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どこかに

 如何なる星のもとに生まれけむ。われは世にも心よわき者なるかな。暗にこがるるわが胸は、風にも雨にも心して、果敢なき思をこらすなり。花や採るべく、月や望むべし。わが思には形なきを奈何にすべき。恋か、あらず、望か、あらず……



 (いつしかの冬の始めに)



 暗いトンネルを歩み続けている。冬の到来を告げる寒風は未だ遠く、闇夜の月明に郷愁を感ずる時、メランコリヤの行き場に苛まれ、浜辺の亡霊が薄明に揺れ、喉の渇き、何を呑んでも酔えぬ日に、海水の麻薬に溺れ、忘却の底に掴んだ真実も絶望で、空虚な帰路に月を見る。


 更け行く夜、薄明は未だ終えず。紫煙の渦巻く濁りの中、一人呑みさしの煙草に火を付ける。慣れぬ酒に咽び泣き、慣れぬ煙にまた咽ぶ。最初から泥船に乗る人間がいるだろうか。先の見えぬまま、敷かれたレールを辿る人間がいるだろうか。四方八方四面楚歌。それでも戦い続ける理由がどこにあると言うのか。

 

 幼き頃の記憶がよみがえる。彼女は蝶々と戯れていて、それでいて静かに微笑んでいた。やがて彼女も大人になった。あの頃の思い出に囚われ始めたのは、一体いつから……。


 



 微睡の中で、泥の様に眠りたい。

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