第11話 ★
俺達はご飯を食べた後はまっすぐ家へと帰った。ちなみにリビアはすごくよく食べる子で二人前くらい食べていた。
妹達にも魔獣の肉を食べてもらおうと思っていたのだが、彼女が全て平らげてしまった。
妹達には魔獣に遭遇した事やリビアに会った経緯を説明し今夜彼女を泊める事を伝えると、かわいい子が泊まるとめちゃくちゃ喜んでいた。
クエストを受けた次の日はいつもゆっくり寝ているので、明日ものんびり起きることにしよう。そう思って俺は少し調べ物をした後自分のベッドへもぐりこんだ。
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夢の中で何度も何度も会って、本当に会ってみたいと思って居た人に会えた。
現実でも彼は優しかった。わたしの事情を詳しく聞かないでわたしのことを信じてくれた。
わたしは今までお父様とお母様以外の家族には、そこにいないものとして扱われて来た。
他の人は基本的には優しかったけれど、わたしを利用しようとして近づいて来る人ばかりだった。
だからわたしはお父様とお母様を除いて、基本的に獣人を含む人族を信用することができなかったし、逆にほとんどの人もお母様の出自の関係上、わたしのことを心から信用していなかった。
けれど彼は出会ったばかりで、わたしが色々と複雑な素性を隠して居ることを恐らく見抜いた上で、わたしを心の底から信用してくれた。
それが本当に、本当に、嬉しかった。
お父様とお母様は確かに優しかったけれど、わたしは仲の良い兄弟という物がどんなものなのか知りたかったし、他の仲の良い兄妹を見ていると羨ましかった。
そんな心境を汲み取ったんだと思う。彼はわたしに彼の妹を紹介してくれた。そして彼女達は出会ってすぐに本当の妹のように可愛がってくれた。
今日は痛い思いをして辛かった時もあったけれど、それ以上にわたしは幸せだった。
だから彼に何かお礼をしたいけれど、何かないかな?
そうだ……夢の中の彼はいつもあれで喜んでくれていた。明日の朝、やってみよう。
喜んでくれるといいな。
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「……ト、起きて。もう九時」
翌朝身体を揺すられる感覚があったので、目を覚ますとリビアが添い寝しており、目の前にリビアの顔があり一気に目が覚めた。
え、これどういう状況? 昨日お酒飲んだりしてないはずなのにいつの間にか一線超えちゃった?
俺は混乱する頭で何とか声をひねり出す。
「……おはよう。何してるの?」
「ん、おはよう。いつも夢の中ではいつも添い寝するとテイトは喜んでたよ?」
そう言いリビアは不思議そうな表情をする。それを見て俺は苦笑しつつ素直な気持ちを告げる。
「いや、そりゃ嬉しいけどさ……いろんな意味で心臓に悪いから辞めてほしいかな」
「喜んでくれるかなって……迷惑だった……?」
そういうリビアは凄く落ち込んだ様子でしょんぼりしている。
くぅ……俺だって男だ。こんな可愛い子に添い寝されつつ朝起こしてもらって嬉しくないはずがない。そこで俺は妥協案を提案する。
「……じゃあ起こすときに添い寝はダメだけど、体を揺する感じで普通に起こしてくれないかな?」
「!! わかった、明日も起こすの頑張る。エミリさんとナオミさんがご飯できたって言ってたから行こ。お腹すいちゃった」
そういったリビアのお腹が昨日の夜のように、ぐぅと可愛らしい音を上げる。
「そうだね。今から着替えていくから先にリビング行ってて」
「ん、待ってる!」
リビアが部屋から出て行くのを確認し俺は私服へと着替える。今日はクエストに行く予定はないので.特に防具を付けていない。
ただ腰に剣を付けていないと不安になるので、愛剣を腰につけてから俺も部屋を出た。
リビングに降りると妹達は先にご飯を食べて出かけているようだ。ご飯を食べつつリビアと二人で、今日と明日以降の予定について話すことにする。
「「いただきます」」
「リビアは今日も泊まる? 俺は歓迎だしアイツらも昨日の雰囲気見るに喜ぶと思うけど」
「テイトを起こしに行く時に二人から同じ事を聞かれて、迷惑じゃなければ暫く居候させてもらおうと思ってた。……いい?」
「もちろん。少し朝弱いから明日も起こしてくれると助かる」
「やった。よろしくお願いします」
「こちらこそ。リビアは居候中何かしたいことがある?」
「ん……テイトと一緒に冒険者やろうと思ってる」
「……結構危険な職業だけれど大丈夫?」
「ん~……テイト程じゃないけど、多分結構強い方だと思うよ」
「ふむ……獣人は基本的に身体能力高いしね。俺も昨日の兼でそろそろパーティーを組み必要性を感じたし、しばらくは二人で一緒に行動しよっか」
正直ちょっと先に約束していた幼馴染よりも、先に他の人とパーティーを組むと後で色々と言われそうだが……まぁいいか。
「よろしく、テイト先輩」
「いや……恥ずかしいから先輩はつけなくいいよ」
「ん、わかった。じゃあ服がダメになっちゃったし、服買いに行きたいと思ってたからその時に防具も買いたい」
「そうだね、今は妹の服を借りている状態だし。その前にギルドに行って、昨日の魔獣についての報告を済ませちゃおうか」
「わかった」
今日の行動をある程度決めた後、妹の分を含めた四人分の食器を俺が洗い家を出た。
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家を出てから約三十分後、俺達はギルドに到着した。
中に入るとアンジェリカが居た。あちらも俺達に気付いたようで会釈をして来た。
「アンジェリカさん、お疲れ様です」
「テイトさん、お疲れ様です。疲れは取れましたか?」
「はい、昨日たくさん食べて寝たのでばっちりです。約束よりも早く来ちゃったんですけど、今ギルドマスターは大丈夫ですか?」
「魔獣の件ですね。今確認してくるので応接室に入って待っていてください」
そうして俺達二人は応接室に通され、据え付けられているソファに座りつつ、アンジェリカの出してくれたお茶を飲みつつ待っていた。
リビアはその間一緒に出されたお茶菓子に夢中だ……。
すぐにアンジェリカがやってきて、今ギルドマスターがやってくるという。
その五分後、応接室がノックされて四十代後半くらいの線の細い眼鏡の男性が入ってきて対面のソファに座る。
「初めまして。サネディ支部ギルドマスターのイェーガーです」
イェーガーさんはエレンさんの旦那で、ちょうど俺が冒険者を始めた頃からギルドマスターとなった人らしい。
「初めまして。Dランク冒険者の赤羽テイトです」
「……リビア」
「そちらのお嬢さんは冒険者ではないはずですが……なぜここに?」
「彼女も魔獣討伐の際に現場にいた当事者なんです。確かに冒険者ではないですが、事情を説明するには良いかと思って同行してもらったのですが、席を外してもらった方がいいですか?」
「……嫌、テイトと一緒にいる」
「……そういう理由があるのでしたら大丈夫です。それでは早速ですが色々と質問させてください」
そして俺はウィンドウルフのクエストを受けた事、サネディの街から東の森でウィンドウルフ討伐直後、魔獣の襲撃があり森の奥にある洞窟に追い込まれて応戦した事を話した。
応戦した際ギルドに置いてあった資料通り、魔獣が風の刃を放つ魔法を使用してきた事を伝える。
そして魔獣は連続で魔法を使用でき、魔法を放った際に首から下全体に数秒硬直が発生することを伝えた。
「魔法を連続で使用してきた……? 一部魔獣を除き魔法使用時に周囲の魔素を消費する為、連続で使用できないはずなのですが……」
「……やはりそうなのですね」
「……しかしテイトさん、あなたはここ数年ずっとDランクでしたよね。一体どうやって魔法を連続で使用してくるような魔獣を倒したんですか?」
「えっと……無我夢中で戦ったら何とかなったみたいで……」
「……まぁいいでしょう。冒険者は基本的に自分の情報を隠す傾向にありますから」
「ははは……」
「ですがギルドとしては最低でも推定Bランク魔獣を討伐できるあなたを、このままDランクにすることはできません。ご存じかと思いますがCランク以降はランク昇格時に試験が必要です。そのため後日急ですがまずCランク昇格試験を受けていただく事になります。詳細が決まり次第アンジェリカから連絡させるので待っていてください」
「俺がCランク、ですか……。わかりました、連絡の方待っています」
突然のCランク昇格……嬉しいが正直自分の実力で上がれたという感覚がないので戸惑いがある。
俺はなぜか魔法の視覚化と脆弱な部分が見れたから倒せただけだと分析している。
そう言えば魔獣との戦闘中に聞こえた声は、あれ以降全くと言っていいほど聞こえてこない。一体なんだったのだろうか……。
そんなことを考えているとイェーガーは大きなため息をついた。
「それにしても最近は本当に、いろいろと事件が起きて嫌になりますな」
「事件ですか?」
「ここ半年でサネディの街周辺で報告のあった魔獣だけで三件あり、あなた達の件を含めると四件目なんですよ」
どこかで聞いた気がする話だな……。あぁ、昨日クエストカウンターの前でアンジェリカへ報告している際、冒険者達が話していた内容だ。
「もしかしてそのいろいろな事件の中に、ダンジョンでの神隠しも含まれていますか?」
「おや、ご存じでしたか。他にも幻想種ブレイダーの集落を滅ぼして彼らを回収して回る凶悪人物らしき人が、サネディの街周辺で何度も見かけられているとか、魔物全体の数がヒノモト全体で増えてきて居る上に強くなってきていて……その対応でギルドは職員と冒険者の人手不足なんですよ」
「そうなんですね……」
「有能な冒険者は何人でも欲しいんです。だからあなたには期待していますよ。先ほどの事件などについてもし興味があれば、ギルドの資料室に色々と報告が纏められているので調べてみてください」
「わかりました、俺なりに期待に応えられるよう頑張ります」
そういうとイェーガーは膝に手を当てて立ち上がった。
「では聞きたかったことはもう聞けたので、帰ってもらって結構ですよ。ご協力ありがとうございました」
「いえ、それでは失礼します」
「……(モグモグ)」
俺達は挨拶をして応接室を後にした。ちなみにリビアは俺がイェーガーと話している間、基本的にずっと出された茶菓子を食べていた。
※ノベルAIにて作成した挿絵です。
※AIイラストの為毎回キャラの雰囲気は変わる可能性が有ります。
明日も22時頃に投稿予定です!
基本手動での投稿の為多少前後すると思います。
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