ポンコツ野郎
ミラがロードに声をかけた瞬間、
ゲイルがオレにひそひそと話しかけてきた。
「ウノ。あのロードはおかしい。ミラを任せられない。戦力が低すぎる。」
パワーレベリングの促成栽培君かもしれないな。
スキル選択をミスったんだろう。
ゲームならキャラメイクし直せば済むけどな。
この世界はキャラメイクし直せないだろうな。
それにあいつミラを見てバツが悪そうな顔をしてたぞ。
ミラを捨て駒だと考えていて、
とっくに死んでたはずだ、などと思ってたのかもしれない。
おおっと。
オレの考えはダダ漏れなんだっけ。
ゲイルの後ろに隠れよう。
「ロードさん。俺は駆け出しの戦士でゲイルと言います。
ミラは今回死にかけたんで、俺ともう一人の仲間のウノが
助けたんです。でも俺ら3人とも弱すぎるんで
3人一緒に一歩ずつ強くなろうって話をしてました。」
ミラが話を引き継ぐ。
「僕は力不足すぎます。
もう少し力をつけたらロードさんのパーティに入れてもらっても
足手まといにならなくなるだろうって、思うんです。
また死にかけてロードさんに迷惑をかけるのは嫌なんです。
お願いします。
ロードさんのパーティを抜けさせてください。
僕はこれから一歩ずつ強くなります。」
おお。
ミラの言葉には熱がこもっている。
本気の言葉だ。
ロードは鷹揚に頷いた。
「いい心がけだ。」
すかさずゲイルが、白い歯を見せて超イイ感じの笑顔で言う。
「じゃあ、これから俺たち駆け出し3人で
パーティ組んで頑張ります!
ロードさんの背中を必死で追いかけますよ!」
すげえ。
ゲイルの笑顔は反則だな。
あまりにも爽やかで反論不可能になる。
お、おう、くらいの反応しか返せなくなるやつだ。
強いなー。
ゲイルの笑顔は強いなー。
「わ、分かった。
どうしようもなくなったら吾輩に助けを求めるがいい。
吾輩は栄光あるロードだからな。」
よしよし。
スムーズに話が決まった。
パーティ抜けられたら困るって
ゴネられたらどうしようって思ってたんだよ。
ところで今、コイツは変な事を言ったよな?
どうしようもなくなったら助けを求めろ?
どうしようもなくなったら終わりだろう。
気軽に助けを求めてくれたまえ、くらい言ってみろ。
栄光あるロードなんだろう?
このポンコツ野郎が。




