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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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第71話 捜査

 そして顔に手を当てて、ドレイクは深く息を吐いた。


「もう、俺はコックピットに乗れないんだろうな……。今まで積み上げた俺の人生は、俺自身のせいで崩れ去っていくんだ」


 そういってドレイクは、ベッドから降りると杖を持つ。

 そしてそのまま、医務室を出ると、格納庫へと足を運ぶ。

 フクオカたちはドレイクの後を黙って追う。

 ドレイクが格納庫へ到着すると、そのままCO-707型機へ歩みを進める。

 そのままタラップに手をやり、足をかけようとするも、足が竦んで上手く動かせない。

 結局、体の力が上手く入らず、タラップから落下し尻もちをついてしまう。


「いまじゃこんなザマだ……。まともにコックピットに乗り込むこともできねぇ……。もう俺の人生は終わりだ……」


 そういって涙ぐむドレイク。

 その姿に、フクオカたちは何も言えないのだった。


「こんなことなら、偵察の時に死んでいれば良かったんだ!」


 ドレイクは突如としてキレる。

 それは他でもない、自分自身に対してのものだ。


「どうして……!どうしてこうも試練のような出来事が立て続けに起きるんだ!?神は俺を試しているのか!?」


 そういって、ドレイクは天をあえいだ。

 その姿は、まさに試練に立ち向かう修行僧のようだろう。

 その後、フクオカたちの手を借りて、ドレイクは医務室に戻ってきた。


「すまないな」

「いえ。……ドレイクさんは頑張っていると思いますよ」

「……元教え子に慰められるのも、むず痒いものだな」


 そういって、しばらく無言の時間が続く。

 そのまま数分が経過する。その時、ふとフクオカの男性同僚が時計を確認する。


「げっ、もうこんな時間だ。上官が集合するように言った時間だぜ」

「本当?もう行かないと」

「それじゃあ、また来ますね」

「あぁ……」


 フクオカたちは医務室を後にする。

 一人病室に残されたドレイクは、自分の状態に関して考えを巡らせる。


「もし俺がコックピットに乗れなかったとして、問題はどうやって治療を進めていくことだが……」


 ドレイクは、持ち込みが許されているPCを取り出し、艦内Wi-fiに繋いで調べものを始める。

 そして、PTSDについて様々なサイトを眺めた。


「なるほど……。基本的にはストレスとなる原因を取り除いたり、曝露するのが基本なのか。その他にも、薬物投与による治療……、か」


 そういってドレイクはPCをしまう。


「本格的な治療は惑星に戻ってからになるかもしれない。PTSDを治すのには少々時間がかかるな……」


 そう冷静に自己分析をするのだった。

 ところ変わって総司令部。

 本部庁舎の会議室に、あるものが設置されようとしていた。

 それは、今回の一連のクーデター未遂事件、通称「ディディラ内乱」を調査するための捜査本部である。

 大規模かつ同時多発的に発生したクーデターは、現場の尽力によってなんとか収束に向かいつつある状態だ。

 すると、次にする事と言えば、当然の如く捜査であろう。

 捜査本部本部長には国防総省陸軍省長官が充てられ、その他様々な幹部や憲兵隊、警察の重鎮が役職についている。

 捜査本部に多数の刑事が収容されると、陸軍省長官が刑事の前に現れる。


「起立!気をつけ!」


 その掛け声で、刑事たちが立ち上がる。


「敬礼!」


 そして陸軍省長官に向かって敬礼をする。


「よろしい。皆座ってくれ」

「着席!」


 陸軍省長官がマイクを持って、話を始める。


「今日は急な招集をかけたにも関わらず、集まってくれたことに礼を言う。今回のディディラ内乱、我が陸軍の不手際によって発生したものだと認知している。誠に申し訳ない。その責任として、今ここにいる。この捜査の中で、信頼を回復させていきたいと考えている。どうか皆の力を貸してほしい」


 そういって、陸軍省長官は壇上から降りる。

 そのまま捜査会議が開始された。


「現在、制圧に当たった陸軍からわずかにだが情報が入っている。そちらの情報は現在精査中であるが、初期捜査の中では有益に動くだろう。また、今回の捜査においては、大統領から通達がある。内容を知っているものもいるが、捜査に関してある程度の制限が撤廃されている。今回の捜査に限って、超法規的捜査を行うことが許されている状態だ。多少の拷問は目をつむるらしい。そんなわけだから、張り切って捜査を行ってほしい」


 そういってこの日は解散となった。

 翌日から、刑事たちは様々な方法を使って捜査を始める。

 通信機器を使って現場の様子を理解しようとする者。実際に現地に向かって調査をする者。これまで揃った情報を元に推察していく者。

 まさに十人十色の捜査方法だろう。

 そんな中、ある情報が本部長である陸軍省長官にもたらされる。


「陸軍省内部に首謀者がいる可能性だと?」

「はい。警察は内部犯の犯行であることを、秘文メールの復元によって突き止めました」


 そういって、実際のやり取りを記した秘文メールを見る。

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