第17話 ★(挿絵有り)
色々考えたが隊列は前からリビア、ロキ、レイン、俺の順番とすることにした。
俺が先頭に立とうと思ったが二人の事を疑っている様子のないリビアに、一番最後を任せてもパーティー内のハイドアタックを防げなさそうだからだ。
リビアに世間にはハイドアタックする輩がいるという事の説明と、最後尾からの警戒をお願いしようと思ったが彼女の演技力が未知数であったことから辞めておいた。
彼女に危険が無いように、せめて俺がしっかりと二人の事を見ていようと思う。
リビアが基本的に前で魔物のヘイトを取り、隙があれば弱点を狙ってもらう。
その後ろのロキには多様な魔法でリビアの援護をしてもらい、レインには精確な水魔法で弱点をスナイプしてもらう。
俺は基本的に魔物のハイドアタック警戒と、リビアから後衛二人への魔物のヘイトが逸れた場合の護衛だ。
その隊列と各々の役割を各自に伝え、俺達はセーフエリアを出発した。
セーフエリアから出発してすぐ、早速とばかりにスケルトン二体と遭遇した。
接敵してすぐに俺とリビアは剣を抜き放ち、ロキとレインは空中から魔術で杖を取り出し全員が戦闘態勢を取る。
接敵したスケルトンは一体は剣と楯、もう一体は槍を装備している。
剣と楯を持つ個体が前、槍の個体が後ろに控えている形だ。
魔術師は一般的に魔術の発動には『詠唱を行う』、『微弱な魔力で魔法陣を空中に描く』、『あらかじめ魔法陣を刻んだ魔術具や紙に魔力を流す』などといった、何かしらのトリガーが必要だ。
このトリガーは基本的に「これからこの魔術を使う」という、術者のイメージ補完が役割の為、魔法を極めている者はそれらトリガーが不要となり、イメージだけで魔法の発動が可能になる。
杖はそんなトリガーの中でも『あらかじめ魔法陣を刻んだ魔術具』に該当し、魔物に接近された場合の防御手段としての役割を持つため、魔術師の武装として一般的なものになる。
「テイト、わたしいくね」
「分かった! ロキはリビアのサポートを、レインは弱点をスナイプできそうな方を判断して狙ってくれ!」
「承知した」
「おっけー!」
各自に指示を出すとリビアが、前の方に居るスケルトンへ突っ込む。
それに合わせて前のスケルトンが楯を構え、ロキとレインが杖に魔力を流し魔術の発動準備を行う。
楯を構えているスケルトンに対し、基本的に楯のある側に潜り込むようにしているリビア。
左手に楯を構えている個体だったので、リビアは右側へ回り込み対して剣楯の個体は楯をリビアに向ける。
セーフエリアまでの道中と同様に、楯を弾くかステップで翻弄し魔石を狙うつもりのリビアに対し、槍の個体がカバーに入る。
槍の突きが放たれるのを察知したリビアは、一旦後ろにバク転をしてスライディングしつつ攻撃を回避する。
「そのまま頭を下げててくれ!」
そのタイミングでロキが声をかけ、用意していた魔術を杖の先端から発動させた。
発動した魔術は火魔法の拡散タイプ、目的は恐らくけん制と目くらまし、となればこのタイミングで不意を突き片方を落としたい。
「リビア、背後に飛んで剣楯の魔石を狙え!」
「わかった」
その指示を聞きリビアはすぐにスケルトン達の背後に飛ぶ。
火魔法が弱点からなのだろう、スケルトンは防御態勢を取っており、リビアが背後に回った事に気づくのが遅れた。
「――シッ!」
着地した瞬間振り向いたリビアは、剣楯の魔石を背後から貫いた。
すぐに剣を引き抜こうとするが、刺さり方が悪かったのかすぐに抜けない。
その隙を狙って槍の個体がリビアへ攻撃を放つが、リビアは剣を抜くのを諦め一旦俺達から離れる方向に距離を取り、リビアを追撃するべく槍の個体がリビアへと距離を詰める。
直後レインが準備していた水の魔術を放ち、槍の個体の魔石が貫かれた。
「いえーい!」
使用魔術は指定した場所から水を圧縮し、一点を攻撃するタイプの物だ。
レインは自分から離れた空中より攻撃を放っていたため、俺の想定以上に魔力制御が得意なのかもしれない。
「やはり前衛がいると魔術に集中できるな」
「うんうん! それにしてもリビアちゃんすっごい!」
「そうだね。僕は何人か獣人の知り合いがいるけど、彼らと比較してもかなり動ける方だと思う」
「ん……」
「あ! リビアちゃん赤くなってる、そんな顔も可愛い~!」
二人に褒められ顔を赤くしているリビアを見て、レインがはしゃいでいる。
確かに恥ずかしがっている姿が可愛いのは同意するが、そのままにするのもかわいそうなのでそろそろ助け舟をだすか……。
「問題なさそうだから先に進みましょうか。魔物はもちろん、引き続きトラップなどに注意して進みましょう」
「っと、そうだね! まだダンジョンの中だもんね!」
レインがそういうと全員が真剣な顔になり頷いた。
そうして俺達は先へと進むのだった。
その後何度か戦闘を挟んだが、特に危ない場面が訪れることはなかった。
またその戦闘の合間にレインから、
「ねぇねぇ、テイトさん。戦闘中やリビアちゃんに話すときみたいに、レイン達にも普通に話していいよ?」
「え? ……分かった。その方が確かに話すの楽だし助かるよ」
といったやり取りがあった。
これまで二人を注視してきたが、途中俺達を攻撃できるタイミングがあっても、特にこちらを攻撃する素振りが微塵もなかった。
その為普通に話すことにすると同時に、二人への警戒を解くことにした。
そうして特に接敵もない時には雑談をしていたのだが、俺は疑問に思っていたことを二人にぶつける事にした。
「そういえば魔術師だけでも楽に戦えるダンジョンがあるのに、二人はなんでこのダンジョンに潜ろうと思ったんだ?」
この街には何個かダンジョンがあるのだが、その中の一つがこことDランクゴーレムがメインのダンジョンがある。
ゴーレムならば動きが鈍いことから、魔術師にとっては的の様なものだ。
俺からの質問でレインは表情が曇り、ロキはレインの様子を伺う素振りをみせた。
これは……聞いてはいけないことだったか?
レインはロキからの視線に気づき、アイコンタクトを行った後こちらを見て語りだす。
その表情は先ほどの表情と打って変わり、いつものニコニコとした表情に戻っていた。
「ん~とね、レイン達にはある目的があって、その為に色々な装備している人型の魔物との戦闘経験を積みたいと思ったからなの!」
「僕達の実力に近くてその条件に合っていたのが、メインの魔物がスケルトンであるこのダンジョンだった、という訳さ」
「なるほど……そういう事なら確かにこれ以上なく、このダンジョンは適してるな」
「うん、どうしてもやり遂げないと行けない事だから……」
そういうレインは笑顔を浮かべてはいるが、どこか真剣さや必死さを感じさせる顔をしている。
「それに何となくこの街に来ないと行けない、そんな予感がしたんだ」
「予感?」
「よくわかんないんだけどね~。でもその予感を信じたらリビアちゃんに会えたから、結果オーライみたいな?」
そういってレインはリビアへと抱き着いていた。
「……」
リビアは半ば諦めたのか何とも言えない顔で、レインからの抱擁を受け入れている。
そんな話をしながらもうしばらく帰路を進んでいると、ようやくダンジョン入口が見えてきた。
道中レインが簡単なトラップに引っかかるなど、少々トラブルはあったが無事に帰る事ができた。
「改めて感謝する、お陰で無事にダンジョンから帰還することができた」
「レインからもありがとう!」
「いえ、こちらこそお二人の支援で安全に帰る事ができたよ、ありがとう」
「……ねぇねぇテイトさん、よかったらレイン達とパーティー組もうよ!」
「レイン、パーティーを組むということは僕達の――」
「もちろんクエストを受ける時とダンジョンダイブの時だけ! レインはもっとリビアちゃんと一緒に冒険したい!」
俺はリビアの意思を確認するべく顔を向け、俺の意図を悟った彼女は小さく頷いた。
「わたしは、この人達なら一緒でもいいよ」
俺は正直人見知りなリビアがあっさりと承諾したことに驚いた。
俺も今は不思議とレインなら一緒にいても大丈夫、むしろ一緒に居た方がいいような予感がしていたからよかった。
「わかった。リビアが嫌じゃないなら俺からもお願いしたい」
「そうか、ありがとう。僕からもよろしく頼む」
「やったー! リビアちゃん、改めてよろしくね!」
「……熱いから離れて?」
俺とロキが握手をしている間、レインがリビアにハグをしていた。
「あ……だけどどうしても先にパーティーに加えたい、いや、加えないといけない奴がいるんだ」
「そうなの? 彼女とか?」
「テイト彼女いるの?」
「いや、ただの幼馴染だよ。昔から複数人でパーティーを組むなら先に誘えって言われてたんだけど、少し前から隣町の緊急クエストの応援に行っているから不在なんだ。そして不在の間にリビアと色々あって先にパーティーを組んじゃったから――」
「なるほど……これ以上その人より先に、僕達をパーティーに入れるのはまずいと?」
「そういう事、だから暫くは予定が合った時『臨時』パーティーを組む形にしたい」
「了解した、レインもそれでいいよな?」
「うん! それで大丈夫!」
そうして俺達はお互いの家と宿泊先を教えあい、今日はこのままいつもの料理屋にて一緒にご飯を食べることにした。
ご飯を食べながら明日ドロップ品の分配をギルドにて行う事を話し合った。
またリビアを戦闘に慣れさせるため数日は一層に潜り続ける事などを話し、二人もそれに加わることになったのだった。
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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タイトルに★が付いているものは挿絵入れたので、良ければ読み返してみてね!
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