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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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105/130

第105話 行動

 爆撃隊はラサイド連邦の艦隊に察知されずに、うまく超出力レーザー光線砲に接近する。


『大尉、まもなく目的地です』

『目が覚めていないのはいません。問題ないかと』

「了解。全機、減速行動」


 爆撃機は機首を反転し、減速を開始する。

 機体は艦艇に比べて軽いため、簡単に減速できるだろう。


『減速完了』

「では、各自作業に入れ」

『了解!』


 それぞれが目的地に行く。

 向かった先は、外部装甲の群れである。


「さて、あいつらの無茶に付き合ってやるか」


 今回、第599任務部隊の作戦課が提案した作戦。

 それは、複数ある外部装甲を、破壊した逃がし弁にわざと詰めるという作戦だ。

 正直承認されないであろう作戦である。

 しかし、これ以外に作戦は考えつかなかったのも現状だ。

 それに、現状ある材料で効率的に超出力レーザー光線砲を破壊するには、ほかに方法はない。

 改めて作戦内容を確認しよう。

 爆撃隊は光線砲の周辺に浮いている外部装甲を移動させ、わざと破壊した逃がし弁に詰める。

 その他にも、砲門付近に存在する外部装甲も、砲口に詰め込む。

 こうして放出する場所を失った熱エネルギーが内部に滞留し、超出力レーザー光線砲を無力化するというものだ。

 機体に損傷は発生するが、この際仕方ないとするだろう。


『ドレイク大尉、現在の進捗のほうはどうだ?』


 第599任務部隊の旗艦から連絡が入ってくる。


「こちらドレイク。現在作戦の1/4が終了したところです。だいぶ逃がし弁の破損が大きいようです。それに、機体を使って押し込むのはためらわれるから、総員気を使っているのでしょう」

『我々が衛星に到着するのは、計算ではあと2時間弱だ。しっかり頼むぞ』

「了解」


 ドレイクは、通信を切り替える。


「総員聞いていたな?艦隊が到着するまでに作戦を遂行するぞ」

『了解』


 外部装甲は、その性質上簡単に防御を増やすために、簡単な作りと見た目に反した重厚な厚みを持っている。

 機体がこすった程度では傷一つ付かないため、装備している艦艇も多い。

 今回は、簡単に壊れない性質を利用して、外からの攻撃ではなく、内からのエネルギーに対処してもらう。

 しかし、外部装甲はその重厚さゆえに、かなり重い。

 つまり、それだけ機体のエンジンに負荷を掛けることになる。


『大尉、どの機体も負荷をかけすぎて、エンジンが焼き切れそうです』

「最悪焼き切れても構わない。残った機体で曳航する。それに、艦隊もこちらに来ているからな。ついでに拾ってもらおう」


 多少無茶をしてでも、任務を遂行する。

 今のドレイクには、その考えしかなかった。

 超出力レーザー光線砲の回転はゆっくりで、さらに内部からエネルギーも放射していない。

 そのため、作業するにはもってこいの環境だ。

 敵がいつ光線砲を動作させるか分からない以上、作業を素早く行うことは重要なことだろう。


『作戦の2/3が終了』

『艦隊合流予定まで残り1時間』

「ピッタリはまりそうか?」

『少しいびつに壊れているので、完全にふさぐ事は難しいかもしれません』

「今回はエネルギーが外部に逃げるのをなるべく少なくしろとのことだからな。多少の隙間は容赦しても問題ないだろう」


 そういって作業を続ける。

 そして、さらに数十分。

 どうにかして、作業が完了した。


『作業終了!全機即時退却!』

『動けないものは曳航する。とにかく遠くへ逃げるんだ』


 爆撃隊はどんどん逃げていく。

 しかし、ドレイクが乗っている爆撃機のみ、超出力レーザー光線砲に接近していた。


『ドレイク大尉、何を?』

「こいつを暴走させるのに必要な操作をしてくるだけだ。死にに行くわけではない」

『しかし、わざわざ大尉自身が行かなくても……』

「いや、確実に動作させるには、誰かが行かなくてはならない。諸君らはすぐに逃げろ」

『……了解』


 そういってドレイクを除く爆撃隊は退避していく。


「さて、やるか」


 おそらく制御用であろう区画に向かうドレイク。

 エアロックに接近し、強引に横づけする。

 そのままエアロックを破壊するように開け、内部へと侵入する。

 遭難用の拳銃を構え、内部を歩く。

 先ほどまで人がいたようだが、今は恐ろしく静かである。

 しかし、ドレイクは気を抜かずに、冷静にクリアリングしていく。

 すると、通路の奥から誰かがやってくる音が聞こえる。正確には、耳から聞こえる音と、足から伝わってくる振動だが。

 どうやら新兵のようだ。

 逃げ遅れたのだろうか、周囲を見渡しながらブツブツと何か言っている。

 ドレイクは通路の角で待ち伏せ、新兵が通り過ぎるのを待つ。

 そして、死角から一気に接近した。

 最初に足を払い、不意打ちを掛ける。転んだ所で腕をひねり、行動を制限させる。

 その上で、拳銃を後頭部に突きつけ、無力化した。


『な、なんだお前は!?』


 自動翻訳で音声が流れる。


「どうも、ロクシン共和国軍だ。この設備の制御室に案内してもらおう」

『そんなこと言われても、俺は知らないぞ!』

「それなら、お前が死ぬだけだ」

『う……』


 そういうと、新兵は中央制御室の場所を教える。


『中央制御室の行き方は、最上階にある……。半分放棄状態だから扉は空いているはずだ……』

「よく言えました」


 そういってドレイクは、足に向かって拳銃を撃つ。


『ぎゃあああ!』

「悪いね。俺の機体には、捕虜が乗るスペースがないんだ」


 そう言って、ドレイクは最上階に向かって走る。

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