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ローカル航路エプリオン線の嗟嘆  作者: 紫 和春


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103/130

第103話 再出撃

 すぐに作戦会議用の大モニターに人が集まる。


「光線砲を破壊するには、邪魔となる外部装甲をどうにかするのが先だ」

「しかし、今観測できるだけでかなりの数が集結している。艦砲でも破壊できるだろうが、時間がかかるのが難点だな……」

「それならもう一度爆撃隊を出撃するのはどうだ?」

「いや、装備をつけてない状態なら今すぐにでも出撃できるだろうが、爆装となるとかなり時間がかかるぞ」

「なら爆装できる機体から順番に出撃させていくのは?」

「戦力の逐次投入は愚策だ。容認できない」

「それに爆装させて出撃させるなら、今すぐにでも命令を下さないと。外部装甲をどうにかできる時間が減るぞ」


 あーだこーだ色々と話し合いを続ける。

 しかし結論が出ないまま10分ほどが経過しようとしていた。


(不味いわ……。このままだと何も対応出来ずにレーザー光線砲に接近してしまう……)


 フクオカは内心焦っていた。ここで何かしらの作戦を立てなければ、第599任務部隊は無策のまま敵陣へ突っ込むことになるからだ。

 だからといって、適当な作戦をでっちあげるわけにはいかない。もしそれが通ってしまったら、作戦課のせいで何万もの命が散ることになる。


(あーもう、どうしよう!外部装甲のせいでまともに攻撃できないなんて……)


 その時、フクオカの脳裏を何かが駆け抜ける。


「ん?外部……?と、内部……」


 そして点と点が繋がった。


「そうだ!内部だ!」


 その声に、周囲の人間が驚く。


「どうした、フクオカ少佐?何か妙案でも思いついたか?」

「妙案かどうかは知りませんが、実行可能な作戦は思いつきました」


 そういって、フクオカは大モニターを使って、作戦案を説明する。


「……そんなことが可能なのか?」

「いや、不可能ではないが……。これだと必ず損害が出る。積極的に支持していい案ではない」

「だがこれ以外に何があるっていうんだ?もうそんなに時間も残されていないぞ」


 結局言い合いになる作戦課。

 それを課長は、遠目から見ているだけで口出しはしなかった。

 そこに、一人の男が現れる。


「盛り上がってますね」


 そう、ドレイクである。


「課長殿は参加しなくてよろしくて?」

「私より、後任を育成することに力を入れてましてね」

「なるほど。その後任のために、一つ助言を入れても?」

「どうぞ。彼らの視野を広げてやってください」


 そういってドレイクは、作戦室に入る。


「諸君、議論中失礼する」

「ド、ドレイク大尉」

「何か御用で?」

「何、耳をすましていれば、爆撃隊のことが聞こえてきたものでね」

「ちょうど良かった。大尉の意見を聞かせてください」


 そういってドレイクに、今回の作戦が伝えられる。


「なるほど。そういう作戦で来たか」

「実際可能でしょうか?」

「技術的には可能だ。だが、本当に可能かどうかは俺が決めることではない。君たちが我々のことを信用して、初めて作戦というものは成り立つんだ」


 その言葉に、作戦課の面子の顔が変わる。

 それは、腹をくくったという顔か。


「では、この作戦を実行に移します。作戦案をまとめ、指揮官の承認を得てください」

「了解!」


 そういってテキパキと作戦案がまとまっていく。

 ものの1時間で、超出力レーザー光線砲の破壊作戦の大枠が完成する。

 早速作戦課課長、旗艦艦長、そして第599任務部隊の副指揮官、指揮官へと作戦案が上がった。


「……本当にこれをするのか?」

「他の方法も検討しましたが、現実的ではなく、かつ時間が足りないということで、没となりました」

「だが、これは損害が出るのは必至じゃないか?予測では損耗率23%、少なくはないぞ」

「指揮官、それでもやらねばならない時があるのです」

「むぅ……」


 結局、指揮官はこの作戦案に承認印を押した。

 そして同時に、この作戦が即実施されることを意味する。


「指揮官が承認なされた!作戦を実行に移せ!」

「爆撃隊出撃準備!」

「第1025から1039爆撃隊出撃準備!」

「爆装はするな!繰り返す!爆装はするな!」


 各艦にいる爆撃隊が、次々と出撃する。

 そしてそのウェポンラックには、本来吊り下げられるべき爆弾が存在しない。


『爆弾なしで出撃なんて、なんだか変な気分だな』

『作戦概要は聞いたが、まさかこういうことを要求してくるとは思わなかったぜ』

「だが、こうして作戦が発動されたからには、俺たちは最善を尽くすだけだ」

『さすがドレイク大尉。言葉の重みが違うな』

『バカお前、そんな軽々しく言うな』

「いや、構わない。今は作戦に集中してくれ」

『了解』

『ドレイク大尉。作戦要綱によれば、艦隊が重力ターンをする前に目標を動かさないといけないんでしたね?』

「そうだ。我々に残された時間は少ない。加速を続けるぞ」

『了解!』


 そういって第599任務部隊の爆撃隊は、超出力レーザー光線砲の元へと急行する。

 残された時間はそこまで多くはない。

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