第100話 投下
各艦の航空隊が準備を完了させ、次々と出撃する。
ドレイクも遅れまいと出撃を待つ。
『発艦準備』
『大尉が最後だ。しっかりやってくれ』
「了解。ドレイク、出撃する」
『シャトル結合ヨシ!』
『こちら管制、機体射出を許可する』
『射出!』
その掛け声とともに、機体に大きな加速度がかかる。
機体はあっという間に加速され、艦艇から発射された。
若干機体が進行方向軸からずれていくが、宇宙用の航空機は機体全体にスラスターが装備されているため、簡単に修正される。
『大尉、やっと準備できましたか』
『いつでもいけますぜ!』
「よし。全機、目標に向けて前進せよ」
『了解!』
総数100機以上の爆撃隊が、遥か先にある超出力レーザー光線砲に向けて発進する。
当然、その道中は一筋縄では行かない。
『前方より敵の攻撃!おそらく光学妨害ネットです!』
『これくらい俺たちの手にかかれば問題ない!行くぞ!』
爆撃隊のうち、約3割の機体が、爆撃隊を防衛するための直掩機である。
彼らがいる限りは、爆撃隊には直接被害は出ないだろう。
『目標をロック!2-2-5!』
これは、宇宙空間用無重力下運用アクティブレーダー誘導ミサイルを発射したことを意味する。
軌道を修正しながら、ミサイルは光学妨害ネットの交差する場所へと飛んでいく。
そこには、光学妨害ネットを展開するための装置が存在する。これは複数個合わさってネットを展開するのだ。
非常に小さいが、1個でもこれを破壊すれば光学妨害ネットは無力化される。
アクティブレーダーによって、終端誘導に入るミサイル。しかし光学妨害ネットの装置も、ステルス化を図っているため、簡単には狙われない。
だが、今回はミサイルのほうが上手だったようだ。
見事光学妨害ネットの装置に命中し、ネットは無力化された。
『さっさとこの宙域を抜けるぞ』
そう言って、ドレイクが機体を加速させる。
宇宙空間では基本的に慣性航法が主流だ。燃料はあるが、空気抵抗の類いがないこと、無重力であることなど、様々な要因で積極的には使われない。
しかし、今回のように加速や宙域の緊急離脱を行う際は、エンジンをふかす。
宇宙空間では速度を体感しにくいが、爆撃隊はすでにマッハ4で巡航している。
すると再び、敵から攻撃が飛んでくる。
どうやら対小型飛翔物体機銃が反応して、防衛のための攻撃を行っているようだ。
しかし距離が空いている。そのため、弾幕が薄く、簡単にすり抜けることができた。
『こいつら本当に戦争する気なんてあるのか?』
『分からん。だが、戦闘する気力は残っているようだ』
そんな爆撃隊の声も上がる。
それに関しては、ドレイクも憂慮していた。
「ここまでは問題なく来れたが、まだ奥の手を残しているのか……?」
その時だった。
第599任務部隊から連絡が入る。
『こちら旗艦!超出力レーザー光線砲からのX線減少を確認した!照射が近い!気を付けてくれ!』
「そう言われても、対処のしようがないんだが?」
『君たちの機体は、我々に比べて小さい。狙うなら艦隊のはずだ。念のための忠告だ』
「了解、散開させる」
そういってドレイクは、爆撃隊に散開するように指示を出す。
「さて、これでどう出るかだな……」
その直後であった。
爆撃隊の下部を、一筋の光が横切る。
『2隻が蒸発!』
『爆撃隊にも被害あり!』
『今は爆撃隊の攻撃が最優先だ!遠距離砲撃戦準備!』
そのような通信が聞こえてくる。
「こちらドレイク。爆撃隊で被害を受けたのは?」
ドレイクが通信を入れる。
『こちら第1025飛行隊、隊長機含めて7機がやられた』
『第1034飛行隊、2機程巻き込まれた』
『第1058飛行隊も3機行動不能だ』
「直掩機どうだ?」
『直掩部隊は全機無事だ。問題はない』
「では行動不能になった機体とパイロットを救出するように指揮官に連絡してくれ。我々は任務を続行する」
『了解!』
そうして爆撃隊は前進を続ける。
目視でも超出力レーザー光線砲が見える位置までやってきた。
「敵艦隊を目視で確認、そこまで数は多くなさそうだ」
『機銃の攻撃はどうだ?』
「多少弾幕は濃くなったが、問題はない。このまま作戦を続行する」
こうして、ドレイクたちは超出力レーザー光線砲まで3光分のところまで接近する。
「作戦宙域に到達!作戦行動に移れ!」
『了解、作戦行動に移る!』
今回ドレイクたちが行おうとしているのは、遥か彼方から爆弾を投下して、目的の場所を爆撃する、超精密爆撃である。
もちろんこれを行うには、とてつもなく精密な投下と、爆弾本体による軌道修正。そしてそれらを行う高度な職人芸が必要である。
『爆弾投下位置についた』
『爆撃準備!最終投下軌道に入る!』
『軌道修正、+0.2、-0.44、+0.26』
ヨー、ロー、ピッチの調整を行い、投下ポイントに入った。
『投下!』
爆弾を投下したあとは、爆撃機はすぐさま退避。そのまま艦隊へと帰還する。
そしてここからは、爆撃機に乗り合わせた爆撃手の出番だ。
最後の最後まで、爆弾の軌道を修正するのである。
『目標との相対速度4588km/s』
このような情報をもとに、爆撃手は爆弾をコントロールしていく。
そして、まもなく爆弾が超出力レーザー光線砲と交差する。
本日も読んで頂きありがとうございます。
もしよろしければ下の評価ボタンを押していってください。
また感想やブックマークもしていただけると幸いです。
次回もよろしくお願いします。




