我が家
既に辺りは暗くなっており、街灯が街を照らしているような時間になっている。
依頼も終わりジェスロ達の元に戻るために防壁の外へ出てきたが車がない、作業者の話では依頼達成の報告は届いている筈とのことなので大人しく防壁入り口の脇の方に座って車を待つ事にした。
その間通りすぎていく人々がチラチラと見てくるのは単純に隻腕のガーディアンが珍しいからだと思ってる。それと包帯ぐるぐる巻きで横に置いてある直刀が。呪いの装備にでも見えるのだろう。
それからそんなに時間が掛からずジェスロが戻ってきた。
「終わったようだな」
「はい、少々時間は掛かりましたが依頼は成功しました」
ジェスロが戻ってきたので口調を戻し、証明書を渡した。証明書を受け取ったジェスロは一瞥だけして顔を此方に戻した。
「人を待たせてる、車に乗れ」
「分かりました」
車に乗ると直ぐに走り出した。車の中にもルイスは居ないが何処に行ったのだろうか?
「ルイスさんは何処へ?」
「お前の家に待たせてる」
「家、ですか?もしかして防具屋の隣の?」
「そうだ」
何でもないように言われるが彼処は色んな所に目をつけられそうで不安だ。この街一の防具屋の隣なのだ、他の人達が狙ってない筈がない。
「ジャックは貴族だからな、あいつの名義で買ってるんだ。そう簡単に手を出して来るような間抜けは大分減るだろう」
「ならいいのですが……」
ジェスロの言葉を聞き流しながら来るかどうかも判らない未来の敵への対策を頭の中で思考し続けた。
結局何も決まらないまま家に着いてしまったが。
「着いたぞ」
そう言われたので考えるのを止めて外に出ると見覚えのない建物が有った。見た目はコンクリートらしきもので作られた二階建ての四角いの家。それと一台分の駐車場に大の字で寝っ転がってゴロゴロ転げ回る事が出来そうな庭(外からは見えないように塀付き)
しかし防具屋を訪れたときにはこんな建物は無かった様な気がする、ジェスロに確認してみると。
「ベベの奴だろうな、腕は良いと噂だったから建てさせたんだが随分と早いな」
と言った。
ベベという名前は初めて聞いたが半日で家を建てるヤバい奴らしい、どんな見た目だろうか?
「ベベは二十のガキだぞ、あの細さでどうやって建築をしているのやら」
「……そうですか」
少なくとも筋肉もりもりマッチョマンの変態ではないらしい。
何てことを思っているとジェスロはさっさと扉を開けて入っていってしまう、俺は急いでその後に続いた。
「ルイス、リーシャを連れてきたぞ」
「おう、それじゃ本格的に家具設置だな。ベベ、図面くれ、リーシャもこっち来てくれ」
「あいよー」
「はい」
中では折り畳み式の机の前に座っている甲冑鎧が、その横から図面らしい紙を渡す女の人。
どうやらこの人がべべという人の様だ、見た目は褐色金髪でギャルの様だがアクセサリー類は身に付けておらずつなぎにボロい穴開きグローブという服装だ。
俺はルイスの正面側に座り図面を覗き込む、図面は一階と二階に別れておりその脇には小さく文字が刻まれたこれまた小さい四角い道具が沢山入った布袋、恐らくこれで何を何処に置くのかを決めるのだろうが悲しいことにチョーカーには文字翻訳機能は付いていない。
つまり読めない。
「確認しつつで構いませんか?」
「ん?あぁ、それ言葉だけだったな、問題ないぞ」
「ではこれは?」
試しに一つ取り出しルイスに見せる。
「ベッドだな」
「ならこれは?」
「クローゼット」
と続けていき、一つ一つ聞き直しながら図面置いていき場所を決めていく。べべはそれを見て置いた場所に家具の名前を書いていく。
そうして全ての家具を書き終えべべが図面を丸めて立ち上がった。
「さ、此処からは企業秘密だ、全員外でぶらぶらしといてくれい」
「だってよ」
「分かりました、どれくらいで終わりますか?」
「今日中は無理だねー、数が多いし。でも明後日の昼前にゃ一階は終わらせとくぜ」




