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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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126/130

第126話 対処

 第599任務部隊は、銀河中心部に存在するブラックホール爆弾の場所へと急行する。

 その道中で、重要な情報が入ってきた。


『ブラックホール爆弾は複数個存在し、それらを一斉に起爆することで宇宙を相転移させる。逆説的に言えば、ブラックホール爆弾単体では宇宙は相転移しない。そのため、ブラックホール爆弾は各個撃破することを推奨する』


 このようである。


「なるほど。つまり爆弾一個だと大した威力にならないってことか」

「そうとも言えるだろうけど、実際どうなんだろ?」

「そのあたりは、確か論文でもあった気がする。結構古いはずだよ」

「古いなら信憑性は低いんじゃないか?」

「ないよりはマシでしょ」


 そういって、フクオカたちは過去の論文を検索する。


「あった。16年前の論文だ」

「これまた微妙な時期のヤツだな……」

「それでも、ないよりかはマシでしょ。とりあえず読もう」


 そういって論文を読み始める。

 読解力アプリも使用して読み進めた結果、次のような事が分かる。


「つまり、ブラックホールを反射率99.9999%以上の鏡で覆いつくして、そこに電磁波を照射することでペンローズ過程で得られるエネルギーを受け取り、やがては鏡ごと吹き飛ばす。単純にすればこういうことか」

「でも、こんなことが可能なの?」

「現代の技術なら限りなく可能だろうな」


 いつの間にか作戦課課長が背後に立っていた。


「課長、いつからいたんですか?」

「君たちの声が大きいだけだよ。そんなことよりも、ブラックホール爆弾をなんとかしたいのだろう?」

「それはまぁ、そうですけど」

「私も同じ意見だ。我々知的生命体にはブラックホールを扱うにはまだ早すぎる。それを阻止するためにも、我々が食い止めなければならない」


 コーヒーカップを持ちながら、作戦課課長が熱弁する。


「課長ってこんな人だったっけ?」

「いや、どうだろう……?」

「自分の政治的主張が入っているような……」


 そんなことを言い合うフクオカたちであった。

 さて第599任務部隊は銀河中心部に向かって進撃を続ける。

 ロクシン共和国国防省総司令部から、通達が入った。


『現在銀河中心部に向かって我が共和国、ギャリオ帝国の艦隊が進撃中である。全ての艦隊は、ブラックホール爆弾を発見次第、破壊する手はずになっている。第599任務部隊も、銀河中心部に存在するブラックホール爆弾を発見次第、破壊するように務めよ』


 このように指令が入った。


「簡単に言ってくれるな」


 フクオカの男性同僚がぼやく。


「でも、その通りにしないと状況は悪化するよね?」

「それはそう。総司令部の言い分も分かる」

「けどそれは俺たちに負担をかけると同義じゃねぇか」


 フクオカの男性同僚が答える。


「それでも、アタシたちはアタシたちの正義を貫くだけよ」


 そうフクオカが腹をくくる。

 その言葉に、同僚たちは同意した。

 総司令部からの情報提供はさらに続く。


『ブラックホール爆弾による宇宙の相転移は、銀河中心部に存在する超巨大ブラックホール爆弾だけでは成り立たない。そのため、複数のブラックホール爆弾による同時爆破が重要になってくる。それを阻止するためにも、複数艦隊によるブラックホール爆弾の同時撃破が重要になってくる。各艦隊は、己の撃破目標を正確に見極め、それぞれブラックホール爆弾を破壊するように務めよ』


 このように総司令部は締めくくった。


「いわゆる投げやりじゃねぇか」


 フクオカの男性同僚が批判する。


「仕方ないでしょ。総司令部は現場を信じなきゃ動けないんだから」

「そうかもしれないけどよぉ……」

「今は総司令部の命令を信じましょ」


 女性同僚も説得して、男性同僚は納得する。

 作戦課の課長も、同様の意見を出していた。


「僕たちに課された課題は、いかにしてブラックホール爆弾を無力化するかである。無力化すれば僕たちの勝利だし、負ければ宇宙の消失だ。でも僕たちに敗北はあってはならない。それは宇宙の消失より重要なことだ。今後の作戦行動を制定するためにも、君たちには十分能力を発揮してほしい」


 作戦課課長はそう言い残した。


「そう言われるとプレッシャーかかるよな」

「とにかく、今は目の前にあるブラックホール爆弾を何とかしないといけないね」

「なんとかなるかな?」

「確実に破壊する。そうじゃなきゃ俺たちだけじゃなく、共和国やギャリオ帝国、ミューシャ王国の命運もかかっているからな」

「この宇宙全体の問題もかかってるしね」

「なおさら重大な問題じゃん!」


 そんなことを言いつつも、作戦課としてはブラックホール爆弾の破壊方法を探るのだった。

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