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【第陸話】やぁ少年、共同作業といこうか。

城門に押し寄せるゴブリンの群れに対し、フォグとキャラメルが魔法演算で再現した「FMG-9(サブマシンガン)」の弾幕と「ファラオの蛇(化学反応)」を用いて圧倒的な面制圧を行い、仲間と共に効率よく討伐・無力化していった。

ニューの風で一箇所に固められ、スクワールのクルミの壁に閉じ込められたゴブリンたちを見下ろし、二人は同時に不敵な笑みを浮かべた。


「では、空間の最適化からだ――〈 酸化鉄・アルミニウム混合:テルミット反応 〉」


キャラメルが気だるげに指先を振ると、閉じ込められたゴブリンたちの頭上から、赤茶けた粉末と銀色の粉末が混ざり合った


「悪魔の砂」が豪雨のように降り注ぐ。魔物の体液や悲鳴の湿気を吸い、それは瞬く間に群れ全体を覆い尽くした。


「化学反応の準備は整ったよ、少年」


「了解した。着火および、面制圧プロセスの最終段階へ移行する」


フォグが手をかざすと、幾何学的な魔力光が収束し、彼の小さな体躯(たいく)にはおよそ不釣り合いな、巨大で無骨な鋼鉄の筒が実体化する。


「『軍事』属性、兵器投影――〈 携帯式対戦車ロケット:RPG-7〉」


フォグは重いランチャーを慣れた手つきで肩に担ぎ、冷徹な三白眼で照準をゾーンの中心へと合わせた。トリガーを引き絞る。


ズドォッ――!!!


凄まじい後方爆風(バックブラスト)とともに放たれたロケット弾が、ニューの風の軌道に乗って加速し、ゴブリンの群れの真ん中へと突き刺さる。


直後、着弾の強烈な衝撃と摩擦熱が、キャラメルの撒いた粉末に伝わった。


――瞬間、爆発ではない。太陽が地上に降りたかのような、眩いばかりの「白銀の激発」が起きた。3000度を超える超高温の融鉄の嵐が、逃げ場のないクルミの檻の中で吹き荒れる。ゴブリンたちは悲鳴を上げる暇すらなく、その肉体も骨も、持っていた武器ごと一瞬で融解し、蒸発していった。


スクワールが作った多層壁がその凄まじい熱を内側に閉じ込める「炉」となり、ニューの旋風が酸素を供給する「送風機」として機能した結果、その殺傷効率は極限まで高められていた。数秒後、熱波が収まると、そこにはガラス状にドロドロに溶けた地面と、白い煙だけが残されていた。


300匹以上の魔物の群れが、文字通り「消滅」していた。


「あはは! すごいよ少年! RPGの炸薬の熱をトリガーにするなんて最高だねぇ! 理想的な熱化学反応のデータが取れちゃった!」


「フン、当然の帰結だ。面制圧における火力の集中運用としては、きわめて効率的と言える。……しかし、抱きつくなと言っているだろうキャラメル!」


手放しで喜び、再びフォグを胸に抱き込んで頭を撫で回すキャラメルと、顔を真っ赤にして暴れるフォグ。その背後では、剣を構えたまま石化しているマーシャルと、口を金魚のように開けたニュー、スクワールが、異次元の光景を前に完全に思考を停止させていた。

・テルミット反応

酸化鉄とアルミニウムの粉末を混ぜて高熱で点火し、激しい発熱と発光を伴いながら金属鉄を取り出す酸化還元反応。


・RPG-7

旧ソビエト連邦が開発した、歩兵が持ち運んで使用する携帯式対戦車擲弾発射器/ロケットランチャー。

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