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パーティを追放されけれど、助けた聖女と共に冒険者として生きていくことにした  作者: 巴 雪夜
第七章:鷲獅子は血肉を喰らう

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第34話:馬を護送する依頼

 ギルドの掲示板にはランクごとの依頼書が張られている。


 パーティ内に別のランクの冒険者がいる場合、上位ランクのメンバー数によっては低ランクも依頼を受けることができるようになっていた。


 いつもよりも賑わっているギルドは人が多い。クラウスは他の冒険者の間を縫って掲示板に張り出された依頼書を吟味していた。人数が増えたことで受けられる依頼の幅が増えたのだ。


 報酬金が高いものはそれなりの実力がなくてはいけないので、必ずしも報酬が良いものがいいとは限らない。


 実力に見合っていない依頼を受けてパーティメンバーに何かあってはならないのだ。



「クラウスの兄さん、これどうよ」



 するっと隣に立ったアロイが依頼書を見せる。それはラプスまでの護衛依頼でランクも問題はないものだった。



「ラプスっつったらここからそう遠くないだろ」


「私たちでも問題はないな」



 フィリベルトもやってきて依頼書を見ている。どの依頼にするか悩んでいる様子のクラウスに二人は提案するために来たようだ。だが、クラウスは眉を下げた。


 距離とその間に通る道のりに手ごわい魔物は潜んではいないので問題はないけれど、ラプスまでというのがクラウスは引っかかった。


 ラプスはクラウスがパーティと別れた場所だ。アンジェたちの拠点である場所にはどうも足を運びたくはなかった。


 パーティを追い出されたことはもう気にしてはいないのだが、顔を合わせたいとは思わないわけで。もし出くわした時に彼らに何を言われるかと考えるだけで嫌な気分になる。



「……いや、他のにしよう。こちらのほうが同じ護衛でも割に合っている」



 クラウスは別の護衛依頼、馬の護送を選んだ。騎乗用の馬をマルリダからファントルムの町まで連れて行くのが依頼内容となっている。


 マルリダからファントルムまでは馬車で三日ほどかかる。少し遠い場所ではあるがその分、保証があるようだった。ランクの問題もないが、森を通ることになるので魔物の警戒はしないといけない。



「ちょっと距離遠くねーかい? ルールーちゃんとヒルデの嬢ちゃん疲れないか?」


「今から少しずつ慣らしておかないと後が続かないと俺は思うが」


「確かにそうだな。ギルドにいる以上、マルリダ周辺だけの依頼を受けるわけではない。慣れは必要だ」



 クラウスの意見になるほどとフィリベルトは頷く。彼も依頼自体は問題ないようで、これにするならば早いほうがいいなと言っている。



「早朝から出るなら今のうちに依頼主と話をしておくべきだ」


「おっさんとクラウスの兄さんがこれでって言うならオレ別にいいけど」


「決まりだ」


 クラウスは依頼書を手に受付と向かった。


  *


 その背を眺めながらアロイはフィリベルトのほうを見る。



「なんか、クラウスの兄さんちょっと変じゃなかった?」


「まぁ、それは少し気になったが……」



 クラウスにも事情があるのだろう、それは彼からしたら言いたくないことだというのは伝わってくる。


 フィリベルトは「パーティに重要なことならば隠さずに話すはずだ、彼は」と言った。


 ブリュンヒルトのことも、自身の戦い方も隠すことなくパーティメンバーに話している。そんな彼なのだから、重要なことを隠すことはしないだろうと。


 フィリベルトの考えにアロイは「おっさん、人間不信治った?」と問う。



「治ったかどうかは分からんが、少なくともクラウスの言動を見て不審に思うことはない」


「クラウスの兄さん、嘘つかねぇもんなぁ」


「あれは嘘を言えないタイプだろう」



 自分の気持ちに嘘をつけないと言っているのだから。アロイは「まー、そのうちなんか言ってくれるでしょ」と特に突くことはしないようだ。


 戻ってくるクラウスに軽く手を振ってアロイは「嬢ちゃんたちにも依頼説明しなきゃな」とブリュンヒルトたちがいるテーブル席へと向かった。


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