスに聞いておけば良かった、と今になって思う。
マヤの胃がチクチクと痛み出したが、主張合戦の最中にある者たちは決して待ってはくれなかった。
「――お前は昔からそうだった。剣術の才も魔法の才もいつだってお前の方が上だった。私はお前を超えようと、必死に食らいつき、毎日鍛錬を続けてきた。あの頃、お前との手合わせで勝てたことが己の自信になっていたのだ。
だが、今思えばお前は昔から私に気を遣っていた。私は妖精王の息子、次期妖精王。皆の前で叩きのめすのが忍びなく、手加減していたのだろう……。私は……私は、そうとも知らずに勘違いしていた、自分は強いと!」
「…………」
ジオウは大きく表情を歪ませている。マヤは、今にも泣きそうなジオウを見て、胸が苦しくなった。
セリンは暗い表情で俯いている。
リビトはただひたすらに沈黙を貫いているばかりだ。
「リビト! 何とか言ったらどうなのだ! 自分の方が強いと勘違いしている私を見ていて、そんなに面白かったか! 道化者の私は憐れであったろう?」
マヤもセリンも口を噤み、存在を消すかのようにピタリと動かずに座っている。
「お前はまたそうやって、そんな役回りを続けるのか? 今も、あの時も!」
「……!」
ジオウの膝の上にある拳は僅かに揺れるほど強く握り締められていた。
ジオウが過去の話を持ち出したことで、リビトは明らかに動揺を見せ始めた。
「いや、私はとっくに気付いていた。リビトが手加減していることに気付いていながら、知らぬ振りをしていたのだ――」
******
今から数百年前、妖精王に待望の跡継ぎが生まれた。
ジオウの母は妖精ではなく、精霊の血を引くマグスの末裔であった。妖精族よりも魔力は低かったが、明るく清廉潔白、見目麗しい容姿が妖精王の目に留まり、その寵愛を受けることとなった。
ジオウは両親の美貌を受け継ぎ、ルーディスで最も美しい者としてマグスが治める世に知れ渡った。
妖精族では、言語による意思疎通が図れるようになると、魔力操作を学び始める。ジオウは妖精王ほどの器はなかったものの、物心ついた頃には順調に成長していく姿に皆が安堵したのか、未来の王に期待を寄せるようになっていた。
間もなくして、マグスの王がリビトを連れて来た。リビトは魔力の低いマグスの母と人間の間に生まれた半魔人で、妖精族の中にはジオウにリビトを近づけることに反対する者もいた。
マグスの王と妖精王が決めたことに真正面から反対する者はいなかったが、陰ではリビトを半端者と罵る者も少なかった。
ジオウはリビトが半魔人だろうと気にすることはなかった。むしろ、早いうちから意気投合し、「リビト兄上」と実の兄のように慕うようになっていた。
「兄上、剣の稽古をしようよ!」
「あぁ、いいぞ!」
「兄上、手加減なしですよ?」
「あぁ、分かってるさ。ジオウ、どこからでもかかって来い!」
「やぁ!」
リビトは妖精の森に長く滞在する時は、毎日のようにジオウの剣や魔法の稽古に付き合った。
「兄上、魔法で勝負してください」
「あぁ、分かった。いつものように手加減なしでいいんだな?」
「もちろんです」
「今日は趣向を変えてみよう」
「しゅこう?」
リビトは地面に円を描くと、その中へ足を踏み入れた。
「ジオウ、俺はこの円の中から出ない。この円から足が出たら俺の負けだ」
「へぇ、いいんですか? そんな大見得きって」
「あぁ、問題ない」
「うっ、分かりました! 絶対その円から兄上を引きずり出して見せます」
「やれるものならやってみろ」
「ぐっ! それじゃあ、遠慮なく私から行きますよ!」
ジオウは得意の目眩ましで姿を消し、宙に浮きながら走り抜けて、四方からリビトに水魔法を放った。
だが、リビトは全身に光魔法を纏い、ジオウの攻撃も虚しく光に吸い込まれてしまった。
「兄上、さすがです。私の完敗です。今の私では全く歯が立ちませんね……精進いたします」
「ジオウは筋がいい、後は戦略を学ぶといいだろう」
「はい! ぜひまたお手合わせをお願いしますね」
ジオウとリビトの勝負後、妖精たちの中で妖精族の王子が半端者の半魔人にあっさり負けた。王子は剣の才もなければ魔法の才もない、と悪意のある噂が広まった。
妖精王は側近たちにジオウの耳に噂が入らないよう緘口令を敷いたが、給仕係が噂しているのをジオウが偶然聞いてしまい、ショックのあまり自室に引きこもってしまった。
妖精王もリビトも困り果て、話し合いの結果、ジオウに実力がつくまでの間、リビトが手加減することとなった。
数十年が経ち、独り立ちを控えた年齢になった頃、ジオウはリビトと魔法の稽古をしていた。
「兄上、剣では勝てませんが、魔法では負けませんよ」
「あぁ、ジオウは見違えるように強くなったな。ほどほどで頼むよ」
「まさか、この期に及んで私に手加減しろとでも? そんな無様な真似を兄上にさせられる訳がないではないですか。さぁ、どこからでもかかってきてください」
「はっ! 言ってくれるじゃないかっ」
あの噂が流れて以来、魔法でジオウがリビトに負けることはなくなった。引き分けかジオウの勝利が定番となった。
もちろん、ジオウが魔法の特訓を続け、リビトとの実力差が小さくなっていたのは確かな事実であった。
ある日、ジオウは頭の中でイメージするだけで魔法を発動できるようになり、父である妖精王から「其方は稀有な存在だ。私はお前が誇らしい」と褒められた。
ジオウは、父に褒められてとてもうれしかった。これまで王子でありながら自分のことを不出来だと思っていたが、尊敬する妖精王の父から褒められたのだ、うれしくないはずがない。その日は舞い上がって興奮しすぎて夜通し従者に話し相手になってもらった。
だが、ジオウはそれから間もなく、知ってしまった。リビトがあらゆる魔法の発動方法を操作できるようになったことを。
――ようやく魔法陣でも魔法を発動できるようになった。父上に言ったら喜んでくれるだろうか? また褒めてもらえるだろうか? 父上は応接間にいると給仕の者が言っていたな。
ジオウが緑のカーテンを開こうとした時だった。部屋の中から、話し声が聞こえてきた。
――ん? 確かに今、リビト兄上の名前が聞こえた気がするな。父上たちは兄上のことを話しているのだろうか? 父上たちは私がここにいるのを気付いていない様子だ。無作法だが、リビト兄上の名前が上がった以上、黙って去れないしな。よし、少しだけ聞いてみるか。
ジオウは聴覚を研ぎ澄ませ、室内の会話に耳を立てた。
「スノー、リビトは本当に全ての発動方法をできるようになったのか?」
「――信じられないだろう? 俺もこの目で見るまでは信じられなかったさ。だが、この目で確かに確認した」
「そうか……だとしたら、リビトの父親はやはり――」
「あぁ、間違いないだろう。だが、1つだけ気になることがある」
「気になること?」
「あぁ、リビトの母親はベスティア族だった。我等と過ごした時間は僅かだったが、魔力は確かに低かったのだ。ベスティアと人間の間に生まれた半魔人にあれほどの才を持つ子が生まれるとは納得がいかぬのだ」
「確かに、不可能と言えるな。ベスティアはそれほど魔力を持たぬ種族。父親の魔力が高いとしても、あれほどの才に恵まれるのは奇跡に近いな」
「あぁ、考えられるとすれば――」
「まさか! スノー、あの者たちの血筋にあると言うのか?」
「確信はない。だが、あの者たちであれば容姿はいかようにも変えられる。容姿だけでなく、魔力の器さえも……」
「しかし、あの者たちは先の大戦から姿を消してしまった。すでにルーディスを見放したと嘆く者もいるくらいだ。さすがにそれは……」
「その通りだ。それに、リビトの母親は確かに我が森で命尽きた。あの者たちの血筋であればもっと長く生きていただろう」
ジオウはリビトが半魔人でありながら、全ての発動方法を操作できるとその時知った。衝撃の事実を偶然耳にし、後半の話は頭からすっぽり抜けていた。
――兄上が、全ての発動方法を操作できる? そんな、まさか! 兄上は半魔人ではないか、そんなことが本当に起こるのか?
日々の鍛錬でどうにかなるものではない。いくら兄上が努力家でも、定めを変えられる訳がない。
兄上は私に一言もそんな話をしていなかったが……。1人で考えていても仕方ないな、兄上に直接聞けばいい話だ。
「兄上、兄上の発動方法は詠唱と魔法陣でしたよね?」
「あぁ、そうだ。俺もジオウのように頭の中で想像するだけで発動できたらいいのだが――」
「…………」
――兄上は何故私に嘘を? いつまで私欺くつもりなのだ? 私はとっくに知っているのに! では何故、私は兄上を問いただせないのだ? 私に気を遣うな、私に手加減するな、そう言えば済むこと。なのに、何故私は……。
そんなこと言えるはずがないか。半魔人の兄上に負けたら、また私の悪評が立つ。そのうち次期妖精王に相応しくないと言われるかもしれない。そんなことがあってはならない。私は妖精王の嫡子で、唯一の正当な後継者なのだ。
それに良いではないか、父上も兄上もご存知の上で皆を騙しているのだ。私は騙されているだけにすぎない。黙っていれば誰も私を咎めることはないのだから――。
「ジオウ? どうかしたのか?」
「――いえ、何でもありません。私は……私は稀代の天才と言われているのですよ! 兄上に剣では勝てませんが、魔法なら私の方が上ですから!」
「――あぁ、そうだな」
リビトは魔法ではジオウに勝てない者を演じ、ジオウは魔法だけはリビトに勝てるという道化師となることを自ら選んだ。
******
「私は怖かったのだ! 次期妖精王の名に相応しい者であらねばならない、ずっとそう思ってきた。皆の期待を裏切ってはいけない。父上のように強く頼もしい者でなければ王にはなれない。
私はそう思って己をずっと騙してきた。だが、やはりそんなこと間違っている! 正々堂々戦ってこそ、真の王を継ぐ者となれるのだ。手加減されて偽りの勝利を得ても意味がないのだ!」
ジオウは長年胸に秘めていた思いを吐露した。一方のリビトは――。
「お前がどこで何を聞いたのかは知らないが、そんなことはどうでもいい。それに王の正当性を今さら問うて何になるというのだ?
お前は思い違いをしている! お前が青臭いガキだろうが、女々しかろうが、妖精王を受け継ぐ者はお前だけだ! 王になる者は何より血筋が大事だ。お前が例え強かろうが、弱かろうが、王を継ぐことに変わりはない」
ジオウの話を黙って聞いていたリビトだったが、ジオウの話を完全に否定した。その瞳には苛立ちが混じっていた。
「くっ! 何故だ? あの日、何故私を庇ったのだ! お前が私を庇ったせいで、私は――!」
ジオウは拳を膝に打ちつけている。
「殿下! お止めください、そのように強く打ちつけては――!」
ジオウの従者が止めに入ろうとしたが、主の苦悩する表情を見て、何も言えなくなってしまった。
「私はずっと後悔していた。あの日、私は人間が仕掛けた魔法陣の罠に全く気付かなかった。お前が自分の魔馬を私の魔馬に当てなければ、私はきっと今頃ここに存在しなかっただろう。
私は愚かだった。自分の弱さを受け入れられず、全ての責を誰かに押しつけていた。私が己の弱さを受け入れていれば、あのようなことは決して起こらなかった――。
もう、私は逃げない。全てを受け入れる。だからリビト、もう一度魔法で私と真剣勝負をしてくれないか? この通りだ、頼む」
ジオウはソファに座ったままだが、リビトの方へ体を向けて頭を深く下げた。
「兄上……」
セリンはジオウの話を聞いて複雑な心境ではあったが、兄2人が仲直りする絶好のチャンスだと信じている。
ジオウがあれほどまでに頑なに話さなくなった過去の話を自ら始めた。内心、良い兆候だと考えていた。
ジオウが過去のことを悔いている、この流れであれば仲直りもスムーズに進むのでは、と期待に胸を踊らせかけていた時だった。
リビトが突然大きな声でジオウの言葉に反論した。
「いいかげんにしろ! 黙って聞いていれば勝手なことを言いやがって。勝負は勝負だ。俺の油断で負けただけのことだ。やり直しなんて時間の無駄だ」
「何故だ? 私がどんな思いをして――、こうやって頭も下げたというのに何故そこまで私を拒絶するのだ!」
ジオウは表情を大きく歪ませていく、静かに立ち上がると左右の拳からたらりと血が垂れた。
「兄上! 気をお沈めください!」
「殿下! いけません、ここには王女様もマヤ殿もおられます。気をお収めください!!」
「セリン! マヤを連れて今すぐに部屋を出ろ!」
「リビト兄上、しかし!」
「いいから早くしろ!」
「――はい。マヤ、ここは危険だわ、行くわよ」
「えっ! でも……」
「バリア!」
セリンはマヤの返事も聞かず、バリアを張ってマヤの手を引いて応接間を出た。その後をセリンの従者が着いていく。
ジオウの全身は緑がかった光で覆われ、激しく波打っている。光の波が接触するとバチッ、バチッと破裂音が響いた。
「リビト殿、貴殿もすぐに部屋を出てください。私が殿下を何とか抑えていますから」
「いや、しかし――!」
「リビト、私と勝負をしろ! 逃げるなど、私は許さないぞ――!」
「――!」
ジオウを包む緑の光は胸の前に出された左手へと集結していく。左手はジオウの頭上を越えるほどの高い光柱が揺らめいている。
「殿下! なりません!!」
ジオウの従者は水色の光を全身に纏わせ、ジオウとリビトの間に自分の身を滑り込ませた。
「フィデリス! どけ!!」
ジオウの従者はジオウの魔力によって応接間の壁に投げ飛ばされ、「うっ!」と呻き声を上げた。
ジオウの視線は再びリビトへと真っ直ぐ向けられている。そのライトグリーンの瞳に輝きはない。リビトは、まるで深い闇にでも吸い込まされそうな感覚に戸惑った。
「……! ジオウ――」
「リビト、お前が戦う気はなくとも、私が攻撃をすれば対応せざるを得ないはずだ。さぁ、行くぞ!」
「よせ! ここではまずい、お前が戦いたいというならいくらでも付き合ってやる。場所を変えよう!」
「そんなことを言って、逃げるつもりではないのか? 私はもう騙されないぞ、覚悟しろ!!」
ジオウは左手を上げて、さっきよりも強い光柱を輝かせ、リビトへ光の玉を放った。
リビトは両手を前に突き出したまま全身を光魔法で覆い、ジオウの攻撃に備える。ジオウが放つ光の玉はリビトの両手に吸い込まれていった。
「あははは――、さすがだな、兄上殿。だが、まだ勝負は始まったばかりだ。まだこれからだ!」
ジオウが再び左手に緑の光を纏わせ、さっきよりも高く大きな光柱を立てたその時――。
「一体、これは何の騒ぎだ!」
応接間に入って来たのは妖精王であった。王は壁際で片膝を立てて控えるジオウの従者を横目で見て、室内の荒れ様を見回した。
ジオウが纏う光はスゥーっと内に吸い込まれるように消えていった。
「これは父上、良い時にいらっしゃいました。今、私は兄上殿と真剣勝負をしているのです。父上も勝負の行方を見届けてください」
「ジオウ! 何を馬鹿なことを言っているのだ。ここは王宮ぞ、其方は何を考えてこのようなことを!」
「父上、分からないのですか? いえ、そうではありませんね。私は随分前から知っていたのですよ」
「一体何のことを言っておるのだ!」
「リビトは王子である私の悪評を消し去るために、わざと私との勝負に手加減をしてずっと私を欺いてきたのです。愚かな私は己の実力で勝ったのだと信じておりました。
ですが、父上とマグスの王の会話を聞いて真実を知ったのです。リビトは私よりも遥かに優れた能力を持っていると――」
「ジオウ……! リビト、これは一体どういうことだ?」
「妖精王、それが――」
「父上! 何故私には何もおっしゃってくださらないのですか? 私は次期妖精王、妖精王の唯一の王子です。何故私だけいつも蚊帳の外に置かれるのですか? 答えてください!」
「――ジオウ……」
「ジオウ! 何を血迷ったことを言っているんだ! お前は己の実力で俺に勝ったんだ、それ以上の真実などあるものか!」
「リビト、もう良いのだ――」
「妖精王、何が良いというのですか……!」
妖精王は溜息を1つ吐くと、「皆今から一切の魔力の使用を禁ずる。良いな!」と強い語気で言い放った。
「それから、セリンプスとマヤ殿もこちらへ来なさい」
応接間のカーテンからセリンが顔を出し、「はい」と短い返事をしてからマヤと一緒に室内へ入ってきた。
「暫くの間、この部屋への立ち入りを禁ずるものとする。この部屋には防聴用の帳を下ろす。ここにいる者以外は外で待機せよ」
「「はっ!」」
応接間にはマヤとセリン、妖精王、リビト、ジオウと従者の6人だけとなった。王は右手を高く上げると「ノーナーディオ!」と詠唱を唱えた。応接間は金色の光のベールに包まれた。
マヤが不思議そうに金色の光のベールを眺めていると、セリンが、室内の音は光に全て吸収されて外へ僅かな音も漏れない、とこっそり教えてくれた。
「皆、ソファへ座りなさい。フィデリスもだ」
妖精王の言葉に皆黙って従い、ソファへと座った。妖精王が1人掛けソファに座ると、向かって左にジオウと従者のフィデリスが、向かって右にはセリンとマヤが、妖精王の正面の1人掛けソファにはリビトが座った。




