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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
27/31

第27話 ★(挿絵有り)

「キャー!!」


「えっ、なになに……?」


「ちょっとヤバくないか? 逃げようぜ」


 レインからの突然の攻撃によって、近くにいた人々が慌ててこの場から離れた。


「なんだァ? てめェ……」


「その剣はやっぱり!! お父さんを返せっ!!」


「ん~……?」


 男は少し考える素振りを見せた後、合点がいった様子で右手に持った剣をひらひらさせる。


「あぁ、お前昔に見逃してやったこいつのガキか? デカくなったなァ。パパの代わりによちよちしてやろうかァ? それともハグしてやろうかァ?」


 男は煽り口調でそう言いニヤニヤ笑いながら、煽るような顔をしたまま両手を広げハグを受け入れる体制を取る。


 男の反応を見てレインは普段の表情からは想像できない怒りの表情を顔に浮かべ、今にも男に飛び掛かりそうな雰囲気を醸し出し始めた。


「んのっ!! 絶対に許さない!!」


「まさかこの男がさっきの話の……?」


「……そうだよ。お母さんの仇で、私のお父さんも奪った人殺し。まさか話してすぐに会うことになるなんて思わなかったけどっ!」


 それを聞いた男は肩をすくめてやれやれといった表情を浮かべた。


「おいおい人殺しなんて人聞きが悪いじゃないか。俺はただモノを有効活用しているだけだぜ?」


「モノだって……? レイン達ブレイダーを何だと……!?」


「何って、だからモノだろ? 何度も言わせんなゴミ」


「……レイン達はモノじゃない! お父さんを返してもらうよ!」


 そう言ってレインは自らの剣を顕現させて男に相対する。


「ん~、昼飯後の腹ごなしくらいにはなってくれよ?」


 俺はストレージリングから剣を取り出し、レインに加勢するべく隣に立つ。


「レインさん、俺も加勢――」


「テイトさんは手を出さないでっ! これはレインの敵討ちだからっ!」


 そう言って彼女は数歩前に出ながら、俺に聞こえるくらいの小さい言葉で続けた。


「ありがとう。でも絶対勝てないって分かってる戦いに巻き込みたくないんだ……」


 だったら尚更一緒に戦う、そう言おうと思った時には、レインは既に炎をまき散らしながら男へと駆け寄っていた。


 男はレインの攻撃を同じく炎の剣で対抗し彼女の攻撃を相殺しているが、時々まともにレインの炎をその身に受けていた。


「なんでっ!?」


 ただそれも避けれなかったからと言うわけではなく、ワザと攻撃を受けているように見える。


 実際炎が直撃しても男がニヤニヤとした表情を崩していおらず、また直撃した箇所に全く火傷の様な傷が出来ないからだ。


 最初はレインが人を炎で攻撃するのを心理的に忌避していることで、見た目ほど温度が高くないか炎が直撃していないのかと思った。


 だが男の服が所々燃え始めている所を見ると、そう言う訳でなく直撃しても男が何故か燃えていないだけというのが分かる。


「おーおー、俺の服が燃えてきちまったぜ。だんだんセクスィになってきちゃったなァ?」


「ふざっ、けないでっ!!」


 男が戦いの合間合間にレインを煽る度、彼女の炎が強まっていく。


「効かねぇ、効かねぇ、効かねぇなァ!! お前のパパも俺に全く傷を与えられなかった!! お前に俺が傷つけられるわけがねぇだろぉ!?」


「そんな事っ!!」


「お前のパパの願いは『自由に生きろ』だった……か? 俺に喧嘩売ったせいでそれもここで無駄になっちまうなァ!!」


「……っ!!」


「あぁ、そうそう。お前が死んだら次はそこの男の番だ。お前と一緒に居たばっかりになァ、不幸な奴だ」


「やめてっ!! テイトさんは関係ない!!」


「じゃあもっと頑張らないといけねぇなァ! ほらほら、お前の力はそんなもんか!?」


「言われなくても!!」


 そうしてレインが一層火力を上げた時、今まで大体男の方に向いていた炎が、彼女を中心に全方位に向け今までにないほどの熱量で広がり俺も猛烈な熱に襲われる。


「あっつ!?」


「制御っ、出来ない!?」


「ギャハハ! やっぱりまだ自分の感情と炎を制御できてないんだなァ! あの時みたいにこの街と連れの男が灰になっちまうなァ?」


 そう言われレインはハッとした顔を浮かべると炎が一瞬で消え、焦った顔でこちらに駆け寄って来た。


「ごめんテイトさん、つい感情的になって……。ってあれ……? 無傷……?」


「えっと……そうみたいだ。確かに全身を焼かれる様なとんでもない熱は感じたんだけど……」


 俺は全身を確認したが火傷がないどころか、服なども全く焼けたりしていなかった。


 ただ感じた熱が嘘ではなかった事は、彼女の炎が全方位を焼き尽くし辺りが悲惨な状況であった事から判断できる。


「んー? こいつは……まさか俺様が見誤ったのか……?」


「アイツ血が……」


 一方男を見ると服がかなり燃え落ちており、また肌が少し焼けて青い血がわずかに流れていた。


 男は少し思案する素振りを見せた後、一人で納得した様子を見せた。


「おいガキ、命拾いしたな。今回も特別に見逃してやるよ。今度は俺様から会いに来てやるから、次まで契約者を見つけて真の力を発揮できるようにしておけ。力次第では、もしかしたらお前のパパも自由になれるかもなァ?」


「どういう事っ!?」


「さァなァ。んじゃ俺は帰るわ」


 男がそう一方的に言った後、踵を返しこの場から立ち去ろうとする。


「待ちなさい! アンタの名前を教えなさい!」


「俺の名前だァ? ……まぁ教えてやるよ。アヅマだ」


 そして男は宣言通りそのまま歩いて居なくなった。


 その後暫くもしないうちに逃げた人々からの通報によって、ギルドから冒険者が駆け付け事情聴取をされた。


 公共物の破損があったので修繕費用を追って請求されるとのことだ


 俺も関係者の為負担すると提案したが、レインが全て弁償すると言って聞かなかった。


「巻き込んで更に半分も負担してもらったら、流石にみんなに合わせる顔がないよ!」


 ならばと次からのダンジョンでの分配はリビアとロキに相談した後、当分の間レインの分をこっそり増やしておくと事にするか。


「あのローブ暫く買えなくなっちゃうのは残念だけどね! お金溜まるまで残ってるといいなぁ……」


 大丈夫、あのローブはもう俺が買ってるから店にないよ! と言いかけたが何とか飲み込んだ。


 贈った時にどんな反応するか割と楽しみだ。



>>>>>



 その後リビアとの待ち合わせ時間が迫って来たので、俺は病院へと歩いて移動していた。


 レインは弁償の為のお金を取りに戻るとの事で、俺達は一旦分かれる事になった。


 それにしてもあの男の青い血は一体なんだったのだろう……。

 加えてレインの炎を物ともしない強靭過ぎる身体も意味が分からない。


 噂に聞く世界に数人しかいないSランク冒険者か、同じ化け物クラスの人物ならあるいは……と思うがあくまで予測でしかない。


 「アヅマ」と名乗っていたし俺の方でもあの男が何者なのか、時間あるときに少し探ってみるか。


 考え事をしながら歩いていると約束の時間の十分前に、病院へと無事着いたため入ってすぐある待合室の椅子に座って待つ。


「テイト」


 携帯を触りつつ待っていると声をかけられたので顔を上げる。


 声で分かっていたが少し嬉しそうな表情をしたリビアが居た。


「お疲れ様。ここに居るってことは大丈夫だったんだと思うけど、検査結果はどうだった?」


「ん、問題無いって」


「そっか、それはよかった」


 突然リビアは誰かを探すように周りをきょろきょろとし始めた。


「レインは一緒じゃない?」


「あぁ、それについても歩きながら話すよ」


 そうして病院から出た瞬間、ロキから携帯に電話が掛かってきた。



「もしもし」


『もしもし、テイトさん聞こえているかい?』


 電話越しに少し焦ったようなロキの声が聞こえた。


「聞こえているよ、どうかした?」


『今……近くにレインはいるかい?』


「いや、居ないけど……レインさんがどうかした?」


『さっきダンジョンの管理をしているバウスさんから俺に、レインが一人でダンジョンに……それも湧き部屋に向かった可能性が有ると連絡があった』

挿絵(By みてみん)

※ノベルAIにて作成した挿絵です。

※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。



明日も22時頃に投稿予定です!

基本手動での投稿の為多少前後すると思います。


最新話投稿時は下記SNSで告知を行っていく予定なので、もしよければフォロー・登録をお願いします!


タイトルに★が付いているものは挿絵入れたので、良ければ読み返してみてね!


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