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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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「――という考えでこれからは、積極的かつ果敢に領地改革を進めたいと考えます。何か意見のある方いらっしゃいますか?」


 領地会議で私が考えを述べると、反対意見は出ませんでした。


 それどころか軍務局長のイヴァンには「やっと腹を括ったか」と笑われてしまいました。


 どうやら皆、王都を気にして思うままに改革を進められない現状に物足りなさを感じていたようです。


 私が穏やかな独立を目指していることを知っていたからこそ、無理強いせず待っていてくれたのでしょう。


「皆様ありがとうございます」


「ではこれからの取り組みについてですが、まず、他国との貿易を増やします。

 今までは王都の目の届かない遠国を中心に開拓していましたが、これからは近隣国にも手を伸ばします。

 輸送費が安く済む分、今まで以上に利益が出るはずです」


まずはお隣の帝国からですね。

 あの国を商圏に組み込めれば、かなり大きな市場になります。


「ただ今まで通りカーハインド領としてではなく、カーハインド家お抱えの"ハイド商会"として、相手国の商会に接触するスタンスは変えません」


 商会を介する形にすれば正式な通商条約を結ばずに済みますから、相手側に落ち度があればこちらの裁量で一方的に取引を停止できます。


 また相手国の商会を窓口とすることで、厄介な権力者との接触も極力避ける算段です。


「それと、同じケルファ国内の他領との交易も始めます。まずはカーハインドの近隣から。

 王都と太いパイプを持つ者は少ないでしょうが、領主の人柄だけは入念に確認してください」


 もしものときこちらが生命線を握っておけば、軽挙には出にくいでしょうからね。


 数は多くないでしょうが、カーハインドを見下すような権威主義の領主が治める土地との取引は遠慮します。


「まずエルザ、情報局には各国、各領の商会の情報を集め、治安の確認や販路開拓をお願いします」


「承知しました。領主の背後関係や人柄もチェックしておきますわぁ」


「次にシル、財務局には貿易比率の計算と貿易摩擦を軽減するため、相手側から輸入可能な品がないか精査をお願いします。

 ただしケルファ国内の領地に関しては輸出のみで構いません」


「承知いたしました。領内の経済成長率の試算もしておきます」


「そしてルーカス、農務局には領内で栽培に成功した作物や果樹を使い、輸出品の目玉となるお酒造りをお願いします。

 お酒の作り方はあとで詳しく」


「おぉ! 新しい酒か!

 任せとけ――じゃなくて任せてください。酒の味にはうるさいぜ!」


 現在は研究所で、主にウィスキーを製造していますが、お酒は輸出品の中でも需要が高く、単価も高い、利益率のよい品です。


 幸い今年は果樹園の収穫も期待できますから、今後はブランデーの開発にも着手していきたいですね。


 蒸留酒を作れる者を増やすと共に、新しいお酒の研究も進めていきましょう。


「イヴァンには今まで通り軍務局の訓練指導をお願いします。ただし、これからは爆薬や銃器を使った訓練も始めてもらいます」


「人を簡単に殺傷できる道具ですから、許可のある場所でしか使わないこと、持ち出しをしないことを周知徹底してください」


「持ち出すような馬鹿が出たら大変だ。もしものときの刑罰は重くするぞ?」


「はい、それで構いません」


「そしてロルフ、保健局にはポーションの成分分析を行ってもらいます。

 目的は現在、聖王国の専売品となっているポーションを領内で作ることです。

 医療で救える命は増えましたが、やはり緊急のときにはポーションも必要ですからね」


「OK! ポーションの成分分析してみたかったんだよね~」


「最後にアンヌ様、教育局には領民が通える学校を作っていただきたいです。

 今、教会で行っている基礎教育はとりあえずそのまま、より高度な知識を学べる場を学校とします。

 教師の確保と、学ぶ意欲のある者を一期生としたいので、募集をかけてみてください」


「承知いたしました。教育内容の叩き台を作成し、教師および生徒候補の募集を進めます」


 政教分離の為にもゆくゆくは基礎教育も学校で行いたいところですが、教師の数が足りませんから、それは追々ですね。


「それとお兄様方にお願いがあります。

 新しく土木局と通商局を設立したいのですが、誰か局長の適任者をご紹介いただけませんか?」


「土木局が工事を請け負うとこで、通商局が貿易関係って理解であってる?」


「はいアルフお兄様、概ねそれで間違いありません」


「工事のことなら親方に頼めばいいんじゃねぇの?」


マルクお兄様が不思議そうな顔をされています。


「親方には打診したのですが断られてしまって――俺に現場以外は無理だって」


「局長になったら現場仕事より書類仕事が主になっちまうもんなあ。……うん、親方は現場に居てもらいてえ」


 親方が現場から居なくなるのを想像したのでしょうか? どこかしんみりとした様子でおっしゃいます。


「土木管理局には今まで私が仕切っていたインフラ整備も引き継いでいきたいので、計画的で安全に配慮でき、なおかつ現場の方々とコミュニケーションを取って進める調整能力をもつ方が望ましいのですが……」


「そんな優秀な者がいるなら、領主邸で召し抱えたいくらいだわ」


 ころころと笑われるお母様の言う通り、人材不足はどこも深刻です。


「通商局長にしても仕事内容でいけば商人から選ぶ手もあるが、下手な者に任せると自店に有利な施策ばかり提案しかねないからね」


 ハイリお兄様のおっしゃることもごもっともです。通商局長は領地全体が富むように考えられる者でなければなりません。


 ですが自分の商会を持つ大店の商人はまず自店の利益を考えるでしょう。


 店を守るためには当然といえばその通りですが、局長としてそれでは困ります。


 それに血縁や縁故を優先する者に権力を与えると不正の温床になりかねませんからね。


 どうしましょう、局長が決まりません。



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