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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 いよいよお茶会当日です。


 今日はマルクお兄様が王都で仕立てたカーハインドの家紋が着いた馬車に乗って、周囲を情報局の護衛とロルフに囲まれながらマルクお兄様と一緒に登城します。


 宰相はマルクお兄様の付き添いに難色を示しましたが、お兄様が譲らなかったことで諦めたようです。


 王族や貴族の婚姻は家同士の契約ですから、顔合わせは保護者同伴が当たり前。

 

 王都に居る間の私の保護者はマルクお兄様ですから、あまり騒ぐと宰相の方が非常識だと批判されかねませんからね。


 それと情報局の調べによると、今日は城で院政家の会議も予定されているそうです。目撃者を増やして私と王子の関係を公のものにしたいのでしょうね。



「それにしても顔色が悪すぎて心配になるな」


「ふふふ、今日のメイクもバッチリでしょう?」


「うん。俺は婚約する前に女性に素顔を見せてもらうことに決めた」


「いやですわお兄様、普通の令嬢は結婚前に素顔は見せませんわ」


「でも結婚して急に別人みたいになったら驚くじゃねえか」


「あら、お兄様はエルザの素顔をご存知でしょう?」


「……っ! なんでそこでエルザが出てくるんだよ」


「あら? 違いました?」


「………違わねえけど」


「ふふ、でしょう? 応援しておりますわ。私の婚約話がひと段落ついたら、お兄様の番ですね」


「いやいやいや、そんな急がなくていいから!

 とりあえず今は今日のことだけ考えてろ」


 ふふふ、照れてらっしゃいますね。

 それにしてもバレてないとお思いでしたの? 気付いてないのはエルザぐらいのものですよ。


 家族もみんな承知していたからこそ、適齢期であるマルクお兄様に婚約話を持ちかけなかったのですから。


 マルクお兄様は案外奥手ですから今まで皆で見守っていたのですけど、そろそろご自身から動いていただきたいものです。


 と、そんなことをつらつらと考えていると城が見えてきました。


 ◇


 登城すると庭に案内されました。王族のプライベート空間の中でも、あまり奥まったところにない人目に付きやすい庭ですね。

 宰相は何が何でも既成事実を作り上げたいようです。


 この企みが吉と出るか凶と出るか。


 しばらくすると宰相が現れました。今日のホストですから、院政会議を抜けてきたのでしょう。

 あらあら、目の下に隈を作って顔色も良くありませんね。私と良い勝負です。


 そういえば、マリウス王子の保護者役は誰が務めるのでしょう? やはり母親である第一王妃様でしょうか?


 しばらく宰相とたわいもないやりとりをして過ごします。まあ話しているのは主にお兄様で、私は相槌を返すだけですが。


 ――ところがいくら待っても、マリウス王子どころか王家の誰も現れません。


「宰相閣下、開始時間はとっくに過ぎているはずですが、王子殿下はいかがされたのでしょう?」


 待ちあぐねたお兄様がついに斬り込まれました。


「カーハインド卿、申し訳ない。実はマリウス王子は朝から体調が優れず、今侍医の診察を受けているため遅れておられる」


「……なんとそれは心配ですね。

 体調がおもわしくないのであれば、無理をしていただくわけには参りません。残念ですが、本日はこれで下がらせていただきます。

 ローラ、行くぞ」


 お兄様に続いて私も立ち上がります。


「いやいや、それには及ばぬ。王子殿下は今日の顔合わせに緊張しておられたから、精神的なものであろう。

 卿らが帰ってしまっては王子殿下が落胆なされる。殿下は今日の日を殊の外楽しみにしておられたからな。

 さ、座ってくれ」


 王子殿下が落胆なされる、などと言われては席を立つことができませんね。


 それにしても"殿下が楽しみにしていた"など、よく言えたものです。情報局によると、お茶会が近づくにつれ王子の反発が強くなり、宰相が奔走していたようですのに。


 そもそもマリウス王子はこの顔合わせを、ただのお見合いの斡旋だと思っていたそうです。顔を合わせてお茶を飲み、自分が気に入れば側に置き親交を深め、気に入らなければ今日限り。

 

 ――そう、決定権が自分にあると、微塵も疑っていなかったのです。


 ところがマルクお兄様の仕込んだ若い貴族たちを始め、お兄様と親交を持ったことで婚約に疑問を持った貴族たちがマリウス王子に少しずつ情報を与えてしまいました。


 宰相に目を付けられないように伝える内容には気を遣っていたようですが、それでも色々な人から情報を得たことで、王子はこれがただのお見合いと違うことを察しました。


 さすがに婿に入れられ王籍を剥奪されるところまでは考えが至っていないようですが、このお見合いは断れないのではないかという疑念は持ったようです。


 そこから王子の抵抗が強まり、宰相は些細を伏せつつも王子の説得と方々への根回しを続け、なんとか今日の開催まで漕ぎ着けた、というのが真相のようですね。



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