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【完結】知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 晩餐を済ませて会議室に戻ったころで、ようやく尋問官からの報告が届きました。


「奴らは間違いなく訓練を受けたプロです」


 疲れ切った様子でそう語る尋問官に、皆「やはりそうか」と頷き合っています。


「それで、情報は引き出せたのか」


 レオ様が尋ねます。


「申し訳ありません。

 非常に口が硬く、所属組織を吐きません。

 どんなに痛めつけても『帝国の人間だ』と言うばかりで……」


「……ならばポーションを横流しした理由は?」


「"金になるからだ"と」


 眉を寄せて問いかけるレオ様に、尋問官の方は申し訳なさそうに答えました。


「つまり、何もわかっていない。ということか」


 レオ様の言葉に、帝国の者が揃ってため息をつきます。


「あー……でもあれだな、災害で苦しんでる国で金儲けたあ、ろくでもねえ国だな。

 まさかケルファじゃねえだろうな」


 場を和ませるためでしょう。マルクお兄様が笑っておっしゃいます。

 ですがここに居る者で、私たちがケルファ所属の者だと知っているのはレオ様だけです。


 そのせいでしょう――


「ケルファ……確かにあそこならばやりかねん」


「ああ、あの国は奪うことに関しては一級品だからな」


 皆が真剣に"ケルファの間者では"と噂をし始めてしまいました。


 気まずげに目をそらすレオ様と、思わず額に手を当てるマルクお兄様。


「いえいえ、ケルファの間者ならばとっくに全て吐いていますよ」


 そんなマルクお兄様を横目で見て、小さく息をついたハイリお兄様は、笑ってそうおっしゃいました。


「それもそうだな」


「あの国に忠誠心の高い間者が居るとは思えんからな」


 さすがハイリお兄様です。

 お兄様の一言で、ケルファは容疑国から外れたようですね。


 今でもカーハインドの者のうち何人かは、ケルファの中央で情報収集を続けています。今回のことがケルファの差し金でないのは確認済みです。


 議論が違う方向に進まなくて良かった。


 私がこっそり胸を撫で下ろしていると――

「ドンドンドン!」会議室のドアを乱暴に叩く音が響きました。


 何事かと顔を見合わせます。


「申し上げます! 至急お伝えしたいことがございます」


 ドアの外から叫ぶ声が聞こえます。


「開けてやれ」


 レオ様の指示で扉が開かれると、そこには額に汗を滲ませた情報局の者が立っていました。


「どうした?」


 ハイリお兄様が慌てて駆け寄ります。


「なんだって!?」


 情報局の者が耳元で何かを囁くと、お兄様の顔色が変わりました。


「よく伝えてくれた。

 市場のポーション全て抑えられるか?」


 ポーション?

 どういうことでしょうか。

 皆も不安気な様子で見守っています。


 会議室に向かって慌ただしく頭を下げると、情報局の者は走ってその場を去って行きました。


「何があったのか聞いても?」


 レオ様がたまらず問いかけると、お兄様の口から信じられない言葉が飛び出しました。


「ーーポーションに毒物が混入されたようです」


「――!?」


 誰かが息を呑む音が聞こえます。

 いえ、私のものかもしれません。


「どうやら奴らの目的は、単なる金儲けだけではなかったようですね」


 お兄様は大きく息をつくと、辺りを見回して言いました。


「街中でポーションを使用した者が、泡を吹いて倒れ、亡くなったようです」


「――そんなっ!」


 言葉が出ません。


「おそらく闇市で購入したものでしょう。

 先ほど闇市に流れているポーションを全て回収するように指示を出しました。しかし、すでに買い手に渡った物まで追跡するのは難しいでしょう」


 お兄様が眉間を揉みながらおっしゃいます。


「だが……なぜそんなことを?」


 帝国の部隊長の言葉に、誰も答えられません。


「理由はわからん。だが、もし犠牲者が増えれば帝国の復興支援に影響が出るのは間違いない」


 レオ様が沈痛な面持ちでおっしゃいます。


 そうですね。

 救護所で配られるポーションが安全ではないなどと噂が立てば、飲むことを拒絶する者も出るでしょう。


「とにかく民に不安が広がる前に、解決せねばなりません」


 私がそう言うと、皆が真剣な顔で頷いてくれました。


「闇市でポーション買って溜め込んでる可能性のある、貴族や商人に注意喚起できねえか?」


 マルクお兄様がおっしゃいます。


 確かに今ポーションは、貧しい者には無料で配布されています。

 わざわざ闇市で購入するのは、裕福な者や救護所に来られない後ろ暗いところがある者が大半でしょう。


 そういえば――


「亡くなられたのは、どんな方だったのでしょう?」


「詳しい話はまだ聞けていないが……その辺りも含めて確認しなければならないね。

 ちょっと失礼します」


 私が問いかけると、ハイリお兄様はそう言い残して部屋を後にされました。


「私も陛下に報告に行ってくる。

 引き続き間者の尋問を続けてくれ」


 続いてレオ様も席を立たれます。


「俺、間者に会ってみてえんだけど。

 ついて行っていいか?」


「ならば私も行きましょう」


 マルクお兄様はそう言って何人かの部隊長と共に、尋問官のあとについて行かれました。


「……夜も更けて来ましたし、一先ず状況が出揃うまで解散しましょうか」


  私がそう言うと、重い空気を残したまま会議は終了となりました。


 それにしてもどうすれば良いのか。

 そして間者の目的は何なのか。

 わからないことが多くて不安になります。


 しばらくその場で考え込んでいると、ハイリお兄様が戻られました。


「おや、解散したのかい?」


「はい、レオ様は陛下の元へ、マルクお兄様は尋問官の方と共に出て行かれて」


「そうか……。

 実は一つ興味深いことがわかってね」


 お兄様は顎に手をあてておっしゃいます。


「今日ポーションを飲んで亡くなったのは、裕福な者ではなかったようだよ」


「……? 闇市でポーションを購入した方なのでは?」


「それがどうも違うらしい。

 災害現場で怪我をした民に、帝国兵を名乗る者が渡したそうだ」


「なんですって……!?」


 ポーションは、救護所以外への持ち出しを禁止しています。

 それに所属を名乗って、毒物を渡す者など居ないでしょう。


「おそらく今日捕まえた者たちの、仲間の仕業だろうね」


「では毒の混入されたポーションが、闇市に流れているわけではないのでしょうか?」


「それはまだわからない。

 単純に痺れを切らせただけかもしれないからね」


 確かにその可能性もあります。


 ーーこれ以上被害が広がってほしくありません。

 とにかくこの情報を皆に共有しましょう。



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