第15話 ★(挿絵有り)
リビアは剣を腰に下げている鞘に納めて、ドロップ品を拾って左腕に抱えていた。
「お疲れ様、大丈夫だと思うけど怪我とかない?」
「大丈夫、ぶいぶい」
「よかった」
そういってリビアは俺に向かってドヤ顔をし、右手でピースサインをした。
想像以上にリビアは戦闘センスがあるな……。これなら当初の予定以上にダンジョンを進めそうだ。
「それじゃあまず邪魔だと思うから、そのドロップ品をストレージリングにしまうね」
「ん」
ストレージリングとは指輪型のダンジョンから稀にドロップする指輪型の装備で、嵌める指によって大きさが勝手に調整される機能がある。
魔力を流すことで任意のものを異空間に収納・展開することができるが、この流す魔力量は対象物の大きさと、自分との距離によって乗算式に変わってくる。
また収納できる空間の上限は装備している者の総魔力量に比例し、一般的な冒険者だと小さな倉庫位の保管が可能だ。
俺は幸い魔力量だけは多いようなので、ドロップ品以外にも日用品などしまっている。
その利便性から結構なお値段がするのだが、この前の魔獣討伐の報酬で買うことができた。
俺は右手の人差し指に装着していたストレージリングを起動、リビアから受け取ったドロップ品を収納した。
「それじゃあ進もうか。もっと魔物との戦闘で経験積んでほしいから、暫くはスケルトン一体の時はリビアに任せるよ。疲れたら交代するから無理せず行ってね」
「ん、了解」
俺達は時々遭遇するスケルトンを倒しつつ、一階層の奥へと進んでいく。
道中は体魔物に対する連携について、リビアの能力も加味しつつ話し合った。
奥へと進んでいるとダンジョントラップを見つけた。
「おっ……リビア、これを見て。ダンジョントラップだ」
そう言って俺は床の色が周囲と若干異なっている部分を指さす。
「ん……この色が違うところ?」
「そうそう。トラップは基本的に周囲との色の差や、色が異なってる面積でどんなトラップかわかるようになってるんだ。ちなみにこれは落とし穴だね」
「どうすると起動するの?」
「これは落とし穴だから少し押し込むと起動するね。起動してみたい?」
「してみたい!」
「それじゃあ直接踏み抜くのは危険だから、少し離れた位置から剣の先で床を押し込んでみて」
「ん!」
リビアは剣を鞘から抜き腕を伸ばして、トラップのスイッチを押し込む。
――カチッ!
――ガコン!
リビアがスイッチを押すと同時に、何かが嚙み合うような音がわずかに響いた後、少しの間を置いてスイッチの奥の通路が大きく陥没した。
「おおー」
リビアは初めてトラップの起動を観察出来てご満悦の様だ。
「穴思ったより大きくて深いね」
そういうリビアの前には二メートル四方で、深さが五メートル程度ある大きな穴がある。
「そうだね。この深さだと冒険者が落ちたら、落ち方によるけど致命傷になるね。単純な落とし穴でもこの危険性だから、本当にトラップには注意しないといけないんだよね」
「ん……注意する。そういえば、トラップは魔物が踏んでも起動するの?」
「お、目の付け所がいいね。結論から言うと起動はしないんだけど、起動させたトラップに魔物を巻き込むことはできる」
「なるほど……じゃあトラップの位置覚えておくの重要」
「そうそう。ダンジョンのトラップは基本的に位置は固定だから、可能な限りトラップ位置と種類は覚えておくといいよ」
「わかった」
――――ズゴゴゴ、バン!
そうして話していると落とし穴の効果時間が切れたようで、穴側面が動いて穴が閉じられた。
「すぐに脱出できないと潰されるんだ……」
「そうだね、だからこそモンスターにも有効ではあるんだけどね」
「ちなみにモンスター潰された後、ドロップする素材も潰されるの?」
「前検証した時は落とし穴が閉じた後、穴があったところにドロップしたね」
「不思議……」
トラップについての説明を一通り終えたので、俺達はその先へと進むことにした。
そうこうしながら進んでいると、ダンジョン内にあるセーフエリアに到着した。
セーフエリアとは魔物が出現・巡回しないエリアのことだ。
「ここで少し休憩しようか」
「ん」
「ここは一階層の七割くらい進んだところなんだけど、休憩が終わったら引き返そうと思う」
「フロアボスには挑戦しない?」
「正直リビアとなら結構簡単に攻略できると思う。ただ確実に怪我無く攻略するため、装備を受け取ってからにしよう」
「ん、分かった」
――――グゥ。
「……お腹すいた」
リビアのお腹の鳴る音を聞いて腕時計を確認すると、十二時を少し回ったところだった。
「お昼ご飯食べようか、食べたいもののリクエストはある? ストレージリングに色々と保存してたから、基本的にリクエストに応えられると思う」
「お肉!!」
「肉か……となると何がいいかな……」
そういって俺はストレージリングに魔力を流すと頭の中に、保管されている物のリストが思い浮かぶ。
ストレージリングは基本的に保管されているものは、時間が止まるという性質がある。
ただし指定すれば時間を進めることが可能なので、食品を発酵させたいということも可能だ。
素材・装備・日用品・食品・家具などの項目のリストがあり、その中から食品を選択する。すると保管されている食品リストが思い浮かぶ。
その中で更に肉料理を表示するようにと思い浮かべると、よく行く料理屋で作ってもらった牛丼とハンバーガーが保管されている。
「牛丼とハンバーガーどっちがいい?」
「ハンバーガーがいい!!」
前にハンバーガーを食べて以降、どうやらハンバーガーがお気に入りになったようで即決だった。
「おっけー、……はい、どうぞ」
そう言って俺はその場にテーブルと椅子も取り出し二人が座った後、テーブルの上を指定して出来立ての料理を出した。
「ん、ありがと!!」
「それじゃあ早速食べようか」
「「いただきます」」
リビアは前にハンバーガーを食べた時のように両手で持つと、小さな口を目いっぱい開けてかぶりついた。
「んんっ!?」
ハンバーガーを口に含んだ瞬間、リビアは目を開いた。そしてモグモグと咀嚼し飲み込んだ。
「魔獣のお肉使ってないのに前食べたのと同じくらい美味しく感じる! 特にこのチーズがお肉と凄くあってる」
そう言ってもう一度ハンバーガーにかぶりつくリビア。今度はチーズが伸びてリビアの口とハンバーガーの間に黄色の橋が架かる。
「それはよかった。あそこの料理屋はどれも美味しいけれど、ハンバーガーが色々と種類も多いうえに美味しいからね」
「他のもあるの?」
そういうリビアの手からはもう既にハンバーガーが消えている……。恐ろしく速い食事、対面で食べてる俺でも見逃しちゃうね。
「やっぱり一個じゃ足りない?」
「ん……」
そういうリビアは少しだけ恥ずかしそうに、かつ申し訳なさそうにしている。
「いっぱい食べるのはいい事だから遠慮しないで。でも今はリビアがさっき食べたのと、同じチーズバーガーしかないんだけどそれでいい?」
「ん、美味しかったから同じものでも嬉しい」
「わかった……はいよ。今保存してた残り四個全部出すね。食べきれなかったらまた収納すればいいから」
「わ、こんなにたくさん……ありがと! いただきます!」
そういってリビアはお代わりを食べ始めた。その様子をみて俺も自分のご飯を食べるのを再開した。
俺達がご飯を食べ終わり少しゆっくりしていると、男性と少女の二人組がセーフエリアへと入ってきた。
「あ、みてよ兄さん。ここセーフエリアみたい」
「そうみたいだな。僕達も彼らと同様に休むとしよう」
「やったー! レインもうへとへとだよ……」
「君達、休んでるところすまないが俺達もここで休ませてもらうよ」
男性の方は青い髪を伸ばしており、それを後ろで一本に纏めている。
百七十センチくらいの身長で左目にモノクルをつけている顔は、少々気難しそうな印象を他者に与えている。
防具は恐らく生粋の魔術師なのだろう。街を歩くようなラフな格好にステンカラーコートを羽織っている。
一方少女の方はフワフワしているピンク色、髪は顔の右側にてサイドテールにしてまとめられている。
少女の身長は百五十センチ程度で、大きな目と小さな鼻が印象の少女だ。
防具は黒を基調としたゴスロリ風の服であるが、魔術師が好んで着るようなコート系は特に羽織っていなかった。
セーフエリアでは稀に疲労している冒険者を狙って、襲ってくる冒険者がいる。
二人の雰囲気からそんなことしてこないだろうと感じた俺は、彼らに対して抱いていた警戒心を解いた。
「わかりました、俺達はもう少し休んでからここを出ますので」
「了解した」
「……って、あー!! あなたはギルドで見かけた凄く可愛い獣人の子!」
「え、ちょっと……」
「ぎゅーっ! わ! 想像以上にモフモフだぁー!」
俺と男性がそんな会話を交わしていると、いつの間にか少女がリビアの背後に回り、抱き着いて獣耳をもふもふしていた。
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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