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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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5

 ――領主邸の中にある小さな会議室にて


 人払いをされたそこには六人の男女が集まっていた。


「緊急招集なんて穏やかじゃない」


「一体何があったってんだ?」


 黒髪に白髪が入り混じった髪を短く刈りそろえた筋骨隆々の大男、イヴァンが眉を寄せてつぶやいた。


「ほんとだぜ。領地会議以外で俺たち六人全員を集めるなんて、そうそうあるこっちゃねえ」


 イヴァンのつぶやきに答えたのは、赤い髪をした線の細い青年、ルーカス。


「あら、最近は領地会議だって、みんなお役目が忙しくて全員揃わないことも珍しくないじゃない。

 私はみんなに会えて嬉しいわぁ」


 おっとりした口調でにこやかに話すのはエルザ。

 目元の泣き黒子がセクシーな、藍色の髪をもつ女性だ。


「相変わらず君はのんびりしているな」


 少し呆れたような笑いを浮かべるのは、シルヴェスター。

 銀髪に眼鏡をかけたクールな印象の男性。


「ねえ、アンヌ様どうしたの? なんだか顔色が悪いけど」


 隣の老婆に話しかけたのはロルフ。


 緑の髪を持つ彼は背が低く童顔なため、たびたび子供に間違われるが、歴とした大人の男だ。

 まあ成人したばかりではあるが。


 そんなロルフに話しかけられた白髪の老婆アンヌは、頭からすっぽり被る白い法衣をまとった神官だ。


「教会の……いえ、私のせいかもしれません。

 姫様が苦境に陥られているのは」


 青い顔を伏せて言葉少なにつぶやいた声は、震えているように感じる。


 アンヌのつぶやきに周囲は顔を見合わせる。


「おい、それってどういう意味――」


 イヴァンが問いかけようとしたそのとき。


 部屋の扉が開かれた。


 ◇


 なんだか物々しい雰囲気ですね……何かあったのでしょうか。


 ここに居る六人は私の進める改革に早くから賛同し、共に戦ってくれている、同志のような存在です。


 情報統制のため、我が領が独立を目指していることはまだ公にはしていないのですが、各局の長を務めるこの六名にはもちろん話してあります。


 今回のことも報告と共に知恵をお貸しいただきたく、召集をかけたのですが……。


「皆様、お待たせして申し訳ありません。また急な呼び出しに応じてくださってありがとうございます」


 ひとまず話を進めましょう。

 私は軽く頭を下げて話を切り出しました。


「王都に目をつけられたかもしれません」


「お父様の元に宰相から、王子と私の婚約話が持ちかけられたようです」


 今回の問題を端的に伝えると皆が驚いた顔をします。


 いえ、アンヌ様は悲壮なお顔です。それにエルザとシルはあまり驚いていませんね。


 エルザは何かしらの情報を掴んでいたのでしょうか? さすがですね。


 シルはこの緊急召集から、ある程度予想をしていたというところでしょうか。


 気になるのはアンヌ様のご様子です。どうなさったのでしょう。


「姫様、申し訳ありません。

 宰相に情報が漏れたのは、私たち教会が原因かもしれません」


 アンヌ様はそう言うと深々と頭を下げられました。


「頭をお上げください、アンヌ様。

 何か心当たりがおありなのでしょうか?」


 あまりに思い詰めた様子に、私の方が慌ててしまいます。


「実は先日、昔馴染みの神官が私共の教会を訪ねて参りましてーー」


アンヌ様はぽつりぽつりと話し始めました。


「その者は、王都とも関わりのない真面目な神官です。

ですから訪問を受け入れたのですが、どうやらその者が連れていた世話役の中に、王都にある教会の本山と繋がりのある者が紛れていたようでございます」


 それは……


 訪問する当人であればこちらもしっかり確認しますが、連れている世話役の背後関係まで調べるのは流石に無理があります。


「待機場から出て周囲を探っているようだ、と報告があったので、すぐに連れ戻し事実確認や背後関係の調査をいたしました」


「しかしなにぶん身元の確認に時間がかかってしまい……未だ報告ができておりませんでした」


 アンヌ様はそう言うとまた頭を下げられます。


「きちんと調査をしてくださり、ありがとうございます。しかし世話役の調査など簡単なものではありませんから、時間がかかるのは当然です」


「そもそも周囲を探るためにその者が遣わされたのだとすれば、それ以前に目をつけられていたのでしょう」


私の言葉に皆も頷きます。


「確かにそうねぇ。民の間では楽園のような領地があるって随分前から噂になっていたようだし……」


「王都のお偉いさんは民の言葉なんて聞く機会もないでしょうけど、教会なら末端の者は民と接することもあるでしょうしねぇ」


 エルザが言いました。


 この国は街道の整備も進んでいませんから、旅をする人は多くありません。


 それでも行商人や修行の旅に出る修道士などはおりますから、そういったところからエルザが言うように、噂が広まったのでしょう。


「それに領主邸や研究所の辺りならともかく、教会の周辺に見られて困るような物もありません。

 その者は大した報告も出来ていないと思いますよ」


 私はアンヌ様に笑顔を向けます。


 アンヌ様は思い悩むところがあるお方ですからね。

 気になさらないようきちんと伝えておかなければ。


「でもこれでハッキリしましたね。

 宰相は噂を耳にしただけで、まだ確証には至っていない」


 眼鏡のブリッジを押さえながら、シルがにやりとして言います。


 そうでしょうね。確証があれば、もっときちんとした身分の者が訪ねてきていてもおかしくはないですから。


 教会が何かしらの噂を耳にして間者を寄越し、念のため王都にも報告をあげた、というところでしょう。


「ま、教会本山は王都とズブズブってこったな」


 ルーカスの言う通りでしょうね。本山に伝わったことは王都にも伝わる。


 そして各地に支部を持つ教会の調査能力はあなどれるものではありません。



・シルヴェスター=銀髪メガネ

・エルザ=セクシー美女

・ルーカス=細身で赤髪

・イヴァン=がっちり黒髪

・ロルフ=童顔で緑髪

・アンヌ=白髪の神官

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