第103話 再出撃
すぐに作戦会議用の大モニターに人が集まる。
「光線砲を破壊するには、邪魔となる外部装甲をどうにかするのが先だ」
「しかし、今観測できるだけでかなりの数が集結している。艦砲でも破壊できるだろうが、時間がかかるのが難点だな……」
「それならもう一度爆撃隊を出撃するのはどうだ?」
「いや、装備をつけてない状態なら今すぐにでも出撃できるだろうが、爆装となるとかなり時間がかかるぞ」
「なら爆装できる機体から順番に出撃させていくのは?」
「戦力の逐次投入は愚策だ。容認できない」
「それに爆装させて出撃させるなら、今すぐにでも命令を下さないと。外部装甲をどうにかできる時間が減るぞ」
あーだこーだ色々と話し合いを続ける。
しかし結論が出ないまま10分ほどが経過しようとしていた。
(不味いわ……。このままだと何も対応出来ずにレーザー光線砲に接近してしまう……)
フクオカは内心焦っていた。ここで何かしらの作戦を立てなければ、第599任務部隊は無策のまま敵陣へ突っ込むことになるからだ。
だからといって、適当な作戦をでっちあげるわけにはいかない。もしそれが通ってしまったら、作戦課のせいで何万もの命が散ることになる。
(あーもう、どうしよう!外部装甲のせいでまともに攻撃できないなんて……)
その時、フクオカの脳裏を何かが駆け抜ける。
「ん?外部……?と、内部……」
そして点と点が繋がった。
「そうだ!内部だ!」
その声に、周囲の人間が驚く。
「どうした、フクオカ少佐?何か妙案でも思いついたか?」
「妙案かどうかは知りませんが、実行可能な作戦は思いつきました」
そういって、フクオカは大モニターを使って、作戦案を説明する。
「……そんなことが可能なのか?」
「いや、不可能ではないが……。これだと必ず損害が出る。積極的に支持していい案ではない」
「だがこれ以外に何があるっていうんだ?もうそんなに時間も残されていないぞ」
結局言い合いになる作戦課。
それを課長は、遠目から見ているだけで口出しはしなかった。
そこに、一人の男が現れる。
「盛り上がってますね」
そう、ドレイクである。
「課長殿は参加しなくてよろしくて?」
「私より、後任を育成することに力を入れてましてね」
「なるほど。その後任のために、一つ助言を入れても?」
「どうぞ。彼らの視野を広げてやってください」
そういってドレイクは、作戦室に入る。
「諸君、議論中失礼する」
「ド、ドレイク大尉」
「何か御用で?」
「何、耳をすましていれば、爆撃隊のことが聞こえてきたものでね」
「ちょうど良かった。大尉の意見を聞かせてください」
そういってドレイクに、今回の作戦が伝えられる。
「なるほど。そういう作戦で来たか」
「実際可能でしょうか?」
「技術的には可能だ。だが、本当に可能かどうかは俺が決めることではない。君たちが我々のことを信用して、初めて作戦というものは成り立つんだ」
その言葉に、作戦課の面子の顔が変わる。
それは、腹をくくったという顔か。
「では、この作戦を実行に移します。作戦案をまとめ、指揮官の承認を得てください」
「了解!」
そういってテキパキと作戦案がまとまっていく。
ものの1時間で、超出力レーザー光線砲の破壊作戦の大枠が完成する。
早速作戦課課長、旗艦艦長、そして第599任務部隊の副指揮官、指揮官へと作戦案が上がった。
「……本当にこれをするのか?」
「他の方法も検討しましたが、現実的ではなく、かつ時間が足りないということで、没となりました」
「だが、これは損害が出るのは必至じゃないか?予測では損耗率23%、少なくはないぞ」
「指揮官、それでもやらねばならない時があるのです」
「むぅ……」
結局、指揮官はこの作戦案に承認印を押した。
そして同時に、この作戦が即実施されることを意味する。
「指揮官が承認なされた!作戦を実行に移せ!」
「爆撃隊出撃準備!」
「第1025から1039爆撃隊出撃準備!」
「爆装はするな!繰り返す!爆装はするな!」
各艦にいる爆撃隊が、次々と出撃する。
そしてそのウェポンラックには、本来吊り下げられるべき爆弾が存在しない。
『爆弾なしで出撃なんて、なんだか変な気分だな』
『作戦概要は聞いたが、まさかこういうことを要求してくるとは思わなかったぜ』
「だが、こうして作戦が発動されたからには、俺たちは最善を尽くすだけだ」
『さすがドレイク大尉。言葉の重みが違うな』
『バカお前、そんな軽々しく言うな』
「いや、構わない。今は作戦に集中してくれ」
『了解』
『ドレイク大尉。作戦要綱によれば、艦隊が重力ターンをする前に目標を動かさないといけないんでしたね?』
「そうだ。我々に残された時間は少ない。加速を続けるぞ」
『了解!』
そういって第599任務部隊の爆撃隊は、超出力レーザー光線砲の元へと急行する。
残された時間はそこまで多くはない。
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