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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
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第16話 ★(挿絵有り)

「レイン、落ち着け。彼女が困っているじゃないか。それに人違いの可能性もある」


 男性が赤髪の少女に注意をすると、少女ははっとした顔をして慌ててリビアから離れた。


「あっ、ごめんね! 可愛かったからつい……でも人違いはないよ! こんなかわいい子この街でみてないから!」


「……ん」


 赤髪の少女が離れた途端、リビアは俊敏な動きで俺の方まで来て背中に隠れてしまった。


「あう……仲良くなりたかったのに嫌われちゃった……」


 赤髪の少女はリビアが俺の背中に隠れたのを見て、露骨にしょんぼりとしている。


「完全にキミが悪い。すまない、僕の連れが迷惑をかけた」


「いえ……この子、リビアと言いますが少し人見知りな物なんで、慣れれば大丈夫だと思いますよ」


「そうか……っと、今更だが自己紹介をさせてほしい。僕はDランク冒険者のロキだ。それでこっちが――」


「レインだよ! ランクはギリギリDランクってところかな! よろしく!」


「ロキさんとレインさん、よろしくお願いします。俺はCランク冒険者のテイトって言います。最近Cランクになったばかりなんで、実力はお二人と似たようなものです。それで背中に隠れているのが――」


「ん……リビア、Gランク冒険者」


 リビアはそう簡潔な事項紹介をする。レインがまた抱き着いてきそうな雰囲気だったので、警戒しつつも俺の左隣に立った。


「ふむ、その名前は……最近話題の魔獣を倒した冒険者だね?」


「ご存じでしたか」


「この近辺で魔獣を倒した一番新しい記録だからね、噂も広がるのも当然だろう。それにしてもリビアさんは本当にGランクなのだろうか? 先ほどレインから離れた時の動きを見ると、Gランクとはとても思えないんだ」


「あー……それは彼女の冒険者登録が単純に数日前だったからですね」


「なるほど、それなら納得だ」


 リビアのように身体能力が生まれ持って高いものは、総じて早く冒険者になることが多い。


 ただそこは基本的に来るもの拒まずな冒険者という職業上、色々と脛に傷を抱えた者が就く割合が高い仕事でもある。


 要するに彼はリビアが何か訳ありなのだと解釈し、それ以上深く質問するのを止めたようだ。


――グゥ。


 その時誰かのお腹が鳴る音が響いた。


「あう……お腹すいたよ……」


「レインが騒ぎを起こしたから、食べるのが少し遅れたんだぞ」


「ごめんなさい……」


「テイトさん、僕達はご飯を食べようと思う。お二人はもうご飯は食べましたか?」


「はい、さっき食べましたよ」


「そうですか……でしたらレインの非礼をお詫びする意味も込めて、持参している甘味をご馳走するのでご一緒しませんか?」


「俺はいいですがリビアはどうしたい?」


 そういって左側に立つリビアを見ると、目を輝かせて俺を見ていた。


「甘いもの……!」


「リビアも大丈夫との事なのでぜひご一緒させてください」


 俺はリビアが甘味に釣られている事に苦笑いしつつ、誘いに乗ることをロキへと伝えた。


「え! リビアちゃんと一緒にご飯食べられるの!」


 リビアと同じ卓に付けるのがよほどうれしいのか、レインが飛び跳ねて喜んでいる。

 その様子をリビアはジト目で眺めている。


「椅子の予備があるので今出しますね」


「すまない、助かります」


 俺はそういうとストレージリングから、テーブル近くに指定して椅子を出した。


 リビアは先ほどまで俺の正面に座っていたが、今は俺の隣に座るつもりのようだ。


「はい、どうぞ」


「ありがとう! リビアちゃんの正面に座っちゃおっと!」


「ありがとうございます」


 そういって二人は用意した椅子に座った。それを見て俺とリビアも席に着く。


「それにしてもストレージリングですか……やはり便利でいいですね。僕達はまだ持っていないので、ちょっと荷物からお昼ご飯と甘味を出しますね」


 そういってロキは椅子の隣に置いていた荷物袋から、包みを三つ取り出してそれをテーブル上においた。


「はい、レイン。これはキミのお昼ご飯だ」


「わーい! 今日は何のお弁当?」


「開けてからのお楽しみだ。それとお二人にはこれを」


「ドーナツ!」


「えっ!?」


 そういってロキから差し出されたのは、色とりどりのドーナツ5個だった。


 それを見てリビアが喜色を浮かべ、逆にレインが絶望の表情を浮かべる。


「ロキそれ全部あげちゃうの……? レイン達のデザートは……?」


「デザート抜き確定」


「えー、やだー!」


 レインは頬を膨らませて自分は不機嫌だ、という感情を全面に出している。

 俺は甘味が無くても問題ないので、俺の分譲渡された分は返そうか。


「ロキさん、俺は大丈夫なんでレインさんにどうぞ」


「え、ほんと!? テイトさんありがとう! ロキも見習ってよね!」


「まったく……お詫びの物だったのにすみません」


「いえ、せっかくの楽しみを取ってしまうのもなんですし。それに俺は迷惑かけられてないですからね」


「やっさしー! じゃあリビアちゃん、食べたいものを何個か選んで! 残りは私貰うね!」


「ん……じゃあ……」


 そういうとリビアは容赦なく四個のドーナツを選んでいた。

 二個くらい残ると思っていたのだろう、レインが驚愕している。 


「リビアちゃんお昼の後だよね……? 四個も食べられるの……?」


「甘いものは別腹」


「はえ~、そんなに細いのによく入るね」


「五個全部食べれるよ?」


「わ、それはごめん! ありがたく食べさせて頂きます……!」


「ん、どうぞ。私もいただきます。……おいしい!」


「気に入ってもらえたようで何より。それは俺の手作りなんだ。そんなうまそうに食べてくれるならよかった」


 リビアが感想を言うと、ロキが嬉しそうにそう言う。


「ロキさんお菓子作れるんですね」


「ロキは料理も上手いんだよ! このお弁当もロキが作ったものなんだ~」


 そういって見せられたお弁当は主食が白米で、おかずに薄くスライスされた焼き肉にタレのようなものがかけられたもの、色とりどりの野菜が添えられている。


 焼き肉からはタレの香ばしいにおいが漂ってきて、先ほどご飯を食べたのに妙に食欲がくすぐられてくる。


「お弁当美味しそう……」


「手の込んだ料理やお菓子は偶にしか作りませんけどね。お菓子作りは趣味みたいな感じです。……っと僕達もご飯食べようか」


「だね! それじゃあ……」


「「「「いただきます」」」」






 各々が食べ終わった後、ロキからこの後の予定について相談されていた。


「僕達どちらも後衛だった事と、複数体のスケルトンに対してまだ余裕のある実力じゃないから、ここまで危うい場面が何回かあったんだ。想定より疲労してしまったし、僕達もここで一旦帰ろうと話していたんだ」


「そこで前衛二人の俺達と、ダンジョンから帰還するまで臨時パーティーを組みたいと……」


「そういう事だね」


「リビアちゃんと一緒に行動したい!」


「甘い物を一緒に食べた仲、私は構わない。でもテイトの意見に合わせる」


「ん~……」


 リビアが思ったより肯定的だったので、俺がいいと言えば一緒に行動する事にはなる。

 だがあったばかりの冒険者に背後を任せていいのか……。


 というのも冒険者の中には、今回の様にセーフエリア内で臨時パーティーの打診をし、いざ行動を共にしたと思ったら途中でいきなりこちらに攻撃、殺害した後金品を奪う輩がいるためだ。


 今回俺が同じ卓を共にしながら何も口にしなかったのは、密かに二人の事を観察し万が一不審な動きをした場合、すぐにストレージリングから武器を取り出せるようにしていたからだ。


 ひとまずお昼休憩中に観察を行った感じ、二人は特に不審な動きをしなかった事から、少なくとも襲われるような事はなさそうだとは思う……。


 その為行動すること自体はいい事にするが、念のため予防線を張らせてもらおうか。


「決めました、一緒に行動しましょう」


 そういうとロキとレインはほっとした表情をした。


「ありがとう、助かります」


「聞いていたよりスケルトンとのエンカウント率が高くて、ここまで来るの大変だったからよかったー!」


「隊列は実際に行動する際に私から指定させてください」


 こうしてダンジョンからの帰りは、彼らと臨時パーティーを組むことにした。

 そしてパーティーを組むにあたり、彼らがどんな魔術を使用できるか確認をする。


「お二人は恐らく魔術師ですよね? 何の魔術が使用できるか教えてくれませんか? もちろん教えられる範囲で構いません」


 魔法は魔獣の他に幻想種と呼ばれる人族と、極稀に産まれた時から使用できる純人間がいる。


 魔術とはそんな限られた者達が使用する魔法を元に、魔力さえ足りれば誰でも同等の現象を引き起こせるよう研究されている術理を指す。


 ただ現実はそう上手くいかず、基本的に見た目は同じような魔術と魔法では、威力は魔法の方が高いといわれている。


 代わりに魔術は術理構築さえ理解していれば誰でも新しい魔術を作れる、発動には周囲の魔素の消費量が魔法と比べ少なくていい、魔素の他に自身の魔力を使用し発動が可能なため速射性に優れている、といった明確なメリットが存在する。


 そんな魔術を使用する者は魔術師と呼ばれている。

 また余談ではあるが魔法を使用する者は、魔法を特別に使用できるという事から『魔法使い』と呼ばれ、恐れられることが多い。


「そうだね、僕達は魔術師だ。僕は攻撃系の魔法はどの属性も一応一通り使用できる。代わりに回復や支援魔法は不得手だね」


「なるほど……攻撃型の万能タイプですね……。レインさんは――」


「レインは水魔法を使えるよ! 魔術の制御が得意だよー!」


 スケルトン相手には水魔法や風魔法は、技術が無い者が使用すると不利だと言われている。

 誰でも魔法で簡単に倒すには魔石を楯を無視して、熱でごり押しして破壊できる火魔法が最も有効だ。


 基本的に魔法は未熟なうちは、自分の周囲からしか魔術を放つことができない。


 ただし卓越した魔術制御技術を持つ人は、自分の視界内である限り指定した場所から魔術を放つことが可能なため、スケルトンの魔石を背後から狙い撃ちといった方法もとれる。


 二人ともDランクとの事なので、そこまでの技術がまだないのだろう。


 基本的に魔術師のDランクは周囲の魔素を操作する能力・保有している魔力量・魔術の発動速度・使用できる魔術の種類の多さ・魔術制御力などから二つ平均以上にこなせればなる事が出来る。


 今聞いた二人の強みを元にハイドアタックを警戒しつつ、効率的な隊列にするにはどんな形とすればよいか考える。

挿絵(By みてみん)

※ノベルAIにて作成した挿絵です。

※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。


明日も22時頃に投稿予定です!

基本手動での投稿の為多少前後すると思います。


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