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王室衛兵との戦闘

 衛兵本部は王宮敷地内の東側、ちょうど諜報局庁舎と東西で対を為すように設置されている。


 王室衛兵と諜報局。この二つの組織はそれぞれ陸軍、内務省の管轄であり、王室直属の組織ではない。実は王室直属以外の組織が王宮内に本部を構えること自体、極めて例外的なケースなのである。この点だけ見ても両組織は非常に特殊な性質を有しており、王室と最も緊密に関わる外部組織として位置付けられているのであった。


 「外から見ただけじゃ、特に何も分からないな……」


 俺は王宮から数百メートル地点のビル屋上から、双眼鏡にて衛兵本部の様子を確認していた。しかし特に兵の出入りがあるわけでもなく、状況は平穏そのものである。


 「未来のニックは、王室衛兵が動くって伝えてきたんだよね? その規模って分からないかな?」


 「規模か……。もしある程度分かっていたなら、メモ書きでよこす筈なんだけどな。もしかして……」


 ダレンの言葉に、俺は今後想定される王室衛兵の動向に考えを巡らせた。俺が衛兵の動員数を明記しなかったのは、それが分からなかったからではあるまいか。例えば不意打ちを受けたりとか、若干名による襲撃であったりとか、どれほどの規模で衛兵が動いているのか、把握できなかったのではないだろうか。


 「俺は過去に戻る際、ジョシュアの亡骸を視界に入れていた。メモ書き以外にヒントとなる情報はそれだけだった。もし王室衛兵との全面対決になっていたならば、クーデター計画自体の変更を、過去の俺へ要請する筈だ……」


 「つまり、王室衛兵との全面対決にはならないってことか?」


 「恐らくそうだろう。メモ書きにはこうあった。『王室衛兵は動く。潜伏場所は危険、作戦を変更せよ』と。俺たちの作戦のみに言及したものだったんだよ。潜伏場所を変えろってね。もっと言えば、ジョシュアを殺させないための過去戻りだったんだろう」


 「王室衛兵は大規模な動員を行わない。そう考えられるってことかい?」


 「ああ。未来の俺は、ごく少数の衛兵としか接触していない可能性が高い。もしかすると陸軍命令とは関係の無い、衛兵個人の行動である可能性も考えられる」


 せめて接触した衛兵の人数だけでも伝えてくれればよかったのに。俺は未来の自分を心底恨んだ。しかし、反乱の最中に、ジョシュアの死を受けて冷静ではいられなかったのだろう。


 「元々予定していた潜伏先に移ろう。西側のビルだ」


 「大丈夫なのか?」


 俺の提案に、ダレンが不安げな表情を見せる。


 「安全ではないだろうが。あの場所が割れるんだったら、どこにいたって同じだ」


 「……それじゃ、向かうよ」


 ダレンのテレポートで西側ビルへと移動する。元々潜伏先として予定していた、建設途中のビル四階である。そこで俺たちは、予定通り諜報局の様子を確認した。敵兵力は警視庁の特別警備隊約五十名。諜報局前広場にバリケードが構築されており、迎撃態勢は万全のようである。装備の機関銃一丁も見逃せないだろう。やはり決戦は避けられないのか……。


 間もなくプロクター率いる二百名の反乱軍が到着し、俺は諜報局前の現状を報告した。


 「諜報局庁舎前広場に特別警備隊50名。彼らは機関銃一基を装備しています」


 「王室衛兵はどうだ?」


 「現状動きは見られません。速やかに襲撃を実行すべきかと」


 「承知した。総員! 配置に着け!」


 いよいよ戦いの火蓋が切って落とされた。俺は戦闘の様子に気を配りながら、来るべき王室衛兵の襲撃に備えることにした。万が一反乱軍が劣勢に立たされた時の為にと、昨日闇商人から買い取った最新兵器を鞄から取り出す。


 「ニック、その武器は?」


 ダレンが俺の銃を見て、不思議そうな顔つきで尋ねてきた。それもその筈であろう。武器の形状は実に歪であり、銃本体を二丁並べて接合したような、陸上兵器では類を見ない設計の短銃なのである。


 「ルネスタン製の短機関銃だ」


 「短機関銃? なにそれ?」


 「サリムで俺が使った銃を覚えてるか? あれに近いもんだ。取り回しが利く分、室内での戦闘はこっちのが有利だろう。近頃ギャング連中に人気らしくてね……割とあっさり手に入ったよ」


 本兵器はピストル弾を使用する。言うなれば小型の新自動火器であり、有効射程は約100m程度。近接戦に特化した自動小銃なのであった。二十五発入りの弾倉を二丁装着し、計五十発の弾丸を連続で浴びせ掛けることが出来る。射程こそ短いものの、小型で携帯性に優れており、戦闘時の小回りも実によく利く。まさに小規模な戦闘にうってつけの新兵器なのである。


 諜報局前広場の戦闘は、一進一退の攻防を経て反乱軍の勝利に終わろうとしていた。予測できた結果である。防衛側は約五十名の警察隊に機関銃一基。対して攻撃側は約二百名の陸軍部隊、うち七十名は機関銃隊で構成されているのである。六基もの機関銃攻撃にさらされた警察隊は為す術なく、諜報局前広場は死屍累々の様相を呈していた。


 「ニック! サムから伝達がきたよ! 直接ホールデンの部屋に来いだって!」


 諜報局内の監視を続けていたシャーリーが報告を発する。俺は武器を握りしめ、慎重に辺りを見回した。


 「まだ乗るな。未来の俺が正しければ、そのうち王室衛兵が動き出すはずだ」


 「サムは今すぐ来いって……」


 「……罠かもしれない。とにかく衛兵の動向を確かめよう。念のためサムに、王室衛兵との戦闘に入る可能性があることを伝えておいてくれ」


 「わかった!」


 俺たちのいる部屋に静寂が訪れる。一体衛兵はどのタイミングで動き出すのか。そもそもこの場所に来るのだろうか。あと五分だ。五分経って何も起こらなかったら、ホールデンとサムのもとへ移動しよう……。


 すると突如として部屋の扉が開き、一人の女が姿を現した。左腕に付けられた腕章は間違いなく王室衛兵のものである。


 「読まれていたか……」


 彼女がそう呟くと同時に、ダレンのテレポートが発動した。瞬時に女の背後へと回り込むダレン。彼の右手に握られたサーベルが、勢いよく女目掛けて振り下ろされる。


 しかし女は身を反らし、彼の斬撃を難なく避けて見せた。彼女は目にも止まらぬスピードで、ピストルの銃口をダレンに突き付ける。そして女は躊躇なく引き金を引いた。ダレンは再びテレポートで女の背後に回り込み、彼女の首元目掛けてサーベルを振り上げる。


 その後ダレンはテレポートを駆使して、数回に渡って彼女へ攻撃を仕掛けていった。テレポートを駆使した彼の攻撃は、全てが一瞬のうちに行われるのである。しかし女はその猛攻を躱し切り、とうとうダレンの左足に一発の銃弾が命中した。


 「ダレン! 退避しろ!」


 俺は女目掛けて短機関銃を乱射した。不意を突かれた彼女は、慌てて備え付けのデスク裏へと潜り込む。


 しかし恐るべき反応速度である。この新兵器は一秒間に五十発の連射が可能であり、近距離で発砲されれば避けることは不可能であろう。だが女は一発も食らうことなくそれを回避して見せたのだ。俺は弾倉を取り換え、再び攻撃の姿勢を取った。


 ありえない反応速度を見せる彼女だが、ダレンのように瞬間移動が出来るわけでは無い。また彼女には、銃撃を防ぐ防御手段も無いようである。回避特化の能力を有する契約者なのだろう。それならば反撃の隙を与えず、ある程度の距離から広範囲に渡り攻撃を浴びせ続ければよい。


 女の隠れるデスク周辺を狙い、引き金を引こうとした瞬間であった。突然ビル内に突風が巻き起こり、部屋中の窓ガラスが粉々に砕け散ったのだ。俺は咄嗟に付近のデスクを掴もうとしたが、途轍もない風圧に体を吹き飛ばされてしまった。そのまま勢いよく壁に叩き付けられ、全身に激痛が走る。


 「ニック! 大丈夫か!?」


 風が止み、ダレンがシャーリーを抱えて俺の眼前に現れる。きっとテレポートで回避したのだろう。とにかく二人が無事でよかった。


 「……大丈夫じゃないが、何とか動ける。それより見ろよ。二人目の衛兵のお出ましだ」


 扉から姿を現した男の姿に、俺は見覚えがあった。彼とは一度だけ顔を合わせている。王宮にて開催された、重臣会議の場においてである。


 そうだ。俺はその時本人から、能力についての説明も受けていたのだ。風を操る契約者。その能力を用いて、ジェームス王太子の身辺を護衛する男。


 「ニック。やはり君だったのか……」


 彼の名はアレックス・ミットフォード。ジェームス王太子の側近を務める王室衛兵であった。重臣会議の後、王太子の執務室へと向かう廊下にて、彼は自らの戦闘スタイルについて少しばかり語ってくれていた。俺はその説明を受け大層感心したものであったが、まさか敵として対峙することになるとは露ほども思わなかったのである。


 「諜報局周辺を監視していた王宮職員より連絡を受けてね。彼女が戦闘に入ってるようだったから、心配になって見に来たんだ。一体こんな所で何をしている?」


 どうやらアレックスは対話の姿勢を見せているようだ。俺は全身の痛みを堪えながら立ち上がり、彼の問いかけにこう答えた。


 「反乱の動向を確認していた。王室衛兵まで動き出すとは思わなかったぜ」


 するとアレックスは首を横に振り、デスク下へ隠れるもう一人の王室衛兵に語り掛ける。


 「ダメじゃないかサラ、相手の素性も確認せずに攻撃しちゃ」


 サラと呼ばれたもう一人の衛兵が、デスクの陰から立ち上がった。彼女は未だ俺たちを警戒しているようである。俺達から視線をそらさずに、彼女は次のように口を開いた。


 「アレックスの知り合いですか? 言っておきますけど、先に戦闘の構えを見せたのは彼らですよ」


 「私が来なければ君は死んでいたかもしれない。イザベル殿下の側近が、単独行動の末に死んだとあっては。王室衛兵の信用も地に落ちる」


 「今更信用など……。陸軍命令を待っている暇はありません。諜報局もじき落ちます。もし危害が王室に及んだら……」


 二人の会話から察するに、女の衛兵もアレックス同様、王族の側近衛兵であるようだ。それも国王陛下の妻、イザベル王妃の側近らしい。

 

 イザベル王妃はここ数年病を患っている。公式行事を除いて、王妃が王宮外へ出ることは滅多にない。王妃の側近衛兵である彼女も同様、王宮内で王妃の側に居続けていたのであろう。だから彼女の姿に見覚えが無かったのだ。王妃は重臣会議の場にも姿を現さなかったのだから。


 「今、単独行動って言ったよな。他の王室衛兵は動いていないのか?」


 「ああ。私はサラの様子を見に来ただけだし、彼女も個人の意思で動いている。しかし君たちの目的次第では、私も黙っているわけにはいかないね……」


 俺達へ向け右手をかざすアレックス。彼の脅迫を受け、俺はここからどう動くべきかを考えた。そろそろ諜報局の抵抗も限界であろう。ホールデンの誘いに乗るなら今の内である。しかし二人の側近衛兵を敵に回したまま、この場を立ち去るのもリスクが高い。


 (サムとやりとりしてみたけど。王室衛兵を説得するか、倒してから来いだって。できるだけ早くって言ってる。あとね、もしかしたら味方を呼べるかも……。ちょっと聞いてみるね)


 シャーリーの報告が脳内に響き渡る。やはりホールデン達も、王室衛兵の介入は排除したいのであろう。しかし衛兵を倒せとは、サムも簡単に言ってくれるものである。相手は王室衛兵の中でもトップクラスの精鋭二名だ。手負いの状態で簡単に倒せる相手ではない。


 またシャーリーの言う味方とは、反乱軍のメンバーであろうか。それとも諜報局の人間か。彼女は一度視認した相手としか交信できないから、恐らくこれまで会ってきた誰かなのだろうが。しかし、強力な契約者が来てくれなければ、単なる足手まといになるだけではないか……。


 「……俺たちは反乱軍に加勢している。王室に危害を加えるつもりはない。俺が狙っているのは諜報局尋問室長、ホールデンただ一人だ」


 するとアレックスは残念そうに肩を落とし、悲し気な表情でこちらを見た。


 「なるほど。申し訳ないが、見過ごせないね……」


 再び突風が巻き起こり、室内のありとあらゆる備品が吹き飛ばされた。俺たちはダレンのテレポートでそれを回避し、二人の後方へと回り込む。


 「全部見えてます」


 サラの銃口が回避先の俺たちを捉え、続けざまに火を噴いた。一発の銃弾が俺の側頭部をかすめる。鮮血が飛び散り、生暖かい血液が頬を伝う。

 僅かに遅れてアレックスも振り返り、次の攻撃の構えを見せていた。気付くとダレンが腹部を押さえ、床にうずくまっている。サラの銃撃を食らってしまったのだろうか……。



 万事休すか……。俺は観念して、過去戻りの選択を考えた。

 

 その時であった。目の前に、冷気を纏った防御壁が現れたのである。氷の壁が俺たちを、突風攻撃から守り切ってくれたのだ。


 「どうなってんだ……」


 俺は思わずそう呟いていた。そして、部屋の入り口から姿を現した女性の姿に、俺は呆然と口を開くのであった。


 「リリアン・フレッチャー。久しぶりだね。一体何故君がここにいるのか……、聞かせてもらえるかな?」


 アレックスが攻撃を止め、リリアンの方へ体を向ける。戦闘の構えこそ見せていないものの、彼が緊張を解いていないことは一目瞭然であった。サラもリリアンへと銃口を向け、警戒するように一歩後ずさる。


 「そんなのこっちが聞きたいわよ。ホールデンの命令で渋々戻ってみれば、今度はそこの女の子に助けを求められるわ……」


 ため息をつきながら、シャーリーの姿を横目で見るリリアン。シャーリーの言っていた味方とはこのことだったのか……。


 「彼らは反乱軍に味方している。君にとってはかつての部下だろうが、この男は今や、国家転覆を企む反逆者だ」


 「そうね。彼はもう、国家の敵なのよね……ごめんなさい……。つい彼を死なせたくなくて、こんなことを」


 「気持ちは分かるよリリアン。私とて、同じ側近衛兵であった彼を殺したくはな……」


 彼女へ歩み寄ろうとしたアレックスが突然動きを止めた。足元が凍り付き、動かすことが出来なくなっていたのである。


 「リリアン! 何故だ!?」


 「ごめんなさいね。不意打ちでもしない限り、あんたは直ぐに倒せないから」


 あっと言う間に全身が凍り付き、アレックスの体は氷像と化した。その姿を見たサラが即座に反応し、リリアン目掛けてピストルを発砲する。


 しかし銃弾は発射されなかった。代わりに銃身が暴発し、サラの指が数本弾け飛んでしまったのである。

 

 「キャアアアアッ!」


 血の滴る左手を押さえ絶叫するサラ。その隙を見たリリアンが、彼女の鳩尾に拳を打ち込んだ。


 「あんたは何でも避けられるから、痛みに慣れてないのよね……」


 騙し打ちとはいえ、衛兵の精鋭二名をあっさりと沈める彼女の姿に、俺はあっけにとられてしまった。気絶したサラの手首に手錠をかけ、アレックスの氷結を解除するリリアン。意識を失ったアレックスにも手錠を填め込み、彼女は二人の体を担ぎ上げる。


 「リリアン……。ありがとう……」


 恐る恐る感謝の念を告げると、彼女はキッとこちらを睨み付けた。


 「言っとくけど、相当怒ってるからねあたし。全部終わったら覚悟しときなさい」


 「……ああ。すまなかった」


 「事情はある程度ホールデンから聞いてる。さっさと自分の仕事に戻って」


 「……ああ」


 ダレンが俺の体を抱え込み、移動の態勢を整える。するとリリアンが表情を曇らせ、悲し気な視線を向けながらこう告げた。


 「生きてて安心したんだから……。絶対死なないでよ」


 「ああ。全部解決して、絶対に戻るから」




 目の前からリリアンの姿が消え、次の瞬間に俺たちは諜報局庁舎の入り口に移動していた。庁舎内部では激しい戦闘が続いているようである。銃撃音が絶え間なく響き渡り、戦闘員の怒号や悲鳴が耳をつんざく。破壊されたバリケード。散乱する警察隊の死体。庁舎前は、まるで戦場の様相を呈していた。


 「サムはどうだ。まだ生きてるか?」


 俺はシャーリーに状況を尋ねた。彼らとの通信はシャーリーが一手に引き受けている。


 「うん、はやくいこう。余裕がないみたい」


 とうとうホールデンとのご対面だ。窮地に追いやられた彼は、一体俺に何をさせようというのだろうか。戦況をひっくり返そうなどとは考えていないだろう。彼自身、諜報局の敗北は想定していた。それではダレンのテレポートを利用して、戦線離脱するつもりだろうか。いやそれも考えにくい。だったら初めから戦地に赴かず、自身の邸宅で身をひそめていればよかった筈だ。ホールデンの名は暗殺目標に入ってはいなかったのだから。


 「それじゃ、行くよ」


 ダレンが能力を行使する。景色は一転し、俺たちは尋問室長の執務室へと移動した。


 視線の先には、デスクを前に腰かける諜報局尋問室長のホールデンの姿があった。隣には側近のサムが控えており、神妙な顔つきでこちらを見据えている。


 「遅かったな。折角だから最後の時を、お前とじっくり楽しみたいと思っていたんだが……」


 ホールデンはウイスキーの瓶を握りしめ、勢いよくグラスに注ぎ込んだ。


 「随分と呑気なもんだな。それで、要件は?」


 「サム。あれを……」


 彼の指示を受けたサムが、俺達との距離を測るように右手を動かした。まさか、能力を発動させるつもりなのだろうか……。


 「完了しました」


 「結構。これでまた十五分は稼げる」


 話の内容から察するに、たった今サムは能力を行使した。彼の能力は一定範囲の生物の動きを、一定時間停止させられるといったものである。十五分とは、その能力の効果時間のことであろう。


 「サムの能力は、一度使用すると五分間のインターバルを要する。既に反乱軍はここ三階まで到達しているものでな。恐らくこれが最後だ」


 「それで、お前は俺に何をさせるつもりだ?」


 「……お前に全てを託す。ゲームの引継ぎだ」


 ニヤリと笑みを浮かべるホールデン。俺は初めて彼の笑みに、恐怖以外の何かを感たのである。その表情には諦めと、そして希望の意思が籠っていた。少なくとも、俺にはそう感じられたのであった……。

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