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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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第48話 発艦

 ドレイクが艦橋から去る前に、フクオカたちは彼の事を呼び止める。


「ドレイク先生!」

「ん?お前ら……軍学校の奴か?」

「そうです。アタシ、アリサ・フクオカです」

「フクオカ?あぁ、そういやいたっけな」

「人の事すぐに忘れちゃうんですか?」

「いや、そういう訳ではないが……」

「じゃ、覚えてますよね?」

「ん、あぁ……」


 ドレイクは曖昧な反応しかしない。


「本当に覚えてますか?」

「人にそういう聞き方するのはどうかと思うぞ」

「本当かどうか分からないじゃないですか」

「こっちはかなりの数の生徒を見てるんだ。忘れていても仕方ないだろう」


 そういってドレイクは言い訳をする。

 しかし、こうやって元教え子と教師が、感動の再会をしたのだ。それは喜んでしかるべきだろう。


「とにかく、これから俺ブリーフィングだから、そろそろ行かないと」

「後でじっくり話しましょう」

「分かった分かった。分かったから離してくれ」


 そういってドレイクは、格納庫上にあるブリーフィングルームへと向かっていった。


「あの感じだと、ドレイク先生全然覚えてなさそうだね」

「仕方ないだろうよ。あれだけ学生がいるんだから、一人一人覚えているわけないさ」


 そういって、フクオカの同僚は仕事に戻る。

 フクオカは、なんとなくドレイクの後ろ姿を追いかけていた。

 そんなドレイクは、ブリーフィングルームに到着する。

 ブリーフィングルームで、ドレイクは盛大な拍手で出迎えられた。


「ようこそ、我らの艦へ。まさか伝説のパイロットと共に宇宙を飛べるなんて、まさに光栄です」


 そういって、航空隊のリーダーはドレイクに握手を求める。


「そんな大層なものではないさ。ただ、愚直に敵を墜とし続けた。それだけさ」


 ドレイクは握手に応じるものの、それ以上の評価は否定する。

 そんな会話を挟んで、ブリーフィングが始まった。


「今回の目標は、惑星ディディラの行政区画の偵察だ。クーデターが発生してから丸3日が経過しているが、現地の様子はまだよく分かっていない。SNSからも情報を収集しているものの、これも大きな成果を上げていないのが現状だ。そこで我々宇宙軍航空隊の出番という訳だ。当然ながら、ディディラの行政区画上空を飛行するわけなのだが、敵はディディラの駐留陸軍だ。当然、対空砲は存在している。懸念材料としてはこの辺か?後は天候だが、行政区画周辺は高気圧に覆われていて、天気も良好。遊覧飛行には向いているな。事前の情報としてはこのくらいだろう。そして今回の偵察に出るのは、ローデンとシュリック、そしてドレイクだ。何か質問は?」


 そういってリーダーは航空隊のメンバーに聞く。

 そこで、ドレイクが手を挙げる。


「今回は偵察ということだが、牽制攻撃はしなくていいのか?」


 その質問に、航空隊のメンバーはザワッとする。


「いや、その必要はない。今回は偵察だからな。むやみな攻撃は、むしろクーデターを起こしている駐留陸軍を刺激する事になるかもしれないからな」


 そういってリーダーは、ドレイクを諭すように言う。

 その回答に、ドレイクは静かになった。


「他に質問はないか?ないなら出撃だ」


 そういって、航空隊のメンバーは席から立ち上がる。

 ドレイクも席を立ち、ブリーフィングルームから出た。

 そして格納庫へと向かう。

 格納庫では整備士の手によって、飛行状態になっているCO-707攻撃機がドレイクのことを待っていた。


「久しぶりだな。これから俺の相棒になってくれよ」


 そういって機体の先端をなでる。

 そして、攻撃機に乗り込んだ。


「各種計器チェック。燃料、気圧、バッテリーよし。エンジンスタート」


 攻撃機のエンジンが回転を始める。


「回転数良好。エンジン温度、規定値内。操舵確認」


 そのまま、舵の確認をする。

 ヨー、ロー、ピッチの確認をした上で、さらに各種スラスターも確認した。


「操舵系統問題なし。エンジン暖気モード」


 そのまま、出発までエンジンを暖気状態にする。

 その間に、今回の偵察する空路を確認しておく。

 そして暖気が終了すると、そのまま発艦するカタパルトまで移動する。


『各機、発艦準備はよいか?』

『一番機、準備良し』

『二番機も準備良し』

「三番機、準備良し」

『偵察隊、発艦準備確認。これより順次発艦させる』


 そういって一番機から順に、射出口の方へと移動していく。

 射出される方向は艦の艦尾側だが、ほんの少し押し出すような形で出し、後は艦載機自身で前方を向くのだ。

 そうこうしている内に、一番機から三番機まで発艦準備が整う。


『偵察隊、発艦始め』

『一番機、発艦』


 その合図と共に、一番機が艦の上方に向けて押し出される。

 そしてそのまま、惑星ディディラの重力に引かれるように、スラスターを調整する。

 二番機も同様に打ち上げられ、一番機の後を追う。

 いよいよ、ドレイクの出番である。


『三番機、発艦』


 逆バンジーのように、上向きの加速度が発生し、そのまま宇宙空間に放り出される。

 ドレイクは、スラスターで機体を調整し、一番機と二番機の後を追いかける。

 その時、無線通信が入ってくる。


『よう、伝説のパイロットさん。戦場へおかえり、だな』

『久々の出動で緊張してないか?』

「あぁ、その辺は問題ない。これでも先の銀河戦争を生き抜ているのでね」

『それなら問題ねぇ。さっさと仕事を片付けちまおうぜ』


 そういって偵察隊は、機首を後ろにして、エンジンで減速しながら大気圏へと突入する。

 ドレイクの操縦技術は劣ってはいないようだ。


『さぁ、ショータイムの始まりだ!』


 大気圏を突破した偵察隊は、そのままディディラの行政区画へと飛んでいく。

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