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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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第97話 作戦

 一瞬の閃光。

 その瞬間、音のない稲妻のような何かが旗艦の横を通って行った。

 それと同時に鳴り響くアラーム。

 赤い警告灯が艦内を染め上げた。


「何事だ!」

「わかりません!」

「味方艦艇数隻の情報ロスト!」

「くそっ!レーダーが使い物にならない!」


 艦橋は混乱に陥った。


「どういうこと!?」

「お前ら!持ち場から離れるな!」

「上官のいう通りだ!情報収集から開始するぞ!」

「何リーダー気取ってるの!?」


 フクオカたちも混乱していた。

 その光の柱が消失すると、次々と情報が更新されていく。


「先ほどロストした味方艦艇4隻のうち、3隻は生存確認できましたが、残りの1隻が見つかっていません」

「先ほどの現象に関して、解析が完了しました。可視光線および、その前後の電磁波による攻撃と見られます」

「なるほど、これが例の超出力レーザー光線砲の威力というわけか……」

「とんでもない熱量とエネルギー量……。防ごうにも、急造のバリアや鏡の類いでは難しいでしょう」

「それで、次の発射まではどのくらいかかるとみられる?」

「分からない、というのが見解ですね」

「そうか……。敵はすでに再装填を開始しているだろう。次の発射までにこれを止めなければならない」

「それはすなわち、敵の本陣に対して突撃するということですか?」

「簡単に言えばな」

「しかし現在は惑星間弾道ミサイルの対処中です。それに加えて、先ほどの攻撃。味方が混乱している状態ではこれ以上の攻撃をするには少々問題であるとも言えます」

「そうだな。だからこそ、第599任務部隊だ」

「……なんとなく察しました。速力をもって突撃するということですか?」

「そうだ」

「はぁ……。作戦課!」

「はい」

「やるべきことは分かっているな?」

「弾道ミサイルの網をかいくぐり、例の光線砲を無力化するということでしょう?」

「その通りだ。早速作戦立案に動いてくれ。2時間で仕上げてほしい」

「了解」


 そういって作戦課の課長は戦術室に入る。


「聞いていたな?何としても作戦を立案させろ」

「了解!」


 そういってフクオカたちが作戦立案へ動き出す。


「弾道ミサイル群の動きは鈍重だが、加害力が大きい。現在は第599任務部隊をドーナツ状に取り囲むように飛翔してきている」

「なら真ん中を突っ切るのが最善だね」

「だがそれでは、超出力レーザー光線砲の餌食になりかねない。なんとか分割して戦力を維持できないものか?」

「それをするには、狙われないように、弾道ミサイル群の外側を通るルートになる。移動距離も長くなるし、非効率的な運動を強いられる。あまり賛同はできない」

「なら弾道ミサイル群の中心を通っていくか?」

「その方が早いし、確実でしょ」

「よし、その方向で考えよう」


 会話の中から、作戦となりそうな材料を取り出して、次々と作戦案をまとめる若手士官たち。

 その様子を、作戦課の課長は遠目に見ていた。


「どうです、若手の力は?」


 そこに、第599任務部隊旗艦の艦長がコーヒー片手にやってくる。

 艦長とはいえども、艦橋に任務部隊の指揮官がいるなら、やれることは限られてくるだろう。

 そのため、暇つぶしのためにやってきたのだ。一応、仕事はしているらしい。


「まぁ、並みの子が多いですが、光る原石はいるようですよ」

「そうですか。それはなにより」

「ところで艦長。今日の仕事は大丈夫なんですか?」

「何、先ほど終わらせてきたところだよ」


 そういって持っていたコーヒーを飲む。


「こう見えて僕は真面目でしてね。給料に見合った仕事はしているつもりですよ」

「それはよかった。今回の指揮官は堪忍袋の緒が切れると大変怖いらしいそうで」

「そうならないように気を付けましょう」


 そういって時間が過ぎていく。

 最終的な作戦案が、指揮官に通達される。


「まずは、現在の攻撃体系から密集陣形に移行。そのまま惑星間弾道ミサイルの中心を通り抜けます。この時点で艦隊全体で加速し、最大戦速のまま超出力レーザー光線砲に突撃。減速をしつつ周辺の基地を破壊します。そしてかつての衛星と思われる天体を使って重力ターンし、最終的に超出力レーザー光線砲を制圧するというものです」

「なるほど。それで、作戦実行時における損耗率の計算はどうなんだ?」

「艦内量子演算コンピュータの計算によりますと、作戦成功時、損耗率5%までが35%、損耗率50%までが75%という計算です」

「……許容範囲といった所か。よろしい。この作戦を実行に移せ」

「了解!」


 こうして艦橋から各艦、そして重要なポジションの士官たちに連絡される。


「弾道ミサイル群、残り2500!」

「作戦開始まで、あと110秒」

「全艦、機関出力上昇開始」

「艦内重力制御、補正値+5.3」


 順調に、超出力レーザー光線砲への攻勢へ移行していく。


「作戦開始時における活動限界範囲に到達します!」

「うろたえるな。機関出力を5%上昇。重力制御補正値も増加させておけ」

「作戦開始まで30秒!」


 そして時は来た。


「作戦開始まで10秒!」

「各艦戦線を離脱!敵砲台へ進路変更!」


 その瞬間、第599任務部隊は一斉に進路を変更する。

 これから、敵の超出力レーザー光線砲を無力化するために行動するのだ。

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