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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
14/31

第14話 ★(挿絵有り)

 カフェで話した翌々日の早朝、俺達は離していた通りにダンジョンダイブするべく、ダンジョン前に来て管理を行って居る人に挨拶をしに来ていた。


 ダンジョン前には魔物がダンジョンから出てきたときに対処できるよう、Cランク以上だった元冒険者が常駐していて、ダンジョンダイブをする冒険者の管理も行っている。


 この常駐する任務は最前線で戦う能力は現在も有しているが、家庭を持ったので無理をせず安定した暮らしを望む者や、何かしらの持病を抱えてしまった冒険者が就くことが多い。


 またダンジョンダイブする冒険者の管理を行う事から、冒険者として活動していた時に信用があると判断された人しか就けない。


「おはようございます、バウスさん」


「おう、おはようテイト。今日は珍しくソロじゃないのか。その子は?」


 バウスさんは今日も黄色の髪を綺麗なマッシュルームヘアーに整えている。四十代後半とは思えないほどに身体は引き締まっており、身体能力の衰えは感じられない。


「まあ、つい最近いろいろあって……。そろそろパーティーを組むことを考えてたところに、出会ったこの子とパーティーを組む事にしました。名前はリビアです」


 俺の背に隠れるように立っていたリビアが、俺の背後から顔をのぞかせバウスさんへ挨拶する。


「ん……リビア、よろしく」


「おう、よろしくな。……しかしえらいべっぴんさんだな。パーティーを組むとなると、アザミの奴に何か言われるんじゃないか? あいつもお前とパーティにかなり組みたがっていたしな」


「え、そうなんですか? アイツそんな風に全然見えなかったんですけど……」


「アザミの奴は感情を隠すのがうまいし、思ってることを伝えるのは少し苦手だからな。 俺がパーティー組みたがって言ってたってこと言うなよ?」


「ええ、言いませんよ」


「頼むぞ、アザミの奴を怒らせるとなんか怖いんだよな。得も言われぬ迫力があるというか……」


 そういうバウスさんは両手で体を抱いてブルブルと震えた。 確かにアザミは怒らせると怖いがそこまでなのだろうか。


 ひとまずパーティーを組むと決めた以上、気心の知れたやつがパーティーを組んでくれるなら心強いので、今度会ったときに誘ってみるか。


 そんなことを考えていると震えから立ち直ったバウスさんが、ふと何かを思い出した表情をした。


「しかしあれか? もしかして色々あったっていうのはやっぱ魔獣のことか?」


「ご存知だったんですか」


「ああ、現役の冒険者はもちろんのこと、ダンジョンタイプの管理をやっている俺らまで聞こえてきたんだ。下手をするとサネディの街全体に広まっているんじゃないか?」


「えっ、そこまで広がってるんですか?」


「何せお前も知っての通り、Cランク以上の冒険者は中々生まれないからな。 ダンジョンのある街に強い冒険者が誕生するのは、街全体として嬉しいことだからな」


「ん! テイトが凄いのは当たり前」


 先程まで俺の背中で黙って話を聞いていたリビアが、突然会話に入ってきてドヤ顔した。


 突然の介入に少し驚いた様子のバウスさんだったが、すぐに満面の笑みになった。


「ははっ! じゃあ今日のダンジョンダイブでも凄いとこ見せないとな!」


 そう言ってバウスさんが俺の肩を何度も叩いてくる。


「痛いですよ……バウスさん……」


「悪い悪い。しかしアザミには負けるがその年齢でCランクだ。パーティー組んだことだし、近い内にダンジョン最下層にいるボスへ、挑戦できるかもしれないな」


「リビアがまだ冒険者デビューしたばかりなので、慎重に行く予定なのでだいぶ先になりますよ」


「それもそうか」


「むぅ……まるでわたしがお荷物見たいな言い方……わたしやればできる子」


「確かに武器屋での体さばきを見るに、俺が冒険者を初めた頃よりよっぽどセンスを感じたなぁ」


「ほー、そうなのか? じゃあ一年以内にダンジョンのボスを倒せたら高くて美味い飯奢ってやるよ」


 その言葉にリビアが全力で食いついた。


「それって好きなだけ食べていいの!?」


「お、おう……偉い食いついてくるな。ここでダメっていうのもかっこ悪いし食べ放題でいいぜ」


「やった! 約束破ったら……だめだよ?」


 あーあ、バウスさんの財布軽くなるなぁこれは。ここで変にリビアが沢山食べる事を忠告して、食べ放題が無しになるとリビアが悲しむだろうし黙っていることにしよう。


「じゃあ俺達はそろそろ行きますね」


「そうだな。っと……とりあえず話はもういいからいけいけ。次に受付しなきゃならん奴らが来たみたいだ」


「わかりました。それじゃバウスさんまた戻った時に」


「ん、行ってきます」


 俺はバウスさんに軽く会釈を、リビアは小さく手を振り、洞窟の様なダンジョン入口へと向かった。


 そのあと直ぐにバウスさんと別の冒険者と話すのが聞こえてきた。


「あんたら見ない顔だな」


「わたし達は最近この街に来たばっかりで、この人は兄さんです」


「俺達の目的の人物がこの街にいるかもしれない、って噂を聞いたから来た。どこにいるか特定する間実力を磨こうと思ってな、ダンジョンダイブさせて欲しい」


「へぇ……どんな奴を探してるんだ? 俺も見かけたら教えてやるよ」


「……言っていいのかな?」


「この人はダンジョン管理の人だ、信用できる」


「そっか。えっとね、私達の探してる人はね――」



>>>>>



 俺達はダンジョンに入ってから魔物や、説明の為トラップを探して歩いていた。


 ダンジョンの中は洞窟のようになっており、ところどころ光る鉱石があって視界の確保はできる。


 この鉱石は魔光石と呼ばれており、周囲の魔素を吸収する事で発光している。

 また周囲が一定以上暗くならないと発光しない特性もある。


 街の一部施設や都会の方では電気を用いた照明があるが、ダンジョンから持ち帰ることが可能な点と、外気にある魔素でお手軽に光源の確保ができることから、基本的に街の街灯や各家庭の照明で使用されている。


「それにしてもリビア、バウスさんに対してはあんまり人見知りしなかったね」


「ご飯ご馳走してくれる人に悪い人は居ないから」


「そんな判断基準なの!?」


 まったく親の教えはどうなってるんだ教えは。リビアが悪い人に餌付けされて誘拐されないか心配だ……。


 そんな他愛のない話をしていると、前方から魔物の気配を感じた。


 ――カタカタ。


「スケルトンか」


「ん、ほね」


 スケルトンはEランクの魔物で、このダンジョンの低階層で出てくる魔物では、比較的メジャーな魔物だ。このダンジョンはEランクからCランクまで魔物が出現する。


 スケルトンは骨と魔石のみで構成される魔物で、人間で言う心臓部に埋め込まれている魔石を、破壊または取り出すことで倒すことができる。


 魔石を破壊せずに取り出すには、基本的には魔石に出来るだけ衝撃をかけずに、骨をうまいこと破壊する他ない。


 俺には正直魔石を破壊せず取り出す事は不可能なため、基本的には倒すために魔石を破壊している。


 スケルトンの武装は基本的には剣と楯だが、槍、短剣などなど結構多岐にわたる。これらの武器の切れ味は正直そこまでよくはない。


 そして偶にダンジョンで力尽きてしまった冒険者の装備を使用していることがあり、その時は装備次第で強力な魔物になる。


 スケルトン系の基本的なドロップ品として骨素材に加えて、装備していた武具もドロップするので結構な収入になる事もままある。


 今正面に対峙しているスケルトンは、オーソドックスな剣をと小楯を装備しているタイプだ。リビアが初めて一人で相手にするにはちょうどよさそうだ。


「リビア、一人でやれそう?」


「ん、任せて!」


「いつでもカバーできる距離にいるから好きなように戦ってみて」


「わかった、頼りにしている」


 リビアはハゲルさんの店で買った剣を正面に構え俺の前に出た。


 俺はリビアから少しだけ距離を離れたところで、いつでもカバーできる様に剣を抜きながら待機する。


 スケルトンも右手に剣と左手の楯を構え、おおよそ五歩分ぐらいの距離でリビアと相対する。先に動いたのはリビアだ。


「先手必勝」


 やはり、速い。リビアは前傾姿勢をとり最初からトップスピードに乗り、スケルトンの右側に向かって駆け出した。


 対するスケルトンの動きは少し遅れたが、楯を構える事で攻撃に備える。

 楯を構える動作を確認したリビアは、体を低くすることで楯をうまいこと使って、スケルトンの死角へと潜り込む。


 スケルトンへと接近したリビアは、俺から見てさらに右側へと回り込むような動きを取る。

 それを察知したスケルトンは体を回しリビアを正面に捉えようとする。


 その瞬間を狙っていたのだろう。リビアはスケルトンが体をまわした途端に、急制動からスケルトンの右側面、俺から見て左側へ回るような動きを取った。


「シッ!」


 リビアは楯の防御が間に合わないスケルトンへ向け、魔石を貫くような角度で剣を突き入れる。


 だがスケルトンがとっさに剣を滑り込ませることで、突きの軌道が逸れスケルトンの肋骨(ろっこつ)に当たり剣が弾かれた。


 リビアの態勢が少し崩れたところを狙い、スケルトンが剣を繰り出す。だが反撃を予想していたらしいリビアは、すかさずサイドステップをとり攻撃をかわす。


 サイドステップで再度楯を死角にするリビア。その状態から右足でサマーソルトキックを放ち、楯を弾くことで今度はスケルトンの態勢を大きく崩した。


「ハァッ!!」


 宙返りから着地したリビアは軽くしゃがんだ後、膝のばねを利用し再度弱点である魔石を狙って鋭い突きを放つ。


 今度はスケルトンの防御も間に合わず、剣が魔石を貫いてスケルトンの身体が光となって消えた。


「ん……倒した」


 その場に骨素材と砕けた魔石、スケルトンの装備していた剣と楯が残された。


 こうしてリビアはあっさりと、ダンジョンで初めての魔物を倒したのだった。

挿絵(By みてみん)

※ノベルAIにて作成した挿絵です。

※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。


明日も22時頃に投稿予定です!

基本手動での投稿の為多少前後すると思います。


最新話投稿時は下記SNSで告知を行っていく予定なので、もしよければフォロー・登録をお願いします!


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