第23話 ★(挿絵有り)
「ふぅ……テイトさん、火傷はない?」
「あ、あぁ……、大丈夫だよ。ありがとう、ほんとに助かったよ。……それにしても凄いな」
俺は彼女の攻撃の後を見るが、ダンジョン内の床や壁が熱で赤くなっている。
スケルトン達のドロップ品もあり原型は留めていたが、高温になっており直接触るのは無理だろうな……。
「えへへ! もっと褒めて褒めてー!」
そう言ってレインはいつもの笑顔で俺の周りを飛び跳ねた。
「でも……今回はなんかいつもよりもコントロール出来てた気が……なんでだろう、レインも成長したのかな?」
「いつもは違うのか?」
「えっとね、ある程度炎の指向性は持たせられるんだけど、いつもなら私の周り見境なく燃やしちゃうから……」
そう言うレインの表情は弾ける笑顔から一変し、苦笑いを浮かべて左手で頬をぽりぽりと搔いている。
あぶねぇ、俺もスケルトン達のように燃えていた可能性が有ったのかよ。
「ちなみにあの剣と炎についてはなんなんだ?」
「それはリビアちゃんとロキと合流したら話すよ!」
「……そっか、わかった」
「とりあえずこれはもう必要なさそうだね」
そういって彼女が剣を手放した瞬間、剣が炎を纏ったかと思うと一瞬でその場から消えた。
ひとまず傷はもうポーションで塞がったし、魔力もポーションである程度回復できた。
リビアの様子を確認したいところだし、ロキの居るセーフエリアに戻るか。
「ドロップ品回収した後、一度セーフエリアに戻ろうか」
「そだね!」
俺達は高温のドロップ品に直接触らないようにしつつ、ストレージリングに素早く回収を行う。
そしてセーフエリアへと戻るのだった。
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俺とレインがセーフエリアへと戻ると、すでにリビアの意識が戻り起き上がっていた。
「テイト!!」
「うおっ、っと!」
俺の姿を確認するや否や、俺に向かって駆け出しダイブをしてきた。
瞬間的に身体強化を発動し彼女を受け止めると、リビアは上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。
「よかった……無事……」
「うん、リビアもひとまず無事みたいでよかった」
「ごめん、わたしがミスしたから……」
「いや、四人だし湧き部屋いけると判断してしまった俺が全部悪い」
「テイトさん、無事で何よりだ。リビアさんだが頭をぶつけていたので、念のため病院で診てもらった方がいいと思う」
「そうだな、お昼を食べてから湧き部屋の宝箱だけ回収して、今日はもう引き上げようと思ってる」
「了解した、僕もそれがいいと思う」
そこでロキは一瞬言葉を飲み込むような顔をしたが、結局俺に聞きたいことが合ったようで口を開く。
「……ところでやはりレインは力を?」
「テイトさんを助ける時に使ったよ、説明はこれから!」
「そうか、テイトさんが無事だからてっきり使っていないのかと思ったんだが」
「なんか分かんないけど、今回はいつもより少し制御出来たんだよね」
――グゥー
その時リビアから盛大にお腹の鳴る音がした。見ると俺から身体を放してお腹をさすっている。
「ん……なんか安心したらお腹すいてきた」
「そうだな。レインさん、ご飯食べてからキミの力について教えてほしい」
「おっけー! アレ消耗激しいからレインもお腹空いてたんだよねー」
そうして俺達はセーフエリアで、まずお昼ごはんを食べることにした。
「レインはね、ブレイダーなんだ」
お昼を食べ終わって開口一番、レインはそう言った。
剣を顕現させていたところからもしかすると、と思っていたが本当にブレイダーだったか……。
そもそも絶対数が少ない人種であるが、数年前からブレイダー狩りなる者が現れ、今は隠れて生活しているものが多いと聞く。
「ブレイダーって……なに?」
「んっとね、簡単に言うと武器に変身できる人間の事だよ。成長するとこんな感じに自分の剣の姿を顕現させられるんだ」
そういってレインは右手を掲げて、その手にあの武骨な赤い剣を顕現させた。
「かっこいい、わたし触ってみてもいい?」
「あっ、それはダメ! レインは自分の炎の制御が下手だから、レインを触った人を焼いちゃうんだ」
「む、それなら残念だけど諦める」
「ごめんね! 制御できるようになったらいうからその時ならいいよー!」
そう言ってレインは剣を炎にして消した。
「そんなだからまだ誰とも契約してない、というか出来ないんだよね」
「ブレイダーの契約は一生を契約者に捧げると聞くし、まだしていなくても当然じゃないか?」
「ううん、遅いくらい。レインの目的を叶える為、早く契約者を探して真の力を解放しないといけないの」
「それってブレイダーが契約を行う際、ブレイダー側は契約する者に己のすべてを捧げる事になるけど、契約する側はブレイダーの願いを最大三つ叶えなければならないのを利用するって事?」
「そうそう! だから早く制御できるようになりたいんだけどね、これが全然うまくいかないんだよねー」
「契約については兎も角、今までブレイダーである事を言わなかった理由っていうのはやっぱり――」
もしかすると俺達に対する信頼がないのか、と続けようとしたところを飲み込む。
俺も彼女達にエンゲージリングの事を隠しているし、何より冒険者とは自らの能力をひけらかさないものだ。
加えて最近のブレイダー狩りもあるので、むしろ今回打ち明けてくれた事に改めて驚かされる。
レインは俺が言いかけた言葉の先を理解したようで、慌てた様子で両手を身体の前でバタバタさせる。
「あ! 信用していなかったとかじゃないんだ!」
「それに関しては僕からも、その通りだと言わせてほしい」
レインの言葉に続いてロキがそう言い、レインが頷き肯定の意を示す。
そしてレインは言葉を選ぶ素振りを見せた後、口を開いた。
「えっとね、今までテイトさん達の他にも臨時パーティー組んだ事は何回かあるんだけど、今回みたいな事があったら大体レイン達が足止めの役をさせれらていたの」
「それは……」
確かにパーティーを組む場合後から加入したメンバーが、そういう役割を押し付けられることは多いと聞く。
俺が幼馴染以外と将来的にパーティーを組む予定がなかったのは、そういったリスクがあったからというのも正直ある。
「それはいいの! 炎の制御は出来ないけど、火力だけはピカイチだから生きて帰れるし!」
そういう彼女は本当に気にしていないのか、笑顔すら見せつつ言葉を続ける。
「ただその後同じパーティーでまたピンチになると、『お前なら生きて帰れるだろう?』って何度も同じ役割を押し付けられるんだけどそれが嫌で……」
「あぁ、それは嫌になって当然だよ」
いくら力があるからと言って、危険な役目を毎回押し付けていいとはならない。
その時はたまたま自分の能力が危機を打開できただけであって、いつ自分の力で打開できない場面に遭遇するかなんて誰にも分からないからだ。
「だからこそ今回テイトさんが、時間稼ぎしてくれるって言った時凄くうれしかった! レイン達に時間稼ぎを押し付けた他の人達と違うんだーって!」
「俺こそ改めてブレイダーとしての力を使ってくれてありがとう。お陰で生きてセーフエリアへ戻れた」
ただ彼女が駆け付けた時のセリフから、それだけが理由じゃない気がする。
恐らく似たようなシチュエーションで、大切な人を失った経験があるんじゃないだろうか。
ただそれ以上は彼女のプライベートに大きく関わるため、今ここで追及する事は流石に出来なかった。
そして俺はもう一点気になっていたことがあった。
彼女が顕現させている彼女自身の剣の姿についてだ。
俺はあの剣をどこかで見たような気がしていたが、夢の中で俺が使っている剣にどことなく雰囲気が似ている事に、先ほど彼女が剣を顕現させたときに気付いた。
まぁ雰囲気が似ていることが分かったところで、何かどうなるという事はないのだが。
その後少しセーフエリアで休んだ後、湧き部屋に出現しているであろう宝箱を回収するべく、再度湧き部屋へ向けて移動するのだった。
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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タイトルに★が付いているものは挿絵入れたので、良ければ読み返してみてね!
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