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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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第64話 三者

 突如として、第219巡航艦隊の通信に着信が入る。


『こちら宇宙軍第498輸送艦隊。ただいま陸軍歩兵部隊を連れて参上した』


 それと同時に、レーダーに艦隊を示す信号が入ってくる。


「陸軍だと?陸軍親衛隊ではないのか?」

「信号によると、ディディラに降りた親衛隊とは異なるようです」


 どうやら30個師団を連れてきたようだ。


「それはともかく、ありがたい話だ。我々だけではどうしても対処のしようがなかったからな」


 そして、第219巡航艦隊、第498輸送艦隊、陸軍歩兵部隊の三者がそろって、惑星オリシャス行政区画の奪還作戦について話し合いの場を設けることになった。


「それでは、オリシャスの行政区画奪還について、まずは歩兵部隊の方から意見を聞きたい」

『そうですな……。まず進入ルートだが、これは全方向から進んだほうがいい。幸い、行政区画フロートは円形をしている。8ヵ所以上から同時に攻め入れば、クーデター軍は戦力を分断せざるを得ないだろう。我々は30個師団いる。その数を投入すれば、クーデター軍とて無事で済むまい』


 そういって自信満々に答える。


「それは頼もしい限りだ。しかし我々には、敵からの攻撃を防御出来るような装備を持ち合わせていない。その点はどうするか、考えはあるか?」

『そこは宇宙軍の管轄ではないのか?我々を安全に送り届けてくれると思っているのだが……』


 その言葉に、第219巡航艦隊の指揮官は少しイラッとした。

 他人に行動を丸投げするなど、責任転嫁にも程があるというものだ。


「……ならば、我々のほうでクーデター軍の攻撃を防ぐとしよう。輸送艦隊のほうは、何か懸念要素はあるか?」

『我々としても、クーデター軍からの攻撃が気になる所だ。我々は必要最低限の兵装しか装備していない。降下中は無防備になりがちである。そのあたりも第219巡航艦隊にはなんとかしてほしいところだ』


 すなわち第219巡航艦隊は、輸送艦隊と陸軍を守りつつ、クーデター軍の攻撃を無力化しないといけない。

 そうなると、第219巡航艦隊が先頭に立って、輸送艦隊の護衛をするという構図になるだろう。


「そうなると、問題はクーデター軍はどこの部隊が主体になっているかが問題だが……」


 オリシャスに駐留している陸軍は、騎兵師団や宙間ミサイル部隊がいる。

 その中で行政区画に近く、そして行政区画を襲撃するのに適した装備を持っている部隊と言えば……。


「これか……。自動化歩兵部隊……!」


 規模は2個師団。その内の1割でも出てくれば、行政区画を制圧するには十分だろう。

 それに、オリシャスにいる陸軍は、自前の海洋船舶を持っている。

 そのため、行政区画に乗り込むこと自体は簡単だろう。


「では、目標を自動化歩兵と仮定して、対策を練っていこう」


 そういって、第219巡航艦隊の指揮官は詳細を詰めていく。

 その結果、最初の想定通り、第219巡航艦隊が先頭に立って降下していくことになった。


「相手は自動化歩兵。おそらく対空火器の類いは多くはないと思われる。懸念材料があるとすれば、歩兵が装備している対空レーザーくらいか……」

『しかし、我々の部隊でも対空レーザーは使用しているが、アレはミサイルやドローンを墜とすための装備。宇宙艦艇相手にはどうにも出来ないはずでは?』

『それを言うのは早計だ。1世代2世代前の艦艇ならいざ知らず、最近の艦艇は装甲が若干薄く出来ている。対空レーザーでも、当たり所が悪ければ弾薬庫誘爆で轟沈もありえるからな』

「輸送艦隊指揮官の言う通りだ。ドローンより装甲があるとはいえ、高出力のレーザーを当てられてしまえば、最悪の事態も起こりえる。なるべく被弾を抑えることと同時に、レーザーを照射されても即座にレーザー本体を破壊出来るような状態を保たなくてはならないだろう」


 第219巡航艦隊の指揮官が言う。

 総括すれば、降下はなるべく早く、そして被弾を最小限に、ということだ。


「では、これで作戦概要の会議を終了する。各艦の詳細な動きなどは、我々第219巡航艦隊の作戦課で立案する。作戦詳細が決定次第、作戦行動に移るように」


 そういって三者は通信を切る。


「……聞いていたな。早速降下作戦の詳細設定に移ってくれ」

「了解」


 それを聞いていたフクオカたちが作戦室に戻る。


「ようやく作戦課の本領発揮が出来るようになったぜ」


 そう、フクオカの男性同僚が言う。


「はしゃぐ程のことじゃないでしょ」

「いやいや、今までの命令を考えてみなよ。作戦を考えているより、一兵卒がやるような雑用ばっかりじゃないか」

「それを言われちゃ、おしまいなんだけどな」


 そう言いながら、フクオカたちは作戦室に戻った。


「よし、それじゃあ詳細を詰めていくか。特に制限時間はないが、こういうのはさっさとやるに越したことはない。では取り掛かってくれ」

「はい!」


 こうしてフクオカたちは、本来の職務をまっとうすることになる。

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