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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
19/31

第19話 ★(挿絵有り)

 翌日の朝は昨日と同じようにギルドに集合し、昨日得たドロップ品の換金と分配を行った後、ダンジョンに向かった。


 今日は少し危険な事も行う予定なので、いつもよりもポーション類と対スケルトン用の物を、エレンさんのアトリエで買っていた。


 そうして準備を整えてからダンジョンへ方面へと移動する。

 俺は昨日の夜から考えていた今日の方針を、移動中にみんなに相談した。


「少し危険だけど今日は魔物をトレインして四、五体になったら戦おうと思うけどどうかな?」


「沸き部屋入る前に数的不利の状況での連携を高めるためだね?」


「そう、大丈夫そうなら少しずつ相手する魔物を増やしていきたいと思ってる」


 トレインとは魔物を引き付けたままダンジョン内を移動し、さらに別の魔物を引き付けることで魔物の集団を作り上げる行為だ。


 本来はトレインを行う冒険者は、他の冒険者に魔物を擦り付けるために行うことが多いので、トレイン行為は忌避されている。


 トレイン行為自体に罰を科すべきだという意見も出ているが、ギルドとしては今回のように経験を積むために、トレインを行う場合もある事を認識している。


 その為ギルドしては「自分達で処理する場合のみトレイン行為を認める」としている。


「ふむ、僕は賛成だ。沸き部屋で同時に何体同時に相手しなきゃならないか分からないしね」


「ロキが賛成なら私もさんせーい!」


「ん、私も大丈夫」


「一緒に前線張ってもらうリビアの負担特に増えるから、限界だって思ったらすぐに言ってね」


「分かった」


 俺はずっと対多数での戦闘を行ってきたため問題はないと思うが、リビアはまだしんどいかもしれない。


 基本的に俺が最前線に出て、リビアには慣れるまでは俺の死角を守ってもらうことに注力して貰う事にしよう。


 俺達はダンジョンに入るとトレインするべく魔物を探した。

 少し歩いていると片手剣を携えたスケルトンが二体前方に居るのが見えた。


 ダンジョンはセーフエリアとボス部屋がハブのようになっており、いくつもあるルートどれを選んでも最終的にたどり着けるようになっている。


 その為俺達は前方のスケルトンの注意を引いた後、入り口の方に戻り途中過ぎていた分岐から別の道を進んだ。


 この間もし他の冒険者とエンカウントした場合、一旦トレインは中断し魔物を討伐することにしていた。


 そうして暫くトレインを行ってる途中で、斧を持ったスケルトンもトレインに追加し、前方にさらに弓と大楯を構えたスケルトンがいるのが見えた。

 ちょうど目標の五体との戦闘が出来そうだ。


 ただこのままでは挟撃されてしまうので、俺はすかさずストレージリングからボール型の煙幕を取り出し叫ぶ。


「みんな! 煙幕を使うから前のスケルトンの横を駆け抜けてくれ! その後反転、迎撃する!」


「わかった」「おっけー!」「了解した」


 みんなの返答を聞いた直後、俺は前方の楯を持ったスケルトンに向かって煙幕を投げつける。

 スケルトンは狙い通り楯で煙幕を受け、あたりに白い煙が充満していく。


「今だ!」


 俺の合図でトレインの為駆け足気味だった全員が、全力で前方のスケルトンの横を駆け抜ける。

 そうして十分な距離を取った後俺達は反転、スケルトン集団と相対した。


「煙幕が切れるまでは仕掛けない、今のうちに作戦について説明する」


 俺の言葉に全員が頷きを返す。


「俺がまず最前線に立つから、リビアは俺のフォローと死角を守ってほしい。それともし前衛型のスケルトンが俺の横を抜けて、ロキとレインに向かった時は迎撃を頼む」


「ん、わかった」


「ロキさんは範囲攻撃の出来る魔術で、前衛のスケルトンをけん制と可能なら攻撃。それと後衛二人が矢から身を守れるようシールドの展開をお願い」


「承知した」


「了解。レインさんはその魔術制御で、入り乱れている前線の的確な援護をお願い」


「おっけー!」


 そうして話していると早くも煙幕が切れてきていた。

 見るとスケルトン達も隊列を整え、こちらと戦う準備は万端のようだ。


「魔物さん方もやる気みたいだ。俺達から仕掛ける、行くぞ!」


 そう言って俺は剣を右下に構えて飛び出した。

 まず狙うはどのスケルトンを狙うにしても障壁になる大楯を構えたスケルトンだ。


 ロキとレインの前ではエンゲージリングの身体強化しか使ってなかったが、脚に魔力を用いた身体強化を発動し正真正銘の全速力を出す。


「はやっ!?」「なっ!?」


 俺の全速力を初めてみた二人から驚愕の声が漏れのを聞きながら、剣が折れないよう剣に魔力を流し切れ味と強度を底上げする。


 そして楯のスケルトンの前でしゃがみ体全体に身体強化を発動、速度と膝のバネを利用した渾身の一撃を放つ。


「うおおおぉぉぉ!!」


――ッガァン!!


 俺の狙い通り楯は大きく弾かれ、スケルトンの弱点の魔石を攻撃出来るようになっていた。


 ただし俺も思ったより楯が重かった事から、体制が崩されてすぐに魔石を貫くことができない。

 加えて不慣れな身体強化もここで解除されてしまったので、無理やり体制を整える芸当も不可能だ。


「レイン!」


「っ! 任せて!」


 すかさずレインの名前を叫ぶと俺の意図を悟ったレインが魔術を発動、楯のスケルトンの魔石を水が貫いた。


 まずは一体、そう思っていると俺の体制が崩れている所を狙って、斧をもったスケルトンが攻撃態勢に入っていた。


 これは避けられないので無理やり剣で受けるしかないと思っていると、リビアが間に入り斧を受け流しバックステップをする。


 剣のスケルトン二体が切りかかってきていたが、リビアが稼いでくれた時間でリビアと同じ位置まで下がり態勢は整え終わっていた。


 下がった俺はリビアを追ってきた剣のスケルトンと鍔迫り合いを行う。

 この時斧と弓が追撃をかけようとしていたが、ロキがけん制用の拡散型火魔術でけん制してくれていた。


「ありがとう、リビア」


「ん、とーぜん」


「そのままフォロー頼む」


 お礼を言い終わると俺達は同時に剣を受け流した。

 そして俺はそのまま正面の剣と斧と相対し、リビアは若干後ろに下がってフォローの態勢に入る。


 目の前には斧を上の頂点として三角形上に剣二体が並び、その後ろに弓が控えている陣形になっている。

 挟撃されないよう端から崩すとすると……、左の方のスケルトンを先に仕留めることにするか。


 俺は狙いを悟られないよう斧に向かって駆け出す。

 自分を狙ってると素直に思ったのだろう、斧のスケルトンが左から右へと振り抜いて攻撃してきた。


 これは……利用できそうだ。

 避ける事はあえてせずに、その攻撃を再度魔力を剣に流して受け左側に自ら飛んだ。


――ガキィィィンッ!


「うおっ!」


「テイト!」「テイトさん!」


 自分で飛んだ力とスケルトンの力が加わり、思ったより吹っ飛びダンジョンの壁に激突しそうになる。


 だが予め飛んでいたので空中で態勢を整え、壁に両足を着けることに成功。

 そのまま再度脚に身体強化を発動し、狙っていたスケルトン目掛けて跳躍し、反応しきれていないスケルトンの魔石を剣で貫く。


 貫いた後の体制が崩れた場所を狙い矢が飛んで来たが、リビアが反応して打ち払ってくれた。

 目が合うと「無茶するな」といった雰囲気のアイコンタクトがあった、ごめん。


 とりあえず、二体目。うまくいってよかった。

 斧が思ったよりパワータイプだったから焦ったけど。


「ふむ、今だな」


 想定外の攻撃だったのか、硬直している残った剣と斧のスケルトン相手に向けて、ロキが火炎放射のような火魔術を放つ。


 斧はとっさに斧で魔石を守りつつ下がったが、剣は防御と回避が間に合わず魔石が熱に耐えられず壊れた。


「ナイス、ロキ。そのままフォローよろしく」


「あぁ、もちろん」


 残り二体、このまま攻め続ける。そう思って前に出ようと思った瞬間、俺に向かって矢が飛んできたので打ち払った。

 もうスケルトンの前衛は斧だけだから、先に弓を処理した方がよさそうだ。


「リビア、レイン。二人で弓の方を仕留めてもらえないか? ロキはその間俺と一緒に斧を抑えるか可能なら討伐する」


 全員が頷くのを確認し俺は斧に向かって駆け出し、リビアが俺と並走する。


 駆けている俺に向かって弓が再度矢を放つが、リビアが迎撃し途中から並走をやめ弓に向かって駆け出す。


 俺が正面に来るのを待ち構えていた斧は、頭上に構えていた斧を振り下ろしてきた。


 勢いの乗った斧を受けるのは、身体強化を発動しても危ないと先ほどわかったので俺は素直に回避、そこにロキからのけん制の火魔術が飛んでくる。


 火魔術が顔に当たっていたので目くらましにし、俺は斧の背後を取ることに成功。

 そのまま背中側から魔石を貫こうとするが、斧のスケルトンは半歩右に移動し貫かれるのを回避した。


「うおっ! こいつ……!」


 そのまま斧はお辞儀するような姿勢を取ろうし、肋骨を貫通している俺の剣を絡めとろうとしてきた。


 何とか剣を手放さずに済んだ俺はその場に踏ん張り、スケルトンを背後から蹴って剣を抜くことに成功する。


「テイトさん、少し離れてくれ!」


 そう声が聞こえた瞬間俺は後ろへ下がった。直後、俺の前にいたスケルトンが炎に包まれた。


 一点集中していることですごい熱がスケルトンを襲うが、今回もうまいこと斧で魔石をガードし耐えられていた。


 見たところガードに手いっぱいのようで、ロキと俺に攻撃をするのは無理の様だ。

 それなら魔術が切れたタイミングで不意を突いて攻撃を行うか。


「何秒後に魔術は切れる!?」


「三秒後だ!」


 俺は確認するや否や斧のスケルトンに向かって突撃する。

 スケルトンに近づくとどんどん熱くなってくるが、やけどするほどではないのでそのまま接近する。


 そしてきっかり三秒後魔術が途切れた、俺はそれに合わせて再度背中側から魔石目掛けて突きを放つ。

 だが読まれていたようで、振り向き斧で迎撃態勢を取ってきた。


「テイト!」


 呼ばれてみると弓のスケルトンが倒されており、リビアがいつの間にか俺の隣にいた。

 楯もリビアに止めを刺してもらうようアイコンタクトをすると、エンゲージリングの効果もあり彼女は意図を察したのが伝わってきた。


 スケルトンが斧を振り下ろしてくるのを、俺は剣を頭上に横に掲げて受け流して対処する。

 受け流した斧が地面に当たった瞬間、俺は斧を足で押さえつけて拘束する。


「今だ、リビア!」


「はぁあああ!」


 その隙を逃さずリビアが正面から剣を突き刺し魔石を貫いた。

 そうして俺達はトレインしたスケルトン集団を、無事無傷で処理出来たのだった。

挿絵(By みてみん)

※ノベルAIにて作成した挿絵です。

※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。



明日も22時頃に投稿予定です!

基本手動での投稿の為多少前後すると思います。


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