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知識チートで目指せ独立国家〜王家とのご縁は遠慮します!〜  作者: 花日


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 side:エルザ


 拐われてしまいました。

 マルクス様との夜会前に一人で情報収集を兼ねて飲みに来ていたら、そこで睡眠薬を盛られて気付けば人気のない倉庫の中。


 まあ全てわかっていて敢えて一人になったのだけど。


 マルクス様の身に危険が迫っていると情報局から警告があった翌日、早速レーザー盗聴器を使い宰相の周辺を探っていた者たちから、私を誘拐しようとしている者が居るという知らせが入った。


 防ぐのは簡単だけど、いつまでも受け身でいるのも面白くない。


 そこで私たち情報局はこれを利用することにした。


 少なくとも私の誘拐計画が進んでいるうちはマルクス様に直接的な危害が加えられる可能性も下がるでしょうし、手数は増やしておくべきだわ。


 マルクス様、特にローラ様には大反対されて説得するのには骨が折れたけど。



 ――「いるわね?」


「はっ」


 もちろん一人に見えて私の周りには情報局の者が幾人も付いていた。あの兄妹は私ごときにも心を砕いて、過保護なほどの人員を寄越してくれたから。


 計画通りきちんと倉庫の中にも入り込んでいるわね。


 足はしばられているけれど、手は自由。女一人と舐めているのかしら? あとは髪が少し切られているけれど、他に危害を加えられた形跡はなし。


 太ももをなぞるとガーターベルトのナイフもそのまま。

 ボディーチェックもしないだなんて、うちではあり得ないことね。


 念のためカーハインド産の通信機など敵に見つかるとやっかいなものは置いてきたけれど、そこまでする必要もなかったかもしれないわ。


 そもそも普通に考えて、夜会の前に女が一人で街に出て、フラフラお酒を飲んでいるわけがないもの。


 いくらなんでもあからさますぎて誘いだとばれるのではないかとヒヤヒヤしたけれど、全く疑うことなく、むしろチャンスだと浮き足立つ様子に拍子抜けしたわ。


 王都でも最大手の闇ギルドに依頼したと聞いて警戒していたのだけど。



 ――しばらくすると倉庫に足音が響き、見るからに破落戸といった風体の男が二人現れた。


「おっ、起きてたか。さすが貴族の情婦、悲鳴ひとつあげないとは肝が座ってるねェ。それにしても色っぽい姉ちゃんだな」


「待ってる間にちょっとぐらい相手してもらってもいいんじゃねぇの?」


 下卑た視線で舐める様に見る男どもに虫唾が走る。今すぐガーターベルトのナイフを抜いて切り取ってやりたい。


「あなたたちは何者かしらぁ? 私をどうするおつもりですの?」


 お約束ですからね、聞いておいてあげましょう。


「俺たちはしばらくここでアンタを見張ってろって雇われただけだ。先のことは知らねぇよ。どうなっちまうんだろうなァ」


「ヒヒヒ、あんたのご主人様が売っちゃいけない相手にケンカ売っちまったんじゃねぇの? 怖いねぇお貴族様は」


 この男たちが何も知らないのは事実でしょう。まぁ私は知っているけれど。


 今回の首謀者は、マルクス様に注目が集まったことをやっかんだ若い貴族。


 マルクス様が女一人守れない無能者だと吹聴し面目を傷をつけることが目的のようね。


 今頃私の髪がマルクス様に届けられ、その様子を見て笑っているのでしょう。趣味の悪いこと。


 あとで首謀者が直接、私をいたぶり辱めボロボロの姿で表通りに放置する計画なんだそうよ。


 本当は首謀者が現れ、私に手を出そうとしたところを帰り討ちにしてやりたいけれど、そうするとマルクス様の面目に傷がつく恐れがある。


 今回はこの誘拐自体をなかったことにしてしまうのがベストね。


 それに首謀者たちを宰相が煽っていた事実も確認できているもの。マルクス様への「あまり調子に乗るな」というメッセージのつもりでしょうね。


 恐ろしいことをするものね。カーハインド家の者は懐に入れた者を何より大切にする。虎の尾を踏んで無事に済むはずがないでしょうに。



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