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山手線×ゲーム  作者: 亟遊 次人(きゆう つぐと)
3/5

佐藤と田中②

ーーAM 02:10 JR神田駅到着。ここまで会話も何一つ介さず、お互い相手が見える距離くらいの間隔を空けて座席に着いた。その間、黒袋に入っていた物を取り出す。中身には刃渡り15センチのサバイバルナイフと手紙が同封されていた。手紙の内容を読むと以下のことが書かれていた。

◎非社畜の皆様へご案内

 この封筒が届くということは、あなたが無職期間30日を過ぎても働く意志が感じられない非社畜ということを知らせる通達であることをご確認ください。今年から制定された法律「パラダイム・シフト法」について説明致します。この法律は皆様国民様の パラダイム(価値観)を我々が目指す理想の国民様像(社畜)へシフトさせて頂く拒否権無効の法です。皆様は大変申し上げにくいのですが、現段階ではこの国の国民ではありません。そんな皆様を我々は国税で養っていくことは大変厳しい現実がございます。つまり、価値観をこちら側の理想像に近づかない場合、人権の無いゴミ人間と扱わさせていただきます。我々もゴミがそう簡単に価値観を変えるとは思わないので、この際シフト出来なければ排除することにしています。

 長文もゴミにはきついと思いますので簡単にルールを説明させて頂きます。

日程 11月10日

開始時刻 AM02:00 

場所 JR品川駅 車内にて行います。持ち物は黒袋だけで結構です。

不明な点がございましたら担当の携帯にかけてください。・・・電話できますよね?

TLL 070-XXXX-XXXX 中川 以上です。


 なんともふざけた内容だから、佐藤は実感がなかった。しかし当日駅まで迎えが来たり、車内で液体を注射器で投与されたりとその業務的な作業に自分が知らないところで日本は大きく変わっていたんだと思わされた。何気なくみているニュースも、どこか遠い国で自分とは関係のない事件だと漠然と画面を眺めていたことに知った。

 「相手をこれで殺すのかな?」佐藤は袋に入っていたサバイバルナイフを取り出し掲げた。

 その瞬間を女は見逃さなかった。座席から立ち佐藤を睨みつけながらナイフを構えていた。両手で握りしめかすかに震えている、足も子鹿のようで立っているのもやっとみたいだった。

 「来ないで! 動かないで! こっちを見ないで! 私に殺させて!」女は取り乱してる。

 「待って! 本当に殺し合う必要なんてあるの? 落ち着こうよ」

 「正気でいってんの? それとも馬鹿なの? このまま山手線一周してしまったら私たち毒ガスで身体を焼かれて死ぬんだよ」

 「毒ガス! そんなことどこにも書いてないよ」「裏面読めよおっさん」

 佐藤は非社畜のご案内のハガキの裏面をみてみた。そこには箇条書きで二つルールみたいなものが書かれてあった。

① 価値観を変えることは、国に対して無駄なコストを削減すること、つまり機会コスト(無職)を捨てること。

② 価値観を変える事ができなければ、捨てます。(アルカリ性の毒ガスにて)

 ※ 裏面もあるよってここに書く事じゃなかったね


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