第28話
私は自分の炎の制御力を向上させるため、一昨日と同程度の広さの湧き部屋が何部屋かあると聞いて単身挑戦しているところ。
すでに二部屋攻略していて、今は三部屋目なんだ。
「はぁああああ!!」
私は声を上げ目の前にいるスケルトン達に向け、顕現させた剣を振るって炎を叩きつける!
「っ!! またっ!!」
一部屋目と二部屋目は順調に殲滅できたけど、今回は大楯のスケルトンが複数体で陣形を組み私の炎が防がれた!
先ほどから何度も見た光景だ……。少し前までは特に陣形を組まれなかったので、周りを燃やさない練習も兼ねて炎の制御を意識しつつ炎をぶつけていた。
だけど防がれるようになってからはそんな余裕はとっくに無くなり、自分の最大火力をただ叩きつけて周囲一帯を攻撃する炎になっちゃってる。
ただ良くも悪くもその結果、周囲を二十体程度のスケルトンに包囲されてしまった今でも、炎が牽制となって大楯の後ろから他のスケルトンが出て来れないのは幸いかな……。
「アイツ今度は自分から会いに来るって言ってた……。それまでもっと強くならなきゃ!! だから、この程度の魔物簡単に倒せなきゃいけないのっ!!」
ただ私はお父さんの様に剣術などの身体裁きがどうしても上達しなかったので、魔術や炎主体で戦っていたから今の様な硬直状態の現状を打開する術がない。
どうしようか考えていると、全方位から矢が飛んで来たので炎を自分の周囲に放ち防御する!
「えっ!!」
直後大楯が炎の壁を破って、突然目の前に迫ってくるのが見える。え、これかなりまずくない?
それがスケルトン達による大楯のチャージ攻撃だと、理解出来た時にはもう遅かった。
大楯のスケルトン達は狙っていたんだと思う。私が自身の全方位を炎で覆い、彼らを認識できなくなる瞬間を……!!
炎で対抗する事が出来ない以上、このままだと私は大楯に潰されて……死ぬ!!
だけどどうしようもない状況だったから私は目を瞑り、その瞬間が訪れるのを待つしか出来なかった。
嫌だっ!! まだ死にたくないっ!!
せっかくリビアちゃんっていう同年代で同じ女の子のお友達が出来たのに。
ようやく仇の名前という大きな手掛かりをつかんだのに!!
お兄ちゃんのような存在のロキ以外の冒険者で、初めて私の事をちゃんと人間扱いしてくれる人に出会えたのに!!
「誰か、助けてっ……!!」
――ガガガガガ、キィイイイン!!
その時、誰かが私の近くに着地したかと思うと、迫っていた大楯が吹き飛ばされた。
「よかった、間に合った」
目を開けると、そこには左目がルビーのように紅くなったテイトさんが居た。
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俺とリビアはロキからの連絡を受けて、集まりやすい場所にあった冒険者ギルドへ向かった所、すでに杖を持ったローブ姿のロキが居た。
「いきなり呼びつけてすまない」
「いや、一大事だから気にしないで。それでどうなっているんだ?」
「バウスさんからの話によると、思いつめた顔をして湧き部屋の場所を教えてくれ、と言われたそうだ。そしてそのまま静止も聞かずに、一人でダンジョンに走って行ってしまったと聞いている」
「どうしてそんな事を……。いや、まさか……」
「テイトさん、何か心当たりがあるのかい?」
「あぁ、実は――」
俺は昼過ぎにレインが彼女の仇であるアヅマに会った事、戦って全く歯が立たなかったが何故か見逃され、今度はアヅマから会いに来ると伝えられた事をロキとリビアに話した。
「少し街が騒がしいと思っていたがそんなことが……だがそれなら納得だ。よく仇の話は聞かされていたからね」
「ん、でもなんでダンジョンに一人で入ったの?」
「それは恐らくだが人に迷惑をかけず、自分の力をコントロールの練習をする場所を求めたからじゃないかと僕は思う」
「なるほど……でも流石にレインさんの力でも一人で沸き部屋は無茶だろ。大楯のスケルトンに囲まれて、彼女の炎でも対処できない状況になってる可能性がある」
「なら早くレインを助けに行かないと」
「そうだね。僕は今すぐにでも行けるけど、二人はどうかな?」
見るとロキは確かに既に完全に装備を整えているようだ。
「武器や防具はお互いのストレージリングに保管しているから大丈夫なんだけど、備品を補充させてほしい」
「わかった、補充は僕がしてくるから二人はギルド内の更衣室で着替えて来てくれるかい?」
「了解」「わかった」
俺は着替えながらレインをどうすれば最速で見つけられるかを考えていた。
一刻も早く装備を整える事を優先したので俺とリビアどちらも、新しい魔獣の防具ではなくいつもの防具をつける事にした。
やはり戦闘を行うとどうしても時間を取られてしまうので、戦闘を避けつつレインを探すのがいいだろう。
となると……煙幕を多めに準備してもらった方が良さそうだと思ったので、ロキにトークを使って煙幕の補充量を多めにしてほしい旨を連絡する。
俺達が着替えを終えた後ロキも補充を終えて合流したので、そのまま急いでダンジョンへと向かった。
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レインの火力を考えると道中の数体程度のスケルトンに負ける事は考えにくいため、俺達はダンジョンに入ると煙幕を使いつつ戦闘を避け迅速にセーフエリアへと向かう。
ダンジョンの各階にある湧き部屋は、例外なくセーフエリアから先にあるためだ。
そうして俺達は戦闘しながらだと二時間以上かかる道のりを、十五分程度で駆け抜けた。
「ふぅ……セーフエリアについたな」
「それでどうやってレインを探すつもりだい?」
「ダンジョン内では携帯が通じないし、足で見つけ出すしかないな。俺とリビアがセーフエリアから分かれて近い湧き部屋から順に捜索する。レインさんが居なければここに戻る。ロキさんはセーフエリアで待機してもらって、戻って来る俺とリビアの情報をまとめほしい。そして捜索できていない方角や場所を教える、という方法にしよう」
「ん、わかった」「了解した」
「捜索するときはここまでと同じで基本戦闘は避けつつ、レインさんを早く見つけ出すことを優先。レインさんの炎があれば問題なくスケルトンは倒せてると思うけど、もし発見した時に各自の加勢でもどうしようもなさそうな状況だったら、煙幕や油とか時間稼ぎ出来る物資を彼女に渡してセーフエリアに戻る事」
「報告を聞いた僕の判断ですぐに二人で加勢に向かうか、それとも三人揃ってから行くべきか決めていいのかな?」
「うん、そうしてほしい。リビア、もしレインさん一人で問題なさそうな状況でも、彼女を連れて一度セーフエリアに戻って欲しい」
「引きずってでも連れてくる」
「よし、じゃあ時間が惜しいから行こう! リビア、怪我の後無理させて申し訳ないけど気を付けて」
「ん、テイトも」
「二人とも、レインを頼む!」
そうして俺とリビアはセーフエリアから近い湧き部屋へ向け、それぞれ駆け出した。
更新遅れてほんとにごめん!
急用が出来て22時過ぎに戻ってきました……
挿絵も明日以降いい物生成できたら追加するね!




