第126話 対処
第599任務部隊は、銀河中心部に存在するブラックホール爆弾の場所へと急行する。
その道中で、重要な情報が入ってきた。
『ブラックホール爆弾は複数個存在し、それらを一斉に起爆することで宇宙を相転移させる。逆説的に言えば、ブラックホール爆弾単体では宇宙は相転移しない。そのため、ブラックホール爆弾は各個撃破することを推奨する』
このようである。
「なるほど。つまり爆弾一個だと大した威力にならないってことか」
「そうとも言えるだろうけど、実際どうなんだろ?」
「そのあたりは、確か論文でもあった気がする。結構古いはずだよ」
「古いなら信憑性は低いんじゃないか?」
「ないよりはマシでしょ」
そういって、フクオカたちは過去の論文を検索する。
「あった。16年前の論文だ」
「これまた微妙な時期のヤツだな……」
「それでも、ないよりかはマシでしょ。とりあえず読もう」
そういって論文を読み始める。
読解力アプリも使用して読み進めた結果、次のような事が分かる。
「つまり、ブラックホールを反射率99.9999%以上の鏡で覆いつくして、そこに電磁波を照射することでペンローズ過程で得られるエネルギーを受け取り、やがては鏡ごと吹き飛ばす。単純にすればこういうことか」
「でも、こんなことが可能なの?」
「現代の技術なら限りなく可能だろうな」
いつの間にか作戦課課長が背後に立っていた。
「課長、いつからいたんですか?」
「君たちの声が大きいだけだよ。そんなことよりも、ブラックホール爆弾をなんとかしたいのだろう?」
「それはまぁ、そうですけど」
「私も同じ意見だ。我々知的生命体にはブラックホールを扱うにはまだ早すぎる。それを阻止するためにも、我々が食い止めなければならない」
コーヒーカップを持ちながら、作戦課課長が熱弁する。
「課長ってこんな人だったっけ?」
「いや、どうだろう……?」
「自分の政治的主張が入っているような……」
そんなことを言い合うフクオカたちであった。
さて第599任務部隊は銀河中心部に向かって進撃を続ける。
ロクシン共和国国防省総司令部から、通達が入った。
『現在銀河中心部に向かって我が共和国、ギャリオ帝国の艦隊が進撃中である。全ての艦隊は、ブラックホール爆弾を発見次第、破壊する手はずになっている。第599任務部隊も、銀河中心部に存在するブラックホール爆弾を発見次第、破壊するように務めよ』
このように指令が入った。
「簡単に言ってくれるな」
フクオカの男性同僚がぼやく。
「でも、その通りにしないと状況は悪化するよね?」
「それはそう。総司令部の言い分も分かる」
「けどそれは俺たちに負担をかけると同義じゃねぇか」
フクオカの男性同僚が答える。
「それでも、アタシたちはアタシたちの正義を貫くだけよ」
そうフクオカが腹をくくる。
その言葉に、同僚たちは同意した。
総司令部からの情報提供はさらに続く。
『ブラックホール爆弾による宇宙の相転移は、銀河中心部に存在する超巨大ブラックホール爆弾だけでは成り立たない。そのため、複数のブラックホール爆弾による同時爆破が重要になってくる。それを阻止するためにも、複数艦隊によるブラックホール爆弾の同時撃破が重要になってくる。各艦隊は、己の撃破目標を正確に見極め、それぞれブラックホール爆弾を破壊するように務めよ』
このように総司令部は締めくくった。
「いわゆる投げやりじゃねぇか」
フクオカの男性同僚が批判する。
「仕方ないでしょ。総司令部は現場を信じなきゃ動けないんだから」
「そうかもしれないけどよぉ……」
「今は総司令部の命令を信じましょ」
女性同僚も説得して、男性同僚は納得する。
作戦課の課長も、同様の意見を出していた。
「僕たちに課された課題は、いかにしてブラックホール爆弾を無力化するかである。無力化すれば僕たちの勝利だし、負ければ宇宙の消失だ。でも僕たちに敗北はあってはならない。それは宇宙の消失より重要なことだ。今後の作戦行動を制定するためにも、君たちには十分能力を発揮してほしい」
作戦課課長はそう言い残した。
「そう言われるとプレッシャーかかるよな」
「とにかく、今は目の前にあるブラックホール爆弾を何とかしないといけないね」
「なんとかなるかな?」
「確実に破壊する。そうじゃなきゃ俺たちだけじゃなく、共和国やギャリオ帝国、ミューシャ王国の命運もかかっているからな」
「この宇宙全体の問題もかかってるしね」
「なおさら重大な問題じゃん!」
そんなことを言いつつも、作戦課としてはブラックホール爆弾の破壊方法を探るのだった。
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