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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 領主邸の会議室に着くと、八人の男女とその家族と思わしき者たちが居ました。


 ん? 見覚えのある顔がありますね。

 あの方はマリウス王子の婚約者役をお願いした、オリビア様では?


 とにかく、一人ずつ別室に呼び出して、個別に話を聞くことにしましょう。


 ◇


「――オリビア様、その節はお世話になりました。それでどうしてカーハインドへ?」


「あ、ローラ様!?

 え、王都で見たときと全然違うんだけど!

 なんで!? 髪色とかもっと地味な感じだったよね!?」


「ふふっ。あのときは地味に目立たないようにしておりましたから」


 お元気そうでなによりです。


「そーなんだ、徹底してるねえ。

 でも正解かも。もしその髪色と顔を王子様に見られてたら、私なんかじゃ太刀打ち出来なかったよ」


「あらあら、ありがとうございます。

 でもそんなことになっていたら、今頃面倒なことになっていましたから、オリビア様には本当に助けられました」


「私だって自分のためにしただけだよ。

 おかげでサーストン家からも解放されたしね!

 でも市井でも庶子だって噂が回っちゃっててさ。王都では生きにくかったんだよね」


 サーストン侯爵はかなり強引に彼女たちを連れ去ったそうですからね……。


「それにあいつ私のこと教会に預けようとしてたらしいんだよね」


 放逐したにも関わらずわざわざ教会に?

 教会だって寄進が必要なはず。にも関わらず預けようとするなんて……。


「多分ほとぼりが冷めた頃に呼び戻して、変態ジジイの後妻にでもするつもりだったんじゃないかって」


 ――っ! 確かにその可能性は否定できません。

 ですが彼女らが生活に困っているときでさえ何の援助もしなかったというのに、政略の駒には使おうと言うのですか。

 反吐が出ます。


「それで危うく捕まりそうなところをここの人たちに助けてもらってさ。お母さんもすぐ保護してもらって、それからずっと匿ってもらってたんだ。

 だから必然的に一緒に来た? みたいな感じ」


「それは大変でしたね……。

 どこか他に希望の場所があるならお送りしますよ?

 もちろんカーハインドに居てくださるなら大歓迎ですが」


「ううん。王都以外知らないし、他に縁のある人も居ないから迷惑じゃないならここに置いて欲しい。

 何が出来るかはわからないけど……」


 オリビア様は少し俯いて、不安そうにされています。

 でもその心配は杞憂です。


「嬉しいです! オリビア様にお任せしたい仕事は山ほどありますから。

 王子殿下や大勢の院政家の者たちを前に、最後まで完璧に演じ切った胆力。

 頭の回転の速さに、相手の心を掴む話術。

 どれを取っても、他の者にはない素晴らしい才能です」


 私が力説すると、オリビア様は驚いたように目を丸くしたあと――やがて、花が綻ぶように微笑まれました。


「侍女として支えてくださってもよいですし、孤児院の先生や商会の会長、それに外交に関わるお仕事にも向いていらっしゃると思います。

 ひとまず色々な仕事を試して、やりたいことを見つけられてはいかがですか?」


「私が先生!? それに商会の会長やら外交って……私、頭良くないよ?」


 今度は目を白黒させてらっしゃいますね。


「大丈夫ですよ。知識はなんとでもなりますから」


「ありがとう!! ほんとここの人たちってみんな親切だよね。

 ここへ来る時だって、私の荷物をわざわざ取りに行ってくれてね。ドレスは換金して、宝石類も全部持ってきてくれたの。何ひとつ無くなってなくて驚いちゃった」


「えっ?」

 ――それは当然では?


「他人に荷物を任せたら、金目の物なんて全部無くなってるのが普通だと思ってたから……びっくりしちゃって」


「……そんな環境にいたのに、あなたは人を信じることをやめなかったのですね」


 思わずそう零すと、オリビア様はきょとんとした顔をされます。


「だって、カーハインドの人たちは信じても大丈夫だって分かるもの」


「どうしてです?」


「みんな、見返りが欲しくて親切にしてる感じじゃないから」


 その言葉に、私は思わず目を見開きました。


 困っている者がいれば助け、働いた者には正当な対価を払い、預かった物は持ち主へ返す。

 この地では当たり前になっていた光景でした。


 けれど、それは決して“どこでも当たり前”ではなかったのですね。


 オリビア様のおかげで、その大切さを改めて思い出せました。



 ――その後、他の七名の方とも顔合わせをさせていただきましたが、皆様すぐにでも活躍していただけそうな方ばかりで、どうやってこれほどの人材を集めたのか不思議になるほどでした。


 これでまた一歩、カーハインド領は大きく発展できるはずです。

 そう思うと、胸が高鳴るのを抑えられませんでした。



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