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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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「とりあえずハイリンヒが通商局長、マルクスが土木局長をするしかないな」


「「えっ」」


 お父様の突然の提案にハイリお兄様とマルクお兄様が揃って困惑の声を上げます。


「あの父上、ご存知だと思いますが私は今父上の側近として学ばせていただいてまして……」


「そうだぜ親父、俺だって情報局やら騎士団やらの訓練したり、あちこち調査に出たりしてるんだ」


 そうですね、二人とも毎日お忙しくされてます。


「もちろん二人の仕事ぶりは知ってるさ。

 だから、これからは今までの仕事と局長の仕事を兼任してくれ」


 お父様、「だから」の使い方がおかしいです。

 ニコニコと笑顔で無理を吹っ掛けるお父様に、苦笑いが出ます。


「今でも仕事が山積みなのですが?」


「俺だって毎日飛び回ってんだけど?」


 お兄様たちの笑顔が引きつります。


「ほう?なら仕方ない。アルフレートとローラにやってもらうか。

 二人とも悪いな、兄たちができないそうだから――」


「待ってください!私がやります」

「ちょっと待て!俺がやる」


「二人ともやる気があるようで良かったよ」


 満足そうに頷くお父様と、乾いた笑いしか出ないお兄様方。


「すみませんお兄様方。できるだけ早く後任を見つけますから」


「ローラ、兄たちを甘やかしてはいけないよ。

 仕事を減らしたいならば二人が責任を持って後任を育て、委譲すればいい」


 それもダメですか。お父様はお兄様方に厳しいですね。


「大体、ハイリンヒは将来、各国の代表と渡り合わなければいけないんだ。通商局でならその経験を積めるだろう?

 マルクスだってハイリンヒを補佐していくんだ。インフラ整備について学び、人脈も得られる土木局の仕事は無駄にならないだろう?」


 それはまあ確かに……。

 お兄様方もハッとされました。


「私としてはお前たちが、自分からやりたいと言ってくれるのを待っていたんだけどね」


 やれやれと言いたげなお父様に、お兄様方は悔しげな顔をされています。


「さ、ローラ。新しい局長に指示を出しやれ」


「ふふふ。ではハイリお兄様、通商局として情報局と連絡を取り合い販路の拡大に動いてください。


 マルクお兄様にはインフラの現状と計画についてご説明しますので、土木局内での周知をお願いします。


 それとアルフお兄様にもお願いがありまして……」


「ん? どうしたのローラ」


「時間加速装置を作っていただきたいのです」


「時間加速? そんなもの何に使うのさ」


「蒸留酒を領地の名産にするにあたって、どうしても熟成を前提にしたお酒作りをしたいのです」


「熟成酒? 僕はお酒を飲まないからわからないけど、そんなすごいの?」


「はい、私の記憶によると今作っているウィスキーや、これから作る予定のブランデーは、熟成することで香りや味に深みや複雑さが増し、価値も大きく跳ねあがるようです。

 ただ最低でも三年は熟成期間を取りたいのです。長いと二十年近く寝かせる酒もあるようですし……通常の方法では商品になるまでが遠すぎます。

 だから熟成期間そのものを短縮するために、時間加速装置を開発できないかと」


「アルフレート! それは早急に開発しよう!」

「そうですぜ坊ちゃん! すぐに必要です!」

「アルフレート様、頼みます!」

「アルフ、必要なもんがあったら言え!」


 お父様にイヴァンにルーカス、それにマルクお兄様まで。酒好きたちが一斉に色めき立っています。

 お父様ったら普段の落ち着いた姿はどこに置き忘れてこられたのでしょう?


「ところでローラ、それを使えば畑の収穫を早めて収穫量をあげられるのかい?」


 酒好きたちに呆れた視線を向けつつ、ハイリお兄様が良い問いかけをしてくださいました。

 お兄様はいつも通り落ち着いていらっしゃいますね。安心します。


「いいえ、残念ながらそれは難しいようです。

 作物が成長するには時間だけでなく、土や水、太陽の光なども必要ですから。

 シビアに環境を管理すれば出来ないこともないようですが、繰り返すと土の栄養が失われて土地が痩せてしまいます。

 ですから飢饉の際などの緊急措置としてなら使える、程度の認識が良いかと」


「なるほどね。単純に時間の経過だけで作れる物か………。ありがとうローラ、よく分かったよ」


「なんかみんな、出来上がること前提で考えてない?

 僕まだ全然できる気がしてないんだけど」


 アルフお兄様の言葉は残念ながら、装置が出来上がった後のことを楽し気に話す皆の耳には届かず、会議室の分厚い絨毯に吸い込まれて消えていきました。



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