第20話 ★(挿絵有り)
「テイトさん、お疲れ様。怪我は無いかい? 不得手だが回復魔術も使えるので、何かあれば遠慮なく言ってくれ」
「ありがとう、大丈夫」
「ねぇねぇ、テイトさん! 一番初めめっちゃ早くなってたけど、身体強化の出力可変が出来るの?!?」
レインが俺のもとに駆け寄りキラキラした目をして見上げて来た。
今まで常時発動しているエンゲージリングの身体強化を、魔力を使ったものだと言って二人の前では戦っていた。
一部の才能ある者を除き、身体強化の出力は可変することが出来ない。
出力可変出来る人達は基本的にAランク以上か、いずれAランク以上になるのが確実視されるB以下のランクの者だけだ。
これが冒険者含めて世間一般の間での共通認識だ。
そのため出力可変ができる者は基本的に周囲にバレると、同業者から羨望や嫉妬といった様々な感情を向けられるようになり、権力者からは将来を見越してその冒険者を自軍に取り込もうとする。
以上の事情を色々と面倒に感じる大多数の冒険者は、基本的にAランクになるまで秘匿していることが多い。
俺の場合可変が出来ているわけじゃないから、バレると尚更面倒なのだがどう説明すべきか……。
「レイン、冒険者は自分の情報を隠すものだ。こちらからあまり詮索しないのがマナーだと以前教えただろう」
「ずっと二人で行動してたから忘れてた……。ごめんなさい、テイトさん」
「……いや大丈夫、気にしないで」
その後俺達はトレインで倒したスケルトンが落とした武器を集めた。そして俺のストレージリングに収納する。
それにしてもやっぱりこのダンジョンのスケルトン、以前よりも知能が増している気がする。
エンゲージリングと魔力を用いた身体強化、どちらもない状態でダンジョンダイブを行いスケルトンと戦ったことがある。
その時はスケルトン通しで連携はしてこなかったし、何より俺の行動を先読みしたかのような動きはしてこなかった。
だがその分確実にいい経験になっているのは確かなので、油断せずこのまま連携を高めるために戦闘を続けていこうと思う。
「さて、ドロップ品も集め終わった。さっきの戦闘についてだけど、みんなカバーが完璧で助かったよ」
「ん、テイトちょっと危ない場面があったから、もう少し慎重に動いてほしい」
「そうだね、僕もそれは思っていた。特に剣が絡めとられそうになった時はヒヤッとしたよ」
「あはは……そうだね、次からはすぐ手を放して予備の剣を出して戦うことにするよ」
「レインも魔石をスナイプするだけじゃなくて、もっと色々カバーできるよう頑張る!」
「そうだね、何はともあれ無傷で勝てたんだ。もうしばらく四、五体で慣らしていこう」
そうして俺達は昼まで何回かトレインを行ってスケルトンと戦った。
午前は結局最大五体までを上限として連携を高めた後、セーフエリアにてお昼ご飯を食べたて休憩する。
午後には七体までトレインを増やして戦闘を行ったが、俺がスケルトン達を前で抑えきることが出来ず、またリビアも対応できる状況でなかったため、後衛の方へとスケルトンを一体行かせてしまう。
「きゃあ!」
「くっ、まずい!」
すり抜けたのが剣と楯を持つスケルトンで、ロキとレインの魔術をうまいこと防ぎつつ二人に迫ってレインが狙われた。
「うぉぉおお! 間に合え!」
俺は何とか相対していた長剣を携えたスケルトンを振り払い、身体強化を全力で発動しレインを狙っていたスケルトンの背後から、魔石をピンポイントで貫くことに成功する。
その後は一度前線を下げることで何とか体制を立て直しすことに成功し、無事スケルトンを倒すことが出来た。
「あっ、テイトさん。さっきは……その、ありがとう」
「元々俺が抜かれたのが悪かったんだ、ごめん。それより怪我は無い?」
「うん……平気! レインとロキ二人でこのダンジョンに入ってた時、前衛がいなくてずっとこんな感じだったから……」
「そうだね、対峙する魔物が増えればこういう事も増えてくる。後衛の僕らも気を引き締めよう」
「俺も次からは通さないようにする」
だがその後も七体との戦闘を続けてみるが、数回魔物に抜かれて後衛組を危険にさらしてしまった。
どれも俺の対処が間に合ったので二人に怪我は無いか、負傷するのは時間の問題だろう。
流石に疲労が溜まってきたのと少し対処法を考えたかったので、帰還にはいつもより少し早い時間だが安全をみて引き返す事にする。
昨日と同じように料理屋でご飯を食べながら、パーティー人数の倍の八体と安定して戦えるようになったら、湧き部屋に挑んでみようという事を決めた。
そうして俺達はその日はゆっくりと休み翌日に備えるのだった。
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翌朝いつもの換金と備品の補充を行い、俺達は早速ダンジョンへとやって来ていた。
昨日の反省を生かして今日は身体強化を、一部無いし全身を常時発動しようと思う。
魔力を回復するためのポーションも、今朝補充してきたのでばっちりだ。
ポーションや回復魔術の使えるロキもいる事だから、多少身体強化の持続発動で無茶しても何とかなる……はず。
それに身体強化を制御するためには、結局使用して身体を慣らしていくしかないので、いつかやらなければならなかった事だ。
「俺は身体強化をもっと使いこなせるように、今日から戦闘中は出来るだけ発動し続けようと思う」
「テイトさん、それは身体的に問題無いのかい?」
「正直今の俺にはかなりきつい。だから戦闘中は回復ポーションを多用するつもりなんだけど、それに加えて戦闘後はロキさんに回復魔術をお願いしたい」
「テイト……無理はしないでね?」
「そうだよ、テイトさん!」
「うん、限界が近くなったら休ませてもらうよ」
そうして俺達は今日もダンジョンへと潜り、昨日と同じようにトレインを行った後、七体に達した時点で戦闘開始。
対峙するスケルトンの構成は前から剣が三体、槍が二体、弓が二体となっており、同じ武器種毎に横並びにの隊列だ。
昨日一日で俺達が数的不利な相手と対峙した場合、まず各々の火力で押して相手の数を無理やりにでも減らす。
その後は負傷に気を付けながら、確実に一体ずつ処理していくという事に落ち着いていた。
今日は俺の身体強化の特訓も兼ねているので、基本的に俺が一番槍を行う。
俺は全身の身体強化を発動、剣に魔力を流して前へ飛び出す。
「まず槍をどっちも潰すからフォロー頼む!」
俺はまず初撃で槍のスケルトン二体を潰す事を狙う。
敵の武器種を減らし選択肢・連携の幅を狭めることで、戦闘をより有利に運ぶ事が出来ると思ったためだ。
そのため邪魔な剣のスケルトン達を退けるため、速度と強化の乗った剣にて左の方へ纏めて吹き飛ばす。
「片方は任せて!」
「頼む!」
直後俺に向かって槍が二本向かって来たので、一本を俺がもう一本はリビアが弾く。
そうしてがら空きになった魔石へ向け、俺は引き戻した剣を差し込み破壊し、もう一体はレインが魔術で貫いた。
ここで身体強化が切れてしまいそうになるが、無理やり強化を持続させる。
「ぐぅ……」
やはり無理に強化時間を延ばすと反動が来るな……。
反動による痛みなどに気を取られ、ほんの少しの間硬直してしまう。
そのタイミングで弓が俺とリビアを狙っていたようだが、ロキがけん制を行ったため追撃は無かった。
そして剣のスケルトン達が起き上がり囲まれそうになる。
「うぉおおお!!」
俺が剣のスケルトンを一時的に同時に抑え、リビアをその間に下がらせる。
そしてリビアが下がったのを確認し俺も下がる。
昨日前線が抜かれてしまった時は、スケルトンの構成が前衛多めだった。
身体強化が切れてしまうと初撃の後に、下がって陣形を体勢を整えるのが間に合わず、後衛に攻撃が向いてしまっていた。
「よし、とりあえずここまでは順調だ」
「ん、身体は大丈夫?」
「あぁ、なんとか」
「テイトの限界が来る前に押し切る」
その後は一体ずつ確実に倒していき、無傷で魔物を倒すことが出来た。
「ふぅ……戦闘終了、と」
俺は身体強化の反動もあって身体が痛かったため、回復ポーションを取り出して一気に飲み干す。
「テイトさん、お疲れ様。回復魔術も使わせもらうよ」
そう言ってロキが回復魔術を使ってくれる。
ポーションと魔術の効果で、一分もしないうちに体調は万全にすることが出来た。
「ありがとう、ロキさん。もう大丈夫」
「テイトさん、ありがとね! お陰でレイン達安全に戦えたよ!」
「こちらこそレインさんの魔石スナイプには助けられているよ、ありがとう」
「ううん、レインなんて全然だよ! ……ほんとあの時テイトさんがいてくれたら――」
「レインさん?」
「なんでもない!」
後半なんて言っていたかよく聞き取れなかった。
どうやらレインはもう一度言うつもりはないようだな……。
「テイト、次のトレインできそう?」
「あぁ、大丈夫、どんどんやっていこう」
今日のトレインでは一回も七体の時も前衛を突破されることがなかった。
翌日は八匹に増やして見たがこれも問題なし。
その為いよいよ一層の沸き部屋へと、明日チャレンジしてみることにしたのだった。
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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