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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 王都への旅は、通常、山を越えるか森を越えるか、どちらにしても険しい道を何日もかけて通過する必要があります。


 船で行くことも考えたのですが、接岸できる港が限られていることや、新しい技術の詰まった船を他領の者に見せるのは危険だという話になり、今回は飛行艇で行くことに決まりました。


 飛行艇は我が領内でも最近になってやっと安定飛行に漕ぎ着けたもので、まだまだ満足のいく飛行速度には程遠い代物です。

 しかし、山を超えられる大きなメリットがあります。


 それに空を飛ぶ技術はこの国どころか周辺国でも聞きませんから、逆に見つかりにくいだろうと判断されました。


 もちろん王都まで行くのではなく、飛行艇を利用するのは山越えの間だけです。


 山を越えて少し行けば他領の街や村もありますし、山越えのあとは平野が広がっていますので進みやすいですからね。

 これで難所を含め工程の三分の二は短縮できます。


 あとは四日程かけて野宿をしながら王都を目指します。

 カーハインド領特製のテントや野営道具を持って行くので野宿でも快適に過ごせるでしょう。


 ◇


 「では、行って参ります」


 まだ薄暗い早朝、家族の見送りを受けながら、マルクお兄様とシル、エルザ、ロルフ、それに少数の世話役と護衛と共に飛行艇に乗り込みます。


 総勢二十六名。身分ある女の旅にしては心許ない人数と言えるでしょう。ですがこれで良いのです。


 それに王都にはすでにエルザの部下である情報局の者たちが、多数先行して入っていますからね。


 今回シルとエルザ、ロルフを共に選んだのは、シルが領地運営や財政を司る財務局の長官であること。


 エルザが諜報活動や情報統制を司る情報局の長官であること。

 

 そしてロルフが医療や福祉を司る保健局の長官であることが理由です。


 ちなみに黒髪の大男、イヴァンが軍務局、赤髪のルーカスが農務局、神官でもあるアンヌ様が教育局のそれぞれ長官です。


 うちの領地は改革を進め不正を排除してきたことから、実力主義が当然になっています。

 ルーカスなんて孤児からの大出世です。


 このように頑張れば評価され、身分が低くとも出世の可能性があると示したことで、現在は領内の教育にかける熱意が高まっています。


 このまま教育に力を入れて識字率を上げ、領民の中に簡単な読み書きや計算ができるものが増えれば、我が領はもっと豊かになることでしょう。


 ◇


 旅は順調に進み、いよいよ明日には王都に辿り着くところまでやって来ました。


 王都に入ったあとは別行動になりますから、主要メンバーで最後の打ち合わせをしましょう。


「いよいよ明日には王都に入ります。

 ひとまず予定通り私の側にはロルフ、お兄様の側にはエルザが付いてください。シルは王都の発展と経済状況の把握に努めてくださいね。

 相手の出方がわかりませんので、皆さま臨機応変な対応をお願いします」


 皆がうなずきながら聞いてくれます。


「最後にひとつだけ。

 無理はしないでくださいね」


 これだけは伝えておかなければなりません。うちの皆はいつも頑張りすぎますからね。


「俺からもひとつだけ。

 何があってもローラの安全だけは守れ。

 特にロルフ、頼んだぞ」


 お兄様の言葉にロルフは力強く頷きました。


 二人とも、ありがとうございます。


 ◇


 side:宰相


 カーハインド領が栄えている。そんな話を聞いたのはいつだったか。


 こちらでも独自に調査をしたが、なにぶん陸の孤島のこと、確証は得られなかった。


 税収を調べられればよかったのだが、中央集権国家でないこの国にはそこまで強い権限はない。


 各々の領地で法を決め税収を定め、爵位に合わせて決められた税を王家に納める。

 そうして集められた地方の税と王都で集めた税が、王都を治める王家やそれに連なる院政家の糧となる。


 だから地方の税収が上がっても王家の税収が上がるわけではない。

 もちろん地方の税収が下がっても王家は同じだけの税を集めることができるのだから、この仕組みにはメリットも多い。


 それに領地の税収に合わせた税の徴収をするならば王都で地方の税収を管理する必要が出てくる。

 だが、残念ながら王都にそんな能力はない。


 今でさえ地方はやれ不作だ飢饉だと税の払いを渋る者も多く、苦労をしているというのに。


 そういえば彼の地からは、税を免除しろだとか遅らせろだとかの嘆願が上がったことがないな。


 単に辺鄙者ゆえ嘆願の仕方も知らぬのか、おこぼれで得た伯爵位ゆえ意地を張っておるだけなのかもしれんが、あの家は数代前まで商人だった家。

 金儲けは得意なのかもしれぬ。


 伯爵からは一度娘を寄越すと手紙が届いたゆえ、娘に直接話を聞いてみれば良いだろう。


 威張り散らすだけで仕事もせぬ王族共など王都の者は誰も欲しがらぬが、成り上がり者ならば王家の権威は喉から手が出るほど欲しいはず。


 せいぜい高く売りつけてやはねば。



・シルヴェスター=財務局

・エルザ=情報局

・ルーカス=農務局

・イヴァン=軍務局

・ロルフ=保険局

・アンヌ=教育局

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