第29話 魔獣顕現★(挿絵有り)
俺はその後二部屋目の湧き部屋を確認したがどちらにもレインが居なかったので、一度セーフエリアへと戻るため通路を走っていた。
「っ!? なんだ、この感覚は!?」
その時突然俺の全身を悪寒が駆け抜け、何故かレインが本当にまずい状況であるという予感がする。
「えっ!? っぶな!!」
直後走る速度が突然上がりバランスを崩して転倒しそうになるが、なんとか転ぶ事は免れた。
「急に身体能力が上がった……? もしかしてエンゲージリングが関係しているのか?」
『はい、そうです』
「なっ!? この声は……魔獣ウィンドウルフの時の……?」
突然俺の頭の中に女性の声が響き驚いたが、聞いた事のある声だったのですぐに冷静さを取り戻す。
『お久しぶりです、マスター。連絡が出来ていなく申し訳ありません』
「あの後うんともすんとも応答なかったのにどうして今急に……」
『端的に申し上げますと今この瞬間、マスターの力が本来の力の一部を取り戻しているからです』
「本来の力……? いや、それよりもなんで今俺の力が上がっているんだ?」
『マスターの力が上昇する条件は色々とありますが、恐らく今は仲間の危機が該当していると思います』
「……まるでこちらの状況を理解しているような口ぶりだな?」
『ある程度は。ですので急いでください、マスター。今のあなたなら仲間がどこにいるか大体把握できているはずです』
「……あぁ、感じる。あっちの方角か」
『急いでください。本来であれば逃れられない危機に、今仲間が直面しているか間もなくその時が訪れます』
「本来であれば逃れられない危機」というのはどういう事だ……?
だがひとまずこの女性の声を信じダンジョン内を、上がった身体能力をフル活用し全力疾走する。
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「アイツ今度は自分から会いに来るって言ってた……。それまでもっと強くならなきゃ!! だから、この程度の魔物簡単に倒せなきゃいけないのっ!!」
数分後すぐにレインが居ると感じる湧き部屋を見つけ、確かに彼女の叫ぶ声が聞こえて来たのでそこにいる事を確信する。
部屋に踏み込むと部屋の奥にスケルトンが群れており、どうやらレインは囲まれてしまっているようだった。
「えっ!!」
その時、彼女の驚くような声が聞こえる。
『マスター、まずい状況です。レインがやられるのであそこに飛び込んでください』
「っ!! 簡単に言う!!」
『今のあなたなら身体強化込みでなんとかなります。さぁ、早く』
俺は言われるがままに身体強化を発動、大きく飛んでスケルトンの群れへと突撃する。
滞空している時に状況を把握するとレインは大楯のスケルトンに囲まれ、スケルトン達に対する有効打を失っていたようだ。
そして今まさに大楯のスケルトン達によるチャージで、彼女が押しつぶされそうになっているのが見える。
その中心へと俺は飛び降り、強化を持続させた剣の一振りでスケルトン達を鎧袖一触する。
――ガガガガガ、キィイイイン!!
大楯を吹き飛ばした後レインの無事を確認するべく振り返ると、ちょうど彼女もこちらを見る。
その顔は涙で濡れていたが、俺の顔を見た瞬間ひどく驚いた顔へと変わった。
俺も正直大楯を鎧袖一触出来たことにびっくりしているが、まず彼女を安心させるため笑顔で話しかける事を意識する。
「よかった、間に合った」
この時レインが安堵感を感じて居るというのがなんとなく伝わって来た。
「テイトさん……? どうしてここに……? それにその目は……」
「えっ、俺の目……?」
『左目が紅く光っています。カッコイーですよ』
「は? どういう事? なんでそんなことに……?」
『エンゲージリングの使用による副作用みたいなものです、気にしないでください』
いや確かに視界に変化は特にないからいいんだけど、レインが指摘するってことはよっぽど輝いているのでは……?
「えっと……テイトさん、誰と話しているの?」
まずい、確かにはたから見ると独り言を言っているヤバい奴だ。それにまだ周りにはスケルトンが居る。
「気にしないで。それよりレインさん、怪我はない?」
「う、うん……」
「それは良かった。叫んでいたの聞こえていたからなんとなくわかるけど、後でこんな危険な事したか理由をみんなに話してよ?」
「……ごめんなさい」
この時レインと話しながら、大楯達が復帰してまた囲まれ始めているのを横目で確認した。
「ひとまず全方位囲まれたままだと戦いにくいから、一旦状況をリセットしようか」
「えっと、どうするの?」
……身体強化の強化幅が大きくなった今なら、多分レインを抱えてこの集団を飛び越えられるかな。
俺は残り少なくなってきた煙幕を足元に投げつけ、スケルトンから姿を隠してレインをお姫様抱っこする。
「レインさん、ちょっと失礼」
「えっ!?」
そして身体強化を発動させ全力で――飛んだ。
「きゃああああああ!!」
俺達はスケルトン達を大きく飛び越え、部屋の反対側へと着地し、ゆっくりとレインを地面へと降ろした。
「びっくりした! びっくりしたー!!」
「手荒でごめん」
「う、ううん……びっくりしはしたけど……」
そう言うレインは俯いてどこか歯切れが悪かった。
「レインさん? ……もしかして着地の時どこか打ったりした?」
「な、何でもないよっ!」
「ならいいけど……」
ひとまずレインの様子は置いておくとして、スケルトン達の動向を確認すると、こちらの事を再度取り囲もうとする動きをしている。
また完全に陣形を組まれる前にこちらから先制攻撃を仕掛け、殲滅してしまった方がいいな。
今の強化されている俺が前衛を務めれば、問題なく彼女の炎を活かして戦えるだろうし。
「レインさん、まだ戦える?」
「勿論いけるよっ!」
いつもの調子に戻ったレインは炎の剣を顕現させると正眼に構えた。
「わかった。なら俺が大楯の防御を崩して他のスケルトンの注意も引くから、タイミングを見て炎で一掃しちゃって欲しい。それが一番効率的で安全だと思う」
「了解! 炎使う時は危ないから声かけるねっ!」
「よろしく、それじゃあ行くよ!」
俺は身体強化を発動させスケルトンの群れへと正面から突っ込む。
そこからは先日の苦労が嘘のように一方的な戦いだった。
そうして十分も経たないうちに、スケルトン達は剣と小楯を持つ個体を残して殲滅された。
「はっ!!」
俺はスケルトンの一撃をギリギリで見切った後、スケルトンを足払いし転ばせ魔石に剣を突き刺す。
スケルトンが俺の一撃を受け動かなくなったのを確認し、俺は剣を鞘に納めた。
「終わったねー! お疲れお疲れっ!」
「そうだな、お疲れ」
「めちゃめちゃ楽に殲滅できたねー! もしかしてレインとテイトさんいいコンビかもっ?」
「ははっ、そう言ってくれるのは光栄だな。明日以降パーティーとしてどう戦っていくか、色々と考えてみようか」
「うんっ! それじゃあ宝箱を……ってあれ。そういえば宝箱……出て来ないね?」
……言われてみれば確かに。それに最後のスケルトンがまだ消滅していない。
まさか――。
そう思った瞬間、俺の本能が今すぐここを離れろと警鐘を鳴らし始める。
『マスター、まだ終わってません』
その声に導かれるように先ほど最後に倒したスケルトンを見ると、ゆっくりと起き上がっている所だった。
「えっ……なんで……? さっきテイトさん確かに魔石貫いていたよね……?」
確実に先ほど魔石を刺したが、思い返すと魔石が砕けた感覚は無かった。
それに倒したと思った後、全然身体の消滅が始まらなかったのも変だった。
要するにあのスケルトンは今まさに――
「あのスケルトンは……魔獣に成った」
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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タイトルに★が付いているものは挿絵入れたので、良ければ読み返してみてね!
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