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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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新作投稿してます!


愛のない政略結婚だと思っていたのに、夫はそうではなかったようです ~辺境で描いた一枚の絵が王都を騒がせるまで~


ローラの母ユリアが嫁ぐことになった経緯や、ポーネのこともかいています。よろしければご覧下さい!

 飛行艇がポーネ王国の王都に差し掛かると、お母様は操縦士へ、城内にある騎士団の演習場へ着陸するよう指示を出されました。


 演習場であれば飛行艇が着陸できるスペースはあるでしょうが……いきなり城内に乗り付けて良いのでしょうか。


 指示を受けた者が伺うように私に視線を向けます。


 ……お母様を止められるとは思えません。

 私は苦笑を浮かべると小さく頷きました。



 しばらくすると飛行艇は城壁を越え、城内の騎士団演習場へと降下を始めました。


 広々とした演習場にはすでに大勢の兵士たちが集まっており、皆が唖然と空を見上げています。


 やがて飛行艇がゆっくりと地面に降り立ちます。


 すると、着陸した飛行艇の周りは見る間に武器を構えた兵たちに取り囲まれてしまいました。


 飛行艇にはカーハインドの紋章を掲げているのですが、さすがにそれだけで警戒しない理由にはなりませんものね。


「ハッチを開けてちょうだい。

 私が行くわ」


 お母様は今にもスキップしそうな勢いで、扉に向かわれます。


 お母様……本当に嬉しそう。


 プシュー……


 ハッチが開くや否や、お母様は出入り口に飛び出すように立たれました。


「ただいま帰りましたわ!!」


 お母様の大きな声に、取り囲む兵たちの反応は真っ二つに分かれました。

 ぽかんと呆気に取られる者と、「まさか!」と目を輝かせる者。


 兵たちがざわめき出した、そのときです。


「お待ちください!」


「危険です!」


「危険なわけないでしょう!!」


 制止する兵を振り切るように現れたのは、一人の女性でした。


 艶やかな金髪を揺らしながら足早にこちらへ向かって来るその姿には、不思議な威圧感があります。


 兵たちも慌てて後を追いますが、その女性は意に介した様子もありません。


 女性が姿を現した瞬間、お母様の目が大きく見開かれます。


「お姉様!!」


 お母様は年甲斐もなく駆け出されました。


「お帰りなさい」


 女性はお母様を抱き止めると、柔らかく微笑まれます。


「まったく。元気の良さは変わらないみたいね」


 深い青のドレスに身を包み、肩には白銀の刺繍が施されたマントを羽織ったその姿。


 堂々たる足取りと、誰もが思わず道を空けてしまうような威厳。


 きっとこの方が長女のシエル様。


 この国を治める女王陛下なのでしょう。


 姉妹の感動的な再会を、私とアルフお兄様は飛行艇の出入り口から眺めていました。


「お母様、子供みたいだ」


 お兄様がくすりと笑われます。


 お母様は元々天真爛漫な方ですが、今日はいつも以上にはしゃいでいるように見えます。


 二十数年ぶりの再会ですから、それも当然でしょうね。


 ふと陛下の視線がこちらに向きました。

 私たちは慌てて礼をとります。


「マリア、あの子たちはもしかしてーー」


「ええ。私の子供たちですわ」


「急ぎ来賓をもてなす準備をしなさい!」


 陛下は周囲の者たちにそう命じると、こちらへ歩み寄られます。


「まあ……あなたたちが。

 顔を上げてちょうだい。よく見せてほしいわ」


 そっと顔を上げた私たちを、陛下は穏やかな微笑みで迎えてくださいました。


「初めまして。マリアの姉のシエルよ。

 会えて嬉しいわ」


「ああ……二人ともマリアによく似ているわ」


 シエル陛下は私たちの顔を順番に見つめ、何度も頷かれます。


 嫁ぐ前のお母様の姿を重ねているのでしょうか。その目はどこか、昔を懐かしんでいるようにも見えました。


 ◇


 ひとしきり再会を喜んだ後、私たちは城へと案内されます。


 応接室に案内されてしばらく。


 年配のご夫妻が部屋に顔を出されました。


「ああ……マリア!」


 お二人はお母様の名前を呼ぶと、感極まったように涙を流されます。


「お父様……お母様……」


 お母様の瞳からも涙が溢れます。


 私も思わず泣いてしまいました。

 胸の奥がじんわりと温かくなり、気が付けば涙が零れていたのです。


 ひとしきり抱き合ったお母様方は、それでも離れ難いのか互いの手を握ったままでした。


「会いたかった……」


「私もです」


 穏やかな笑みを浮かべながらも、その目からは次々と涙が零れ落ちます。


 ――


 ようやく落ち着いたところで、お祖父様とお祖母様の視線が私たちへ向きました。


 涙を流す私に驚きながらも、二人はそれはそれは嬉しそうに私たちにも言葉をかけてくださいました。


 お二人とも穏やかそうなお顔をされていますね。


 お茶が用意されて、思い出話に花が咲きます。


 私たちの知らないお母様の幼い頃のお話を聞かせていただいたり、一緒に来られなかったお兄様方のお話をしたりと、話題は尽きません。


「それにしても急に空から船が降って来るのだから驚いたぞ」


 お祖父様が笑いながらおっしゃいます。


「うふふ。先触れを待っていられなくて。

 驚かせてごめんなさい」


「ほんとにマリアは……。落ち着きのないところは母親になっても変わらなかったのね」


 お祖母様も困ったように笑われました。


 どうやら先触れを出さなかったことも飛行艇で乗り付けたことも、許していただけそうですね。


 普段のお母様を見てわかってはいました。ですがお祖父様方のお話しを聞いて、やはりお母様は、母国で家族に愛されて育った方なのだと実感しました。


 そんな家族に今まで会えなかったのは、どれほど辛かったことでしょう。


 これからは頻繁に里帰りしていただかねば。


 そんな風に思っていたとき、お母様が扉を気にしながらおっしゃいました。


「メロディーお姉様はいらっしゃらないの?」


 お母様は三姉妹です。


 先ほどお会いした、長女で女王陛下のシエル様。

 そして今お名前が出た、次女で歌姫と名高いメロディー様。

 そして末っ子のお母様。


 仲良し姉妹だったのでしょうね。


「先ほど嫁ぎ先に早馬を出すように命じたが、メロディーは各地を飛び回っておるからなあ……」


「マリアたちはしばらく滞在するのだろう? そのうち会えるさ」


 穏やかにおっしゃるお祖父様に、私たちが笑顔で頷いていると、お母様が何かを思い付いたように顔を上げられました。


「そうよね。いくらでも滞在できるもの」


 そう言うなり、お母様は勢いよく立ち上がられます。


「とりあえず私は地下書庫に行って来ますね!」


「えっ……」


 私たちが反応する間もなく、お母様は驚くほどの速さで部屋を後にされました。


「……ほんとにあいつは」


「変わりませんね」


 お祖父様とお祖母様は困ったように眉を下げながらも、どこか嬉しそうです。


「地下書庫?」


「ええ。この城の地下書庫。

 あの子そこが大好きでね。毎日のように通っていたのよ」


 お兄様の問いかけにお祖母様が「ふふふ」と笑いながらおっしゃいました。


 思い出の場所でしたか。

 それにしても地下に書庫があるなんて、さすがポーネですね。


 そういえばお母様、「いくらでも滞在できる」とおっしゃっていましたが、お父様と長期滞在はしないとお約束されたのでは……?


 私とお兄様は顔を見合わせて苦笑したのでした。



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