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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 “カーハインドのポーションが闇市で売られているようだ”という報告が、情報局よりもたらされました。


 まさかと思いました。


 支援用のポーションは、必要な方へ直接渡しているはずです。本来であれば、闇市になど流れるはずがありません。


 ――調査を進めた結果、その原因が明らかになりました。


 部隊を分ける際、ポーションの運用や管理方法については各部隊へ通達していました。


 しかし実際の運用は現場に委ねられており、一部の救護所では負傷の確認さえ行わず、求められるまま配布していたようです。


 さらに、その場での使用確認も十分ではありませんでした。


 その結果、同一人物と思われる者が複数の救護所を回り、何本ものポーションを受け取っていたことが判明したのです。


 闇市で売られていたポーションは、そのようにして持ち出されたものだと考えられました。


 これは由々しき事態です。


 現在は災害下ということで、帝国は貧しい者からは金銭を要求せず、寄付を募る形でこの支援を行っています。


 現状、カーハインドが支援する救護所を訪れるのは、そういった金銭的に余裕のない者たちばかりです。


 貴族や裕福な商人であれば、支援を待たずとも自ら医者を手配したり、ポーションを購入したりできますからね。


 一方カーハインドは、使用したポーションの総量や炊き出しにかかった費用などを帝城に報告し、後日まとめて精算する手筈になっています。


 つまり、ここで配られるポーションは帝国の税金で購入されるのと同じこと。


 そのため、必要以上のポーションが配られていたとなれば、「カーハインドは支援を口実に税金を使い込んでいる」と受け取られてしまう恐れもあります。


 なにより私たちは、困っている方を助けるためにポーションを持ってきたのです。


 なのに、それが誰かの金儲けの道具になっている。


 ーーこの問題を解決するためには、帝国側との連携が欠かせません。


 せっかく部隊を分けて落ち着いたところで、また波風を立てるのは本意ではないのですが……


 どうするべきかと悩んでいると、レオ様が「俺が話す」と言ってくださいました。


 ただレオ様は部隊を分けることになったときから、帝国の者に怒っていらした。

 あまり言い過ぎなければよいのですが……


 ◇


 その日の受付が終わった後。


 救護所の一角に、帝国の役人と各部隊の責任者が集められました。


「ポーションの横流しが発覚した」


 椅子に腰掛けたレオ様は、静かな声で話し始めました。


「理解していると思うが、支援物資は無限ではない」


 場を緊張が包みます。


「誰かが余分に受け取れば、その分だけ本当に必要としている者に行き渡らなくなる」


 帝国の者は「なぜ自分たちが責められているのか」と思っているのでしょう。顔を見合わせ、困惑が隠せていません。


「ポーションを同じ人物に何度も渡していた。

 使用するところを確認しなかった。

 全てお前たちの部隊で起こったことだ」


「まさか……!」


 驚いている者が居る一方、気まずげに目を逸らしている者も居ます。


「災害対応で忙しかったことは理解している。

 だが、きちんと運用していた部隊がある以上、それは言い訳でしかない」


 声は穏やかなままですが、膝に乗せた手が固く握りしめられています。


「ポーションの費用は税金で賄われている。

 それをおざなりに扱うということが、どういうことかわかるか?」


 レオ様は周りを見渡しますが、誰も口を開きません。


「それにこれは金の問題だけではない。命に関わる問題だ」


 レオ様の静かな怒りが伝わったのでしょう。

 皆、下を向いてしまいました。


「私の部隊が信用できないと、部隊を分けた結果がこれか」


 その様子を見て、レオ様は深くため息をつかれると、そう吐き捨てるようにおっしゃいました。


「どう責任を取るつもりだ?」


 冷ややかな視線に場の空気が凍ります。


 後ろで見守っていた私は、思わず一歩踏み出しました。


「レオ様、よろしいでしょうか?」


 周囲の視線が一斉に私に注がれます。


「民を助けたいという気持ちは、皆同じだと思うのです。

 忙しさに追われ、慣れない仕事に戸惑いながら、それでも助けたいという思いがあったからこそ、皆さまは今日まで働いてこられたのでしょう」


 そこで言葉を切って、周囲を見渡します。


「ですから私は、誰が悪いのかを決めることよりも、二度と同じことを起こさないための仕組みを考えることの方が大切ではないかと思うのです。


 どうか本当に必要な方へ届くよう、お力を貸してください」


 そして、静かに頭を下げました。


 誰もすぐには口を開きませんでした。

 おそらく私のことを「誰だ?」と訝しんでいる者もいるでしょう。


 そう思ったのですが。


「……まあ」


 一人の兵士が頭を掻きました。


「あんたに言われるとな」


 その言葉に周囲も苦笑します。


「毎日休みもせず走り回ってるのを見てるからな」


「むしろ俺たちより働いてるだろ」


 驚きました。

 私が何をしていたのか、彼らは知ってくれていたのですね。


「ふう……ローラが言うなら仕方ないな」


 ポカンとする私の背に手を当て、レオ様は苦笑混じりに肩を竦めました。


「今後は手順を守り、厳格に運用するように」


「はっ!」


 皆が一斉に頭を下げました。



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