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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 まさかレオン様が皇太子殿下だったとは。


 ただ者ではないとは思っていましたが、ここまでの大物だとは予想していませんでした。


 帝城との通信を終えたあと、カーハインドの領主邸にも些細の連絡を入れましたが、さすがのお父様も絶句していらっしゃいましたからね。


 ですがおかげで、支援活動はやりやすくなりました。


 カーハインドの名を出さず、皇太子部隊として活動するのであれば、救える範囲も増えるでしょう。


 ちなみに支援の見返りは、金銭で行われることに決まりました。


 皇帝陛下と直に通信機が繋がった直後は慌てていたハイリお兄様でしたが、すぐに落ち着きを取り戻すと、これ幸いと実務的なお話を詰めていらっしゃいましたからね。


 さすがハイリお兄様だと、皆で感心したものです。


 そのあと手紙鳥で、皇太子殿下の紋章を送ってもらい、今はカーハインドの紋章の上に重ねる形で、支援物資や飛行艇に偽装工作を施しているところです。


 これが済めばいよいよ支援開始です。


 飛行艇は刺激が強すぎるのではないかと、当初は隠匿する方向で話しが進められていましたが、支援物資の搬入や支援範囲の拡大を考えると、不利益が大き過ぎる。


 それに面倒な横槍が入ったときを考えても、飛行艇を拠点として活動する方が対処が容易いということもあり、大々的に使うことに決まりました。


 ですから準備が出来次第、飛行艇は帝都近辺の草原に向けて離陸することになります。


 動きやすく目立ちにくい簡素な服に着替えて離陸を待っていると、ハイリお兄様から呼び出しを受けました。


「いいかい、ローラ。

 私はここを離れられない。マルクスも救助部隊の指示を取るため、お前の側にはいられない」


 お兄様は私の手を取り、真剣な顔でおっしゃいます。


「はい。私は護衛の方と行動します」


「そうだね。イヴァンを付けるから、必ず彼らと共に行動するんだよ」


 その言葉に私は眉を上げます。


「イヴァンは軍務局長です。私の側にいるよりも現場に出てもらうべきです」


 拳を握って言う私に、お兄様は困った子を見るように目を細めました。


「ローラは現場に出ないのかい?」


「……?もちろん出ますが」


「ならばイヴァンも現場に出ることになるね」


 お兄様の言葉が理解できず、一瞬ぽかんと口を開けてしまいます。


「違います! そうではなくて!

 私と同じ場にいるよりも、イヴァンには――」


「ローラ」


 言い募る私の頭に手を乗せて、低い声で名前を呼ぶお兄様の声に、思わず口を閉ざしました。


「お前の安全が第一だ。

 お前の安全が確保できなければ、私もマルクスも、カーハインドの者は皆、安心して動けない」


「――はい」


「お前は熱くなると、周りが見えなくなるからね。

 どんなときでもお前を優先して守れる、イヴァンを側につける」


 お兄様はそこで言葉を切ると、目を細め私の頬を優しく撫でられました。


「これは私の我儘だ。聞いてくれるかい?」


「――はい」


 子供を見るような目で諭されて、私は何も言い返せませんでした。


 お兄様の中では、私はまだまだ子供なのでしょう。

 心配してくださる気持ちが嬉しくもあり、情けなくもあります。


 お兄様はそんな私の複雑な心境を見抜いておられるのか、眦を緩め「いい子だ」と頭をひと撫ですると、立ち去られました。


 ……最後まで子供扱いですか。


 なんとも言えない気持ちでいると、飛行艇の離陸を知らせる放送が響きます。


 帝都までは三十分ほどです。気持ちを切り替えなければ。


 パンパンと自分の頬を叩いていると、私を探していたのでしょう。イヴァンがやってきました。


「嬢ちゃんやめな、顔が腫れちまうじゃねえか」


「イヴァン……。

 ごめんなさい。私が不甲斐ないせいで。迷惑をかけます」


「やめろやめろ」


 頭を下げる私を、イヴァンは手を振って止めます。


「嬢ちゃんは自分の不甲斐なさばっか数えるがな」


 イヴァンは呆れたように笑った。


「俺たちから見りゃ、十分すぎるほどやってる」


「え……?」


「誰もできねえことをやって、それでも足りねえって顔してるんだからな。

 欲張りにも程があるぜ」


 イヴァンはわざとらしく肩をすくめ、首を振りました。


「それに次期様だって、嬢ちゃんが危なっかしいからって理由だけで、俺を護衛につけたんじゃねえ」


「そうでしょうか」


 私は眉を下げて小首を傾げます。


「嬢ちゃんはな、一番困ってる奴を放っておけねえ」


 イヴァンは苦笑します。


「次期様はそれを分かってる。

 だから俺を付けたんだよ」


「……」


「嬢ちゃんが危ねえことをするからじゃねえ。

 嬢ちゃんが助けようとする相手が、いつだって一番危ねえ場所にいるからだ」


 胸の奥が、じわりと熱くなりました。


「……買い被りすぎです」


 やっとそれだけを絞り出します。


 イヴァンは鼻で笑いました。


「だったら、今まで何回無茶したか数えてみるか?」


「やめてください」


 私は思わず顔を覆いました。


 申し訳なさは消えない。

 けれど、胸に居座っていたもやもやしたものが、すっと和らいだ気がしました。



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