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遠き過去の思い出を綴る

 私はまず何よりも判決の苛烈なこと、あまりに死刑の多いことに驚いた。首魁の数名は為方無きと雖も、反乱軍将校十四名、民間二名の死刑判決は、私の心に大なる動揺をもたらしたのである。要人暗殺に加担していながら、私は其の罪に問われなかった。後に聞くところによると、反乱軍将校は誰一人として私の罪を公言せず、単なる民間協力者として言及するのみに留まったという。


 判決を知った私は過去へ戻ることを検討した。しかし最終的に、私は過去へ戻らぬことを決意したのであった。今にしてみればそれは正しい判断であったのだろうが、あれから私は要所要所で彼らの犠牲を思い返し、己の選択に深い疑念と苦痛を覚えるのであった。


 将校らと過ごした期間は、思い返せば極々短いものであった。友と呼べる程の関係でも無かったし、何より当初、私は全くもって彼らより歓迎されていなかったのである。しかし彼らとの関係は、血の繋がりとでも表すべきであろうか、どこか根底的な部分の精神的結合を感じるものであったことは覚えている。熱に浮かされていたのだろうと言われればそれまでだが、確かにあの時の私は、彼らの目指す国家革新という目標に少なからず共鳴し、国士の美名に酔いしれていた一面もあったように思うのだ。


 『例え死すとも目的を完遂すべし』


 彼らは本当に、勇壮な死を誇りながらあの世へ旅立ったのだろうか。世間は彼らを殉国の士とも評し、また彼らの最後を犬死にとも揶揄していた。何も知らずに彼らの志を語る、粗野な世間話に怒りを覚えたこともあったものだが、所詮私も彼らの真意を知らぬ、少しばかり彼らと行動を共にした一兵士に過ぎないのである。


 それでも私は、彼らの志を最後まで無視することは出来なかった。その思いが廻りまわって、今日の私を形作ったのである。代わりに失ったものも多くあった。しかし最善の結果が今であると私は信じている。そうとでも思わなければ、これまでの途方もない苦労も報われぬというものであろう……。

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