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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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第99話 分析

 ドレイクは、観測員の元に向かう。


「第7惑星周辺宙域の詳細な地図を作成してくれ。特に、超出力レーザー光線砲の表面が分かるレベルで作成を頼む」

「わ、分かりました」


 そういって、観測員が、第599任務部隊が持っているすべての観測機器を使って、超出力レーザー光線砲を測定する。


「しかしドレイク大尉。こんなことをしてどうなるというのだね?」

「先ほども言ったと思いますが、あの光線砲には逃がし弁が存在するはずです。もし、その逃がし弁が表面に露出していて、かつエネルギーを放出しているのなら、そこは装甲が薄くできているはずです」

「だが、その逃がし弁が存在することは確認していないだろう?」

「いえ、先ほどからX線が放射されていることは確認しているでしょう。内部に存在するブラックホールから放出されるエネルギーによって、砲そのものが崩壊するのを防ぐために、常時エネルギー放出をしているはずです」

「ふむ……。それもそうだが、しかし確証はないだろう?」

「それを今から確かめるんです」


 ちょうどその時、観測員がレーザー砲の測定を終了する。


「ドレイク大尉。これで大丈夫でしょうか?」

「これをモニターへ」

「はい」


 ホログラムモニターに超出力レーザー光線砲の外形図が表示される。

 全体像は、まるで楕円形の立体に棒状のものを二本刺したような形をしていた。


「では、考えられる場所を見てみましょう」


 そういってドレイクは、ホログラムを操作する。


「例えばここ。この場所は電磁波をエルゴ球に照射するための装置でしょう」


 刺さっている棒状のもののうち、細く短いほうを指す。


「そしてこちらは、おそらく砲口でしょう」


 もう一方の、砲身と思われるものを指した。


「それは憶測ではないのか?」

「いえ、ギャリオ帝国の先遣隊が詳細な情報を提供してくれています。内部の状況もよく分かりますよ」


 そういって端末を見せる。

 そんなことを言っていると、観測員の一人が声を上げる。


「超出力レーザー光線砲から放射されているX線の量がほとんど観測できません!先ほどのレーザー照射と同レベルです!」

「まずい!各艦散開!少しでも被弾を減らすんだ!」


 しかし遅かった。

 次の瞬間には、第599任務部隊を分断するほどの、巨大な光線が降り注いだ。

 それにより、各艦ではアラームが鳴り響いた。

 第599任務部隊の旗艦も、少なからず影響を受ける。


「被害報告!」

「主砲塔一部融解!旋回不可能!」

「艦表面で爆発!エネルギー供給管に誘爆した模様!」

「ダメージコントロール!攻撃兵器優先だ!」


 艦橋はてんやわんやになる。


「やばいやばいやばい!艦内サーバがダウン!」

「これ消えちゃったらアタシたち何もできなくなっちゃう!」

「お前ら落ち着け!まずは再起動、それから復旧作業だ!」


 フクオカたちも対応に追われる。


「……さて、これからどう攻略するのか、ゆっくり聞かせてもらおうか」

「もちろんです、指揮官」


 そういって、ドレイクは再びホログラムモニターの前に立つ。


「作戦は至って単純です。我が艦隊の重爆撃隊によって、この逃がし弁を破壊。これにより砲撃のエネルギーを喪失したレーザー光線砲を無力化するというものです。」

「しかしそんな単純に事が進むだろうか?」

「そのためにも、指揮官には相応の働きをしてもらわないといけません」

「我々を囮にするということか」

「包み隠さず言えば、その通りです」

「……そうか」


 指揮官は考え込む。


「どうします?乗りますか?」

「……乗らないわけにはいかんだろう。どのみちこれしか方法がないのだからな」


 そういって指揮官の了承を得る。


「では自分は、重爆撃隊の隊長として出撃してきます」

「頼んだぞ」

「えぇ」


 そういって、ドレイクはブリーフィングルームに向かう。

 そこには、第599任務部隊のすべての航空隊が中継を繋いでいた。


「さて、話は半分くらい聞いていると思うが、敵の巨大砲台を叩くことになった。厳密に言えば、敵砲台の逃がし弁と思われる箇所を爆撃するだけの仕事だ。そのためには、敵が展開している宙域を突破しなければならない。まぁそこは第599任務部隊の連中が何とかしてくれるだろう。今回は重爆撃隊3個、護衛に9個用意する。少し少ないが、敵の真ん中を突っ切るにはちょうどいい数だろう。さて、ここまでで意見のある奴は?」


 すると、一人の航空兵が手をあげる。


「もし一撃で逃がし弁を破壊することができた場合は?」

「まぁ、その時は他の艦でも攻撃しておけ。他には?」

「仮に逃がし弁を破壊できなかった場合はどうするんです?」

「その時は、指揮官様が何とかしてくれるだろ」


 それ以降は静かになった。


「他に質問はないな?では出撃準備」

「了解!」


 そういって航空兵たちは、次々とブリーフィングルームを飛び出す。

 肝心の発着場では、宙域航空機を爆装させていた。

 そこにドレイクがやってくる。


「お、大尉」

「どうも、整備長。順調か?」

「えぇ、抜かりなく。万全な状態ですよ」

「常に整備してくれて感謝する」

「お礼はいりませんよ。仕事ですから」


 そう言って、ドレイクは荷物を持つ。


「今回の作戦、大尉も出撃するんでしたね」

「あぁ。久々で腕が鳴るよ」


 ドレイクは荷物を持って、自分の機体のもとに行く。


「ご武運を、大尉」


 そう整備長が呟いた。

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