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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 side:帝国の部隊長


 ポーションの不正流用があったと聞いて、まさか部隊の者が着服したのかと嫌な汗が頬を伝った。


 あれだけポーションがあれば、「一本ぐらい」と魔が差す者が居てもおかしくはない。


 だがどうやら、横流しをしていたのは受け取った民だったようだ。


 それがわかってほっとした。


 しかしポーションの管理が甘かったことに、皇太子殿下が想像以上にお怒りだった。


「ポーションは医師が診断したあとに渡せ」

「必ずその場で使用を見届けろ」

「空き瓶を回収しろ」


 そう言われていたのは確かだ。


 ーーそもそもポーションは平時でも厳重な管理を行う品だ。

 それもそのはず。ポーションは戦略物資にも数えられる代物であり、一瓶で庶民の月給を超えることさえある高級品だからだ。


 だから本来であれば、そう簡単に民へ配れる物ではない。


 それでも被災地では迅速な治療を優先するためにと、国からポーションが支給されていた。


 とはいえ、その価値が変わるわけではない。

 本来であれば、言われずとも厳重に管理してしかるべき物だった。


 だが実際には、一人でも多くの民を救おうと現場は常に慌ただしく、運用は次第におざなりになっていった。


 いや……忙しさだけが理由ではない。


 ポーションが潤沢にあったことも、大きかったと思う。


 不足を心配する必要のない環境に、俺たちはどこか気を緩めていたのだ。


 現に、元々皇太子殿下の部隊だった者たちは、厳格な管理を維持しながら、俺たち以上の怪我人を診ていたという。


 忙しさを言い訳にはできない。



 ……あいつらは本当に何者なんだ?


 空飛ぶ船を操り、見たこともない魔道具を使う。さらには部隊運用から兵の統率に至るまで隙がなかった。


 もし帝国の兵だとすれば、今まで話題にならなかったのがおかしい。


 それに皇太子殿下を諌めてくれたあの女性。


 目立つ髪色に整った容姿、そして誰よりも働く姿は嫌でも目を引き、仲間内でもよく話題になっていた。


 殿下は真っ直ぐなご気性だからな。

 一度勘気に触れると、なかなかお許しがいただけん。


 それが、あの女性の取り成し一つで、不問に付されたのだ。

 あれには皆が目を丸くした。


 俺はあの女性が「姫様」と呼ばれているのを聞いたことがある。


 それに潤沢なポーションをお持ちだったことを鑑みると、もしや聖王国の王族の方か?


 皇太子殿下と婚姻の話が持ち上がっていて、聖王国の精鋭部隊が支援に来てくださった。とか。


 だが彼女が他国の姫だとしたら、災害現場であれほど働くとは思えん。


 王族の女性など、自分の身の回りの世話さえ人に任せるものだ。他人の面倒を見ようとなどせぬだろう。


 それにそうだとしたら、名前を伏せる必要もないはずだ。


 この前だってあいつら、支援に感謝の言葉を述べる民に「そのお気持ちは皇太子殿下に」なんて返していた。


 普通ならば、働いた自分たちが感謝を受け取るのが当然だと思うだろう。


 それなのに……あれだけ働きながら、あいつらが自らの功を誇るところを見たことがない。


 ならば我が国の属国のどこかかとも考えたが、それにしては相手方に対する皇太子殿下の対応が丁寧過ぎる。


 だいたい属国であれほどの技術が発明されたのであれば、帝国でも少しは広まっているはずだ。


 仲間内では「どこかの大商会らしい」とか「宗教団体じゃないか」といった声も聞かれるが、俺はあの品のある女性は絶対に身分の高い方だと思う。


 ―― そもそもいくら帝国といえど、被災し、主要街道が寸断された状態で、あれだけの物資や人員をこれほど迅速に手配するのは難しいだろう。


 どこか他国の助力によるものである可能性など、少し考えれば思い至れたことだ。

 ならば俺たちは、彼らにもっと感謝と敬意をもって接するべきだった。


 自分たちの知らない道具を使うから、知らない理屈で動くからと、疑いの目を向けるなどあってはならないことだった。


 他国の者だとしたら、俺たちと考え方が違うのも当然のことだからな。


 わざわざ支援物資を持って駆けつけてくれたうえ、災害現場であれほど働いてくれている者に怪しむ目を向け、さらには持ち込まれた物資の管理をおざなりにした。


 どう考えても信頼を損なう行為だ。

 支援を打ち切ると言われても反論できない。


 そう考えると、皇太子殿下があれほどお怒りになるのも、もっともなことだと思った。


 今、俺たちができるのは、同じ過ちをを繰り返さないように努めること。

 そうして少しずつ信頼を取り戻していくしかない。


 そにためには今までのやり方ではいけない。

 だが怪我人が押し寄せる中で一体どう管理すればよいのか。

 一度、皇太子殿下の部隊の様子を見せてもらうか……


 栄えある帝国の兵として、彼らに後れを取ったままでいるわけにはいかないからな。


 そんな思いで復興作業へと思いを馳せているうちに、ふと気付いたことがあった。


 ――そういえば最近、この辺りで見かけぬ民をよく見るようになったな。


 帝都の民の、全ての者の顔を覚えている訳ではもちろんない。

 だが、空気感というか雰囲気が違う者が増えた気がする。


 気にしすぎか?

 ……念のため報告を上げておこう。



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