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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
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第21話

 俺達は翌日ダンジョンに入った後、トレインは行わずに最低限の戦闘でセーフエリアまで直行、セーフエリア近くにある沸き部屋の前に来ていた。

 部屋と言っても目の前にある沸き部屋は、扉などで分けられているわけでなくいきなり開けた空間があるパターンだ。


「よし、いよいよ沸き部屋に挑戦だ」


「テイトさんギア上げて凄くなってるから安心感あるね!」


「いや、まだ身体を慣らし始めたばかりで不安定だから、無理しない作戦で行こうと思う」


「ふむ……今回はどうするつもりなんだい?」


「沸き部屋は基本的に出てくる魔物の位置とタイミングがランダムだから、出来るだけ沸き部屋の奥に行かず手前で抑えようと思う」


「ん、つまり部屋に入った瞬間にそこに陣取る?」


「そういう事。陣形はいつも通りだけどロキさんとレインさんは、湧き部屋の後ろからも魔物が来るかもしれないから、自分達の背後も定期的に見てほしい」


「なら僕が索敵用の魔法を使用して警戒しておこう」


「よろしく。俺達三人はいつも通りの役割で行こう。ただ後衛の魔物が攻めにくくなると思うから、レインさんは基本的に後衛の魔物のスナイプを狙って欲しい」


「おっけー! 私頑張るよ!」


「それともし想定より魔物が押し寄せてくるようなら、この道の方に逐次前線を下げて戦おう」


「テイトさん、もし後ろから来た魔物と挟まれたらどうするの?」


「その場合は基本的に後ろを無理やり突破して、一方向からの魔物に集中することにしよう」


「そうだね、僕もその方針にでいいと思う」


「よし、ヤバくなったら時間稼ぐ策はあるから、そろそろ挑戦してみようか」


 そうして俺は湧き部屋に足を踏み入れた、瞬間空気が一変しドロッとした雰囲気となる。

 直後前方へ六つもやもやとした影が集まり、すぐにスケルトンが影から出現した。


「来るぞ! みんな構えろ!」


 相対するスケルトンの武装はバラバラで、前衛が四体に後衛が二体とバランスも良い。

 前衛が大楯・盾と片手剣・槍・両手剣が一体ずつ、後衛は弓が二体だ。


「よし、行くぞ!」


「んっ!」






「はぁあああ!!」


――キンッ!


 戦闘開始してから二時間が経過していた。

 俺は三十四体目のスケルトンの魔石を貫いて倒す。


 あれから特に危ない場面になることはなく、湧いてくるスケルトンを倒し続けていた。

 ただ流石に全員の疲労が出て来たのか、スケルトン討伐のスピードは落ちて来ている。


 初めは湧いてくる速度と討伐する速度が拮抗していたが、今では少しずつスケルトンの数が増えて来ていた。


「ん……はぁ……はぁ……」


 特にリビアは前線で俺と共に前線をずっと張っていたので、体力の消耗がかなり激しく少し後ろに下がっていた。

 俺は双剣を構えているスケルトンと、剣を打ち合いながらリビアの様子を確認する。


「……はぁ、リビア大丈夫か?」


「ん……まだ、いける」


「本当にヤバくなったら言ってくれ。時間稼ぎする策はあるから、息を整えるくらいは出来るはず」


「ん……わかった」


 そう言ってリビアは俺と共に再度前線へと舞い戻る。


「テイトさん、まずいぞ! 後ろからスケルトンが来てる!」


 その直後、ロキからあまり聞きたくなかった報告があった。

 前方には討伐速度が落ちたことで、七体までスケルトンの数が増えている。


「後ろのスケルトンは何体だ!?」


「四体だ!」


「くそっ、その数はまずい……」


「どうするのテイトさん!?」


「最初に話していた通り二方面から挟まれるのが最悪だから、後ろの方を突破する!!」


 俺は双剣のスケルトンを身体強化を使って無理やり倒し、ストレージリングから煙幕を取り出す。

 後ろを振り返るとロキの報告通り、スケルトンが四体こちらに向かって来ていた。


 見ると大楯のスケルトンが三体と、弓のスケルトンが一体の構成だった。

 大楯で通路が塞がれており横をすり抜けるのが難しそうだ。


「俺の合図で煙幕を投擲するから、ロキとレインは後ろに向かってけん制の魔術を頼む!」


「了解した!」


「おっけー!」


 二人は自分達の杖を構え、魔術を発動する準備をする。

 俺はまず前方のスケルトンに煙幕を投げた後、後ろのスケルトンに向かって身体を向ける。


「今だ! 後ろのスケルトンを中央突破し反転する!!」


 二人の魔術でスケルトンが不用意に動けないのを確認し、俺は身体能力を全開にして突っ込む。

 十分に加速した剣によって、大楯のスケルトンを吹き飛ばすのに成功する。


 弓のスケルトンはリビアが抑えに行ってくれたので、俺達はうまく中央突破することに成功する。

 スケルトン達が態勢を整えている間、俺も身体強化で減った魔力を回復するため、魔力回復ポーションを取り出して飲む。


「それにしても数が多いぞ……テイトさん、このまま戦うのか?」


「沸き部屋を自発的に踏んだ場合、魔物は基本的に自分達で処理しないといけない暗黙のルールなんだ」


 ただどうしても処理が難しくなった場合、近くの冒険者に討伐を協力してもらうか、引き継いで処理してもらう事も許可されている。


 引き継いだ場合、湧き部屋のクリア後にドロップする宝箱は、引き継いだ冒険者の物として扱われるので快諾してくれることが多い。


 湧き部屋は特定区画に魔素が溜まることで発生するので、一般的に沸き部屋となっている区間の大きさによって、湧いてくる魔物の数がある程度予想できる。


 今挑戦している沸き部屋の大きさから、恐らく四十体ほどが上限となるはず。

 だから湧いてくるスケルトンの数はそろそろ頭打ちになる。


 俺はスタミナはまだ残っていて魔力の消費は激しいが、定期的にポーションを飲んでいるのでまだ戦える。

 リビアはスタミナがちょっときつそうだが、まだ挙動がしっかりしているので大丈夫そう。


「それに……あともう少しで湧くのは終わると思うから、このままもう少し頑張ろう」


「わかった」


「ロキとレインは魔力は今どのくらい余裕ある?」


「僕はぎこちないけど周りの魔素を用いて魔術を発動できる。まだ戦えるから心配しないでくれ」


「レインは燃費の良い魔術しか使ってないからレインも大丈夫だよ!」


「それならよかった。リビア、もう少しで終わると思うから頑張ってくれ」


「ん……わかった……」


「よし、それじゃあ煙幕が切れる前に速攻で、大楯のスケルトンの数を一体でも減らすぞ!」


 俺はそう言うや否や身体強化を行い前方へと突撃。

 一番前で正面に居る個体へと狙いを定め、左後ろをリビアが並走して来ているのを確認する。


「リビア、左側に居る個体を足止めしてくれ!」


「まかせて」


 右側にいる大楯と少し後ろに下がっている弓のスケルトンは、後衛二人がうまく抑えてくれるのを信じる。


 目の前に居る個体は楯をどっしり構えているが、楯を少し地面から浮かしている状態だ。

 俺は駆ける勢いを若干落とし、楯の下をくぐる様にスライディング、楯の後ろへ抜けた直後に剣を魔力で強化し地面に突き刺す。


 剣を刺したことで剣を起点に身体が回転し、勢いそのままスケルトンへ身体強化をした蹴りを入れる。

 蹴りの衝撃でスケルトンが身体を正面へと倒れこませたので、俺はすかさず剣を地面から引き抜き魔石の破壊を行う。


 魔石を破壊するのに集中していた俺に対して、すかさず右側に居た大楯の個体がシールドバッシュを繰り出してきたが、そこはロキが魔術で抑え込むことに成功。


 弓の個体は俺が大楯を倒れさせたことで、レインから魔術の射線が通ったのでスナイプに成功していた。


 俺は湧き部屋側のスケルトン達に投げつけていた煙幕が、ほぼ消えてきているのを確認する。


「リビア! いったん落ち着くために下がろう!」


「ん、わかった。――あっ!」


「リビア(さん)(ちゃん)!?」


 小さな悲鳴を聞きそちらを見ると、リビアが右肩に矢を受けて剣が手から落ちたところだった。

 湧き部屋側のスケルトンにまだ弓を扱う個体がいたが、恐らくそいつに攻撃されたか……!!


 リビアは痛みを堪えながら、落とした剣を左手で拾おうとしている。


「剣は予備を使えばいいから下がれ!」


 俺はそう叫びつつリビアのカバーを行うため、身体強化を全開にして駆け出す。

 ただカバーが間に合う前に、先ほどまで彼女が相手取っていた大楯の個体が、すでにシールドバッシュを繰り出しリビアに直撃した。


「きゃっ!」


――ドッ!


「っ、うおおおおおお!!」


 俺はリビアに夢中になっていた大楯のスケルトンの魔石を、背後から破壊するのに成功しリビアを背後に庇う。


 その時ちらとリビアの状態を確認すると、壁に直撃した際に頭をぶつけたのか、右肩に加えて頭からも出血し気絶していた。


 そしてその時には煙幕が完全に消え去り、湧き部屋側の魔物が目の前に迫ってきていた。

 追加で沸いていたようで数は……九体。


 背後から来ていたスケルトンを大楯一体まで減らしていたので、合計で十体となる。

 こちらはリビアがダウンしているし、早く傷の確認と治療を行いたいので流石に撤退しよう。


「ロキ! 俺が地面に投げつけた油に向かって炎魔術を頼む!」


 俺はロキの返事を聞く前に、ストレージリングから瓶に入った油を三個取り出し、俺とスケルトン集団の間に投げつけ瓶を割った。


 瓶が割れたのを確認した俺はすぐに剣を腰の鞘に納め、リビアをお姫様抱っこする。


 その直後、油が炎魔術で着火し盛大な火が上がった。

 すさまじい熱量を背後に感じながら、俺はリビアを抱えて一目散に後ろへと下がる。


「テイトさん、リビアさんの容態は?」


「ざっと見た感じポーションと回復魔術でちゃんと傷が塞がる程度だ」


「よかったー! じゃあすぐに治療しちゃおうよ!」


「いや、まずはここから離れよう。かなりの油をばらまいて足止めしているとはいえ、酸欠になる可能性もあるここは危険すぎる」


「テイトさんの言う通りだ。もしここでまた後ろからスケルトンが来たら――」


 ふいにロキの顔色が変わり、苦虫を嚙みつぶしたような表情になった。


「どうしたのロキ?」


「ロキさん、まさか……」


「あぁ…追加でスケルトンが来たみたいだ」


――ガシャン、ガシャン


 そうロキが言った直後、スケルトンが近づいてくる音が聞こえてきたのだった。

いい挿絵作れなかったので本日は挿絵無しです。

後で追加したら告知します。


明日も22時頃に投稿予定です!

基本手動での投稿の為多少前後すると思います。


最新話投稿時は下記SNSで告知を行っていく予定なので、もしよければフォロー・登録をお願いします!


タイトルに★が付いているものは挿絵入れたので、良ければ読み返してみてね!


挿絵イラストの没だけど個人的に良かったイラストを、Twitterにて公開していますので良ければ見に来てください!


また二章以降のモチベに繋がるので以下の☆☆☆☆☆から評価、ブクマ、いいねなどしていただけると嬉しいです……!!


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