第47話 注文
クーデターの発生した惑星ディディラは、第13艦隊の管区内に存在している。
当然対処するのも、第13艦隊が処理することになった。
現在の所、偵察兼警備任務として、第323駆逐艦隊が出動している。
そんな中、第219巡航艦隊の作戦課では、新たな人事が発表されていた。
「こんな時期に人事異動が起きるなんて、なんかタイミングが変じゃない?」
「確かにそうだな。もしかしたら訳アリな人間かもしれねぇぜ?」
「そんなまさか……。でも、確かに妙な時期ね」
「パイロットって意外と不足気味だから、その影響もあるのかもね」
フクオカたちが、そんなことを話している。
すると、フクオカたちの上官がやってきた。
「おう、お前ら。人事異動で219に新しいパイロットが来る話は聞いたか?」
「今その話をしていました」
「なら結構。それに関係する話だ」
そういって上官は、フクオカたちに話を始める。
「実は、その新しいパイロットに関して、いくつか注文が入っている」
「注文ですか?」
「あぁ。そのパイロットは、一度軍を辞めている退役軍人なんだが、昨日付けで現役に復帰している。そんで、そのパイロットのために旧型の攻撃機を準備してほしいそうだ」
「旧型の攻撃機ですか?戦闘機じゃなくて?」
「どうも先方からの注文らしい」
「完全に訳アリですね」
「訳アリかどうかは、本人が実際に来てから決めてくれ。とにかく攻撃機の事に関しては、近くの空軍基地に保管してあることが分かっているから、後で回収に向かう」
「割と特別待遇ですね」
「それだけ重要な人物であることには間違いないだろう。攻撃機の回収は、明日の朝から始まる。格納する艦は、この艦だ」
「それまた、えらく丁重な扱いですね」
「まぁな。だが実際、この艦のパイロットの数も少ない。補充の意味も合わせて、ここに呼んだんだろう」
そういって話が終わると、上官は部屋から出ていく。
「元退役軍人のパイロットか。どんなレジェンドが来るんだろうな」
「私たちが想像もつかないようなおじいちゃんだったりして」
「まさか。それだったら新人10人連れてきたほうがマシでしょ」
そう言って談笑する。
しかし、たった一人のパイロットが来た所で、何か状況が変わることがあるのだろうか。
そう思うフクオカであった。
そして翌日。目的の攻撃機が保管されている空軍基地へと向かう。
そこに置いてあったのは、フクオカがどこかで見たことある機体だった。
「あれ?これどこかで見たことあるような……」
そんな事をよそに、攻撃機の移動が始まる。
「……本当に使うんですかい?こんなオンボロな機体」
「先方がそう指定してるんです。従わなければ、こちらの首が取れるだけですよ」
「お互い苦労しているもんですね」
そういって、空軍側が引き渡しの書類を提示する。
「では、CO-707攻撃機を正式に引き渡します。整備は完璧に行っていますので、いつでも飛べますよ」
「ありがとうございます。ここからは我々宇宙軍が引き継ぎます。ご苦労さまでした」
その会話を聞いたフクオカは、思い出した。
「あー!CO-707ってコスモスター707型機の元になったやつ!」
その声にその場にいた全員が驚く。
そう。CO-707と言えば、エプリオン線でも使用されているコスモスター707型機の元となった機体だ。1世代どころか3世代ほど前の機体である。
そんな古い機体を使うパイロットなんて、かなり限られているだろう。
「一体どんなパイロットが来るっていうの?」
その後、最近の艦には標準装備されている光線型艦艇搭乗システムを使って、CO-707は格納庫へと移動される。
それが終わり、艦は艦隊に合流するため惑星の大気圏を上昇していく。
少し、のんびりとしている時間だった。
フクオカたちの上官が部屋に入ってくる。
「あと2、3時間で、例のパイロットが到着する予定だ。パイロットの要望で、大規模な歓迎式典は執り行わない方向で調整に入っている。艦長と艦隊指揮官に、簡単に挨拶するだけでいいそうだ」
「なんというか、ここまで来ると、傲慢過ぎて清々しいですね」
「遠慮深いと言ってやれないのか?」
とにかく、予定が分かっているのなら話は早い。
今後の戦力として、組み込む事を予定することが出来る。
「しかし、攻撃機1機でなんとかなるようなモノじゃない気がするなぁ」
「けど向こうがそう言ってるんだぜ?なら、俺たちはそれに従うしかない」
「たまにはこっちの苦労も推し量ってほしいものよね」
そう言いながら、フクオカたちは愚痴を言う。
そして例のパイロットがやってきた。
艦橋に入ったパイロットは、そのまま艦長と艦隊指揮官に挨拶をする。
「初めまして。本日より第219巡航艦隊でパイロットをさせていただく、コーウェン・ドレイクです」
それを聞いたフクオカたちは驚愕した。
「ドレイク先生!?」
「そういえばあの人、軍を辞めてたんだっけな」
「それでもこんな偶然ありえる?」
感動の再開か、それとも必然の出会いか。
激動の時代を、彼らが作っていくとこになるだろう。
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